家を高く売るためにリフォームは必要ない
家を売るとき誰しもが頭をよぎるのが、「リフォームした方が家が高く売れるのではないか?」ということでしょう。
しかし、実際のところは売却前に家のリフォームをしたからと言って、リフォームにかかった費用以上に、家が高く売れることはありません。
今回は、不動産会社さんやリフォームの施工会社さんにインタビューしてわかった、家の売却とリフォームの関係について解説します。
売却前にリフォームをするメリットとデメリット
家を売る前にリフォームをすることで得られるメリットもありますが、デメリットもあります。
売却前のリフォーム | |
---|---|
メリット | デメリット |
・家が売れやすくなる | ・費用対効果が低い ・買い手がリフォームを納得するか分からない |
リフォームするメリット
売却前にリフォームをするメリットは、家が売りやすくなることです。
たしかに、室内がキレイにリフォームされていれば、内覧に来た購入希望者の印象もよくなるでしょうし、リフォーム代が負担できない方にとっては魅力的な物件と言えます。
しかし、家が売りやすくなるといっても、高く売れるというわけではなく、売却をサポートする不動産会社にとって「楽して売れる物件になる」と言った方が正しいかも知れません。
そう教えてくれたのは、香川と京都でマンション専門の不動産仲介業を営む、マンションエキスパートの谷中さんです。
家の売却前にリフォームをした方がいいのかを聞いたところ、「売主さんが施すリフォームは、最低限のものになってしまいがちです。たしかに売りやすくはなるかも知れませんが、営業マンの腕次第でどうにかなるレベルなんで安心してください。」と話してくれました。
腕のない営業マンほどリフォームをすすめる
また、「腕のない営業マンほど、楽に売却できるからってリフォームをすすめます。」ともおっしゃっていました。
家が売りやすくなるとは言っても、リフォームの費用を負担するのは不動産会社ではなく売主です。
なんでもかんでもリフォームをしておけばいいという姿勢の不動産会社は選びたくないものですね。
リフォームするデメリット
売却前にリフォームをするデメリットは、費用対効果が悪いことと、買い手がリフォームに納得しなければ売却できない可能性があると言うことです。
費用対効果が悪い
例えばキッチンを丸ごと入れ替えてそれに100万円の費用をかけたとしても、そのまま100万円を売却価格に上乗せした価格で売れるとは限りません。
そもそも、中古のマンションを購入しようとしている時点で、新築と比較して手頃な価格で家を購入したいという思いがあるからです。
リフォーム分だけ価格を上乗せてしまうと、リフォームした箇所を見てもらう前に、購入希望者が設定した欲しい物件のテーブルから落選してしまいます。
買い手がリフォームに納得するかどうかわからない
また、売り手が良かれと思って施したリフォームを、買い手も良いと思うかはわかりません。
それならばと、万人受けを狙って安価なリフォームで済ませてしまうと、今度は逆に物足りないと思われてしまうことがほとんど。
特にキッチンは要注意。最低限の備えがあればいいということではないようです。
谷中さん曰く「中古マンションを買う人の多くは初めてマイホームを持つ方です。どうせ新しいキッチンを入れるなら自分の思い通りにリフォームして夢のキッチンを手に入れたいんですよ。」とのことでした。
リフォームする目的で中古住宅を選ぶ人が増えてきた
リフォームに関して面白いデータがあります。
一般社団法人不動産流通経営協会が発表した「不動産流通業に関わる消費者動向調査(2018年)」によると、既存住宅(中古住宅)を購入した人の中で「リフォームするつもりだった」と答えた割合が、昨年からなんと5ポイント上昇して21.9%だったことがわかりました。
中古住宅を購入する5組に1組以上が、リフォームすることを前提とした購入を検討しているということになります。
施行会社さんに直撃取材!
実際に売主さんや買主さんはリフォームについてどのように判断しているのか。
気になった家売る幸作が、業歴45年のリフォーム施工会社さんに直撃取材をしてきました!
創業45年の有限会社潮見住器さんに突撃取材
ずばり!家を売る前のリフォームってどうなの?
水回りのリフォームにかかる費用
中古の家を買った人はどんなリフォームをするの?
自分でできることはある?
気軽な相談だけでも大丈夫
取材にご協力いただいた潮見住器さん、本当にありがとうございます!
リフォームではなくハウスクリーニングという方法も
リフォームまでしなくてもいいけど…。と言う場合はハウスクリーニングを利用するのはどうでしょう?
ハウスクリーニングでは、部分的なクリーニング依頼をすることもできるので、水回りだけを依頼することも可能です。
ママ向け情報メディア「ママエル」が大手業者10社を調査した相場情報を公開していました。
10の業者を調査した結果、水回りのハウスクリーニングの相場は以下の通りです。
【ハウスクリーニングの相場】
キッチン:1万7,000円
トイレ:9,000円
洗面所:8,000円
浴室:1万6,000円
【ママエル|ハウスクリーニングの相場はいくら?大手業者10社を比較し独自調査しました】より一部抜粋
合計しても5万円なので、手間をかけるよりプロに任せた方が安心という方におすすめです。
憧れ過ぎに注意|リノベーション物件とは
最近中古物件市場で増えてきているリノベーション物件。
新築同様にきれいな室内やデザイン性を持ちながら、価格は新築よりもお買い得、まるで中古物件と新築物件のいいとこ取りのようです。
おそらく売主の方はこういったリノベーション物件を目指して「リフォームをして高く売ろう」という発想に至るのではないかなと思います。
リノベーション物件が安いカラクリ
しかし、個人が費用をかけて人気のリノベーション住宅を再現しようともなると莫大な費用がかかります。その費用分を回収してなおかつ利益を得るのはとても難しいでしょう。
リノベーション物件が新築より安い価格で販売できるのには理由があります。
それは不動産会社が行うならではの仕入れ値の安さ、つまり、施工会社に個人でリフォームを頼むときときよりも低価格で請け負ってもらえるパイプを持っているからこそです。
そこに加えてオシャレさを演出するために、写真の加工や宣伝広告にも力を入れています。
その分の費用の捻出を考えると、リノベーション物件に憧れて売却前にリフォームをすることはおすすめできません。
まとめ:リフォームは買う人のことを考えて
結論、家を売る前にわざわざリフォームをしておく必要はなさそうです。
売り出す家にこれから住むのは、売主以外の誰かです。
そこに、売主好みのリフォームを加えても、相手が気に入ってくれるかどうかはわかりません。
リフォームすること前提で中古物件を探している買主も多い今、下手なリフォームをするよりかは、現状のまま売りに出す方がより納得の価格で家が売れることでしょう。