マンションから一戸建てに住み替える4つのメリットと買い替えの流れ
住宅双六(じゅうたくすごろく)という言葉をご存知でしょうか。
人生における住まいの変遷をすごろく遊びに例えた言葉で、「一人暮らしの賃貸アパート」から始まり、「分譲マンションの購入」を経て、最後には「夢の庭付き一戸建て」を手に入れるまでを表しています。
今から40年以上前にもてはやされた言葉のため、「夢の庭付き一戸建て」がゴールという方は減っているのかも知れません。
しかし、国土交通省が行った平成29年度「土地問題に関する国民の意識調査」によれば、「今後望ましい住宅形態」として全体でもっとも人気が高かったのが「一戸建て(64.9%)」という回答でした(その他の回答率:マンション10.2%、戸建て・マンションどちらでもよい21.7%)。
今は分譲マンション住まいだけど、いずれは庭付き一戸建てが持ちたいという方は健在のようです。
そこで今回は、マンションから一戸建てに住み替えるメリットを、マンションを売却し一戸建てに買い替える流れと共にご紹介します。
マンションから一戸建てへ住み替えるメリット
マンションから一戸建てへ住み替えるメリットは主に4つあります。
広い家に住める
メゾネットタイプなどを除いた一般的なマンションの間取りといえば、玄関からリビング、ダイニングに浴室やトイレ、そしてマンションによって異なった数の個室から成り立っています。
玄関から全ての部屋への動線が繋がっているため、コンパクトに住みたい人にとっては絶好の住環境になりますが、家全体では手狭に感じることがあります。
一方で一戸建ては二階建て、物件によっては三階建ても可能なためマンションよりも広い家に住める、というメリットがあります。
家が広いと、開放的な暮らしができる、リラックスできるなどのメリットのほかにも、子供の足音が近所に響かずにすむ、子供の数が増えてもそれぞれで個室を与えられるなど子育て世代にとっても大きなメリットがあります。
SUUMO調べによる「買い替えしてよかったこと・不安だったこと」でも、マンションから一戸建てへの住み替え理由第一位として、全体の約半数を占める48.5%の人が「もっと広い家に住みたかった」を挙げています。
自分の家として気兼ねなく過ごせる
となりの世帯と壁を隔てた状態で暮らしているマンションでは、生活音にも気を付けて過ごしている、という方も少なくありません。
壁を蹴ったり叩いたりするだけで隣に聞こえてしまうため、できるだけ壁には近づかないようにする、また夜間は話し声やテレビの音も小さくする、などの配慮が必要なこともあります。
自分が気を付ければ良いだけでなく、配偶者や子供にも「静かにして」「壁を叩かないで」と注意する人も多いです。
マンションから一戸建てに住み替えると、集合住宅ではなく自分の家になりますので、気兼ねなく暮らすことができます。
隣住民の迷惑になるような騒音を出す、などはもちろんできませんが、マンションよりも肩の力を抜いて生活できるようになった、という声も多くなっています。
家族のために良い環境を提供できる
マンションに住んでいる時には共有のベランダはありますが、子供が広々遊べたり、ガーデニングや家庭菜園ができたりする庭はありません。
さらに、マンションの入居状況によっては駐車場に空きがなく、空きができるまで自家用車を持つことができない、といったことになる場合もあります。
また、分譲マンションでもペットの飼育を禁止されているところも多いです。
一戸建てへの住み替えなら、庭付き、ガレージ付きなどを選べば、自分だけでなく家族のためにも良い環境を提供できます。
さらに、広い家に住むことに加えて個室の数の多い一戸建てを選ぶと、将来家族が増えた時にもそれぞれに個室を与えられます。
SUUMOの「買い替えしてよかったこと・不安だったこと」調査でも、マンションから一戸建てへの住み替えを行った世帯の子供の年齢層を見てみると、小学校在学中の子供を持つ世帯の割合が全体の39.5%、次いで0歳から小学校入学前の子供を持つ世帯の割合が全体の16%と、0歳~小学生までの子供を持つ親が全体の半数以上を占めています。
このことから、「これから子供が増える」「これから成長する子供がいる」というタイミングで、子供に関する将来設計を踏まえてマンションから一戸建てへの買い替えを行う世帯が多いことが分かります。
財産として残せる
財産として残すため、ずっと同じ場所に住むためなどの理由で、賃貸マンションから一戸建てへ住み替える人も少なくありません。
分譲マンションも財産として残せますが、一戸建てなら建物に加えて土地も自分のものになります。
老朽化やライフスタイルの変化に応じてリフォームやリノベーションをしたり、建て替えをしたりしてずっと同じ土地で生活もできます。
マンションから一戸建てへ住み替えるデメリット
マンションから一戸建てに住み替えた際、メリットがある反面デメリットもあります。
住み替えを検討する際に知っておきたいデメリットは主に3つです。
物件価格が高くなりがち
同じ立地条件の物件でも、マンションと一戸建てを比較すると一戸建てのほうの物件価格が高くなる傾向にあります。
修繕が自己手配、自己責任になる
マンションなら共有部分はもちろん管理者側が修繕を行いますし、マンションの部屋内部でも修繕計画が明確であることが多いです。
一方で一戸建ては不意の事故や災害の時で修繕が必要になった時はもちろん、経年劣化による修繕も自分で手配・行わなければいけません。
さらに、防犯対策や害虫対策など、日常生活を送るうえで必要な対策も一戸建ては全て自己責任です。
マンションでは定期的な害虫駆除業者が入る、防犯対策として全棟の鍵を取り換えたり、オートロックを導入したりしても、入居者側の責任は基本的にありません。
修繕積立金や維持管理費などの固定費がなくなる一方で、いざ修繕が必要な時はすべてが自己責任となります。
プライベートは確保できるが、孤立する可能性もある
一戸建ては隣と接していないため、プライベートな空間はマンションよりも確保しやすくなっています。
さらに町内会や自治会が地域にあっても、一戸建ての場合は加入が任意であることが多いです。
一方でマンションはプライバシー管理がしにくい、マンションの管理組合も加入が事実上義務である反面、おのずと近所付き合いができる土壌ができていることになります。
一戸建ての住み替えに際して、全く土地勘のない場所へ引っ越した場合は、友人や知り合いが全くいない状態になります。
厚生労働省の発表によると、特に1994年から現在まで、大都市はもちろん市町村単位の地方でも近所付き合いの頻度が減ったとしています。
2004年の市町村における近所付き合いの頻度は、1975年の大都市における近所付き合いの頻度に相当するとのデータもあります。
一戸建てには、家、家庭ごとのプライバシーが尊重される風潮である一方、既存のコミュニティには入りづらく孤立しやすい、何かがあったときに頼れる人がいない環境になりやすいことを覚えておきましょう。
マンションを売るのが先か、一戸建てを買うのが先か
マンションから一戸建てへ住み替える場合、マンションを先に売却する(売り先行)か、新居の一戸建てを先に購入する(買い先行)か、迷う人も多いです。
ベストなタイミングは、マンションの売却と一戸建て購入を同時に進めることですが、忙しい、物件が見つからないなどの理由でできないことも珍しくありません。
ここでは、売り先行、買い先行それぞれのメリット・デメリットを紹介し、どんなケースが売り先行・買い先行に向いているのかをご紹介します。
売り先行のメリット・デメリット
売り先行のメリットとデメリットをご紹介します。
売り先行のメリット:一戸建て購入に必要な資金が明確になる
マンションを先に売却すると、売却したお金を一戸建て購入に充てることができるため、あとどのくらいの資金が必要なのかのおおよその金額が明確になります。
マンションの売却が決まるまで一戸建て探しを止めることもできるため、納得の価格で売却できる可能性も高くなります。
一戸建てを購入する上で返済計画も立てやすく、住み替えトータルの資金計画を練りやすいのが売り先行です。
売り先行のデメリット:新居に移るまでの仮住まいが必要
マンションの売却タイミングが新居入居タイミングより早い場合、当然新居に入居するまでの仮住まいが必要になります。
アパートやマンションなどの賃貸物件を借りなければいけない場合もありますし、さらに、電気やガス、水道やインターネットなどのライフラインを短期間使うためだけに整える手間もあります。
旧居や新居の近くで仮住まいが見つからなかった場合、少し離れたところに仮住まいを構えることもあるため、通勤や通学の負担になることもあります。
また、賃貸物件を契約する費用、月々の家賃、新しいインフラ、引っ越しの費用がかかります。
売り先行に向いているのは
売り先行に向いているのは以下の条件いずれかの該当している場合です。
・売却と新居入居のタイミングがずれた時にも、夫または妻の実家や会社の社宅など、手間なく入れる仮住まいがあるとき
買い先行のメリット・デメリット
先に新居一戸建てを購入した後に、今まで住んでいたマンションを売却する買い先行の場合は3つのメリットがあります。
買い先行のメリット(1):次に住むところが決まっている安心感
買い先行は先に一戸建てを購入してしまうため、次に住める場所を手に入れている状態です。引っ越しやそれにともなう諸手続きも余裕を持って行えます。
買い先行のメリット(2):引っ越しは一回だけ
売り先行時はいわゆる住み替えヤドカリ状態ですので、旧居、仮住まい、新居と引っ越しの回数も費用もかかります。
買い先行なら旧居から新居への引越し一回のみで住みますので、手続きや引越しも一回ですみます。
買い先行のメリット(3)旧居の売却に必要な対応や手間がない
すでに新居が決まっていて引っ越しを澄ましていれば、売却したいマンションに関する対応は全て不動産会社にお任せできます。
売却したいマンションの購入希望者の内覧に対しても対応する必要がありません。
一方、買い先行のデメリットは2つあります。
買い先行のデメリット(1):ローンの返済計画が立てにくい
マンションの売却資金を一戸建ての購入資金の一部に充てる場合、マンションの売却価格がいくらになるのかを事前に把握できないため、ローンの返済計画が立てにくいというデメリットがあります。
また、マンションのローンが残っている場合には一戸建て購入のローンが組めない場合が多いです。
審査状況によっては旧居のマンションのローンと一戸建て購入のローンが一緒に組めるダブルローンや、一旦旧居のマンションローンを返済するためのつなぎ融資が受けられることもありますが、いずれの場合も金利は安くなく、返済が厳しくなるリスクもあります。
買い先行のデメリット(2):マンションが売却されない場合一戸建て購入を撤回する場合も
マンションの売却が決まらない場合には、希望額よりもかなり安い金額で売却を決めざるを得なかったり、売却ではなく賃貸に出したり、一戸建ての購入をあきらめたりしなければいけません。
買い先行に向いているのは
買い先行に向いているのは以下の条件いずれかを満たしている場合です。
・マンション売却分を充てなくても一戸建て購入ローンが返済できるほどの資金力がある
潤沢な資金をお持ちの方であれば、先に新居を決めてから旧居の売却を進めてもいいでしょう。
住み替え(買い替え)と住宅ローン
実はローンの残っているマンションを売却したい場合は、そのローンを完済した状態にしなければ売れません。
なぜその必要があるのかと、ローンが残っているマンションでも売却してから一戸建ての買い替えができる方法をご紹介します。
マンションの「抵当権」を消すには住宅ローン完済が必須
SUUMOの「買い替えしてよかったこと・不安だったこと」調査の通り、マンションから一戸建てへの住み替えを行うのは「子供が増える・成長する」ことを見越した子育て世代が多いです。
将来を考えて分譲マンションを購入したものの、子供の数や異性だったことで一戸建てへの住み替えを検討することも少なくありません。
よって、買い替えを検討する場合はマンションの住宅ローンが残った状態で、一戸建てへの住み替えを検討する場合がほとんどです。
住宅ローンが残っているマンションを売却して一戸建てに買い替えるために必要なのが、「マンションの抵当権を抹消すること」です。
抵当権とは、住宅ローンなどを借りる時、住んでいる家(この場合は旧居マンション)を担保にできる権利です。
抵当権がついていると、マンションのローンを返済できなかった場合、銀行などの債権者が担保になっているマンションを競売にかけることができます。
そして、抵当権は抵当権の担保となっているマンションを売却しても消滅しません。抵当権を抹消する方法が「住宅ローンの完済」です。
抵当権のあるマンションを売却したいと思っても、いつ競売にかけられるかわからないリスクのある抵当権のあるマンションを購入したい、という人はほとんどいません。
そのため、旧宅マンションを売却する前に抵当権を抹消する必要があります。ローン残債以上の売却価格でマンションが売れれば、マンションの住宅ローンも完済できて抵当権も抹消できます。
ローンが残ってしまうときは住み替えローンを検討
もしもマンションを売却してもローンが残ってしまう場合でも、「住み替えローン(買い替えローン)」と言う方法がある、と聞いたことのある方もいるかもしれません。住み替えローンとは、マンションの残ったローンを一戸建てのローンに上乗せできるローンです。
マンションのローンが残ってしまっても一戸建て購入ができる、というメリットがあります、その反面、デメリットもあります。
住み替えローンは審査が厳しい
住み替えローンの特徴は以下の通りです。
・マンションのローン返済日と、住み替えローンの決済日を同じ日にしなければいけない。
・金額が大きくなるので審査が厳しく通らない場合がある。
・ローンで返済する金額を、金利などを含めてトータルで算出すると、購入した一戸建て以上の金額になる場合がある。もしも一戸建てを売却しなければいけない時は、家を失ってローンだけが残るリスクがある。
住み替えローンは借りられる金額が大きいため、審査が厳しいというデメリットがあります。
よって、住み替えローンを充てにして一戸建て購入を進めようとしても、住み替えローンの契約自体ができない、ということも少なくありません。
以上のことから、ローンの残っているマンションを売却しつつ一戸建てへの住み替えを検討したい場合は、売却した金額でローンを完済できるように、できるだけマンションを高く売るのが有効です。
できるだけ高い金額でマンションを売却したい、という方の強い味方になるのが、マンション一括査定サイトです。
必要項目を入力するだけで、複数の不動産会社からマンションの売却金額の査定が受けられます。
マンションの査定でおすすめは『マンション.navi』
マンションを高く売る秘訣は、マンションを高く売るノウハウを知っているマンション仲介業者とタッグを組むことです。
ただ、素人ではどの不動産会社がマンションを高く売るノウハウを知っているのかがわかりません。
そこで役立てていただきたいのが、複数の不動産会社にマンションの査定を依頼できるサイト『マンション.navi』です。
マンション.naviはマンション専門の一括査定サイト。そのため、マンションの高額売却に自信のある不動産会社のみが集まったサイトです。
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まとめ:メリットだけを考えるのではなく、住み替えの流れからしっかり計画しよう
今でも多くの方が一戸建てに住むことを望むように、マンションから一戸建てに住み替えることには多くのメリットがあります。
一方で、少なからずデメリットを感じる部分もあるため、メリットだけではなくデメリットもよく理解してから住み替えを進めるようにしましょう。
また、今住んでいるマンションを先に売るか、これから住む一戸建てを先に買うかで、買い替えの流れが異なります。
どちらの買い替え方法が自分に合っているのかを把握しておかなければ、買い替えに失敗してしまう可能性が高いので、じっくり住み替え計画を立ててください。
住宅ローンを借りて購入したマンションを売却するのであれば、住宅ローンを借りた際マンションに設定された抵当権を抹消する必要があります。
売却金額が住宅ローンの残債を上回れば、問題なく抵当権を抹消できますので、まずはマンションの価値を知り、ローン残債と比較してみましょう。