和室のメリットとは?畳のプロに聞いてみた
日本人にはなじみが深い和室。
しかし、近年は和室のない家も増え、和室で過ごしたことが少ない世代も増えてきました。
中古住宅の売主からすると、売り出すときに和室って必要なのか?いっそ畳をフローリングにしてしまった方がいいのでは?と思うこともあるでしょう。
しかし、和室や畳には、洋室・フローリングにはない魅力がたくさんあるのです。
今回は、和室や畳のメリットについて、昭和30年創業の老舗畳屋さんのインタビューを交えながら紹介します。
様々な用途で使える和室のメリット
和室のある家には他にどんなメリットがあるのか、今回は昭和30年から続く老舗畳屋さん:矢野畳商店の代表矢野様にお伺いしてきました。
・同居する親の憩いの場
・団らんの居間
・手軽に使える客間
・合理的に使える寝室
・幼少期の子育て部屋
・多目的に使える畳スペース
同居する親の憩いの場
親世代にとって馴染みの深い和室は、ご夫婦どちらかの両親との同居予定がある方にとってメリットがあります。
憩いの場として活躍することでしょう。
団らんの居間
居間に和室を選ぶことで、みんなにメリットがあります。
・家族や仲間が団らんして食事できる
・そのままゴロンと寝転がれる。
フローリングの今と比べると、素足でいても硬さや冷たさを感じることなく快適に過ごすことができます。
また和室は、机さえあればイスを並べなくとも大勢で食卓を囲むことができ、団らんの場として活躍してくれます。
手軽に使える客間
和室はとても手軽な客間としても機能します。
・和室の家具は比較的移動しやすい
・泊り客の準備も布団を敷くだけでできる
日本式の家具は移動がしやすいように設計されており、和室には客間として手軽に使えるというメリットがあります。
合理的に使える寝室
寝室として和室を使うのも合理的です。
・布団を使わない時はたためば場所をとらない
これらの理由から、和室は寝室としてもピッタリなのです。
幼少期の子ども部屋
和室は幼少期の子どもが遊ぶ場所としても最適です。
・柔らかな畳のクッション性がハイハイの時期の赤ちゃんの体に優しい
・オムツ替えがしやすい
和室に使われる畳には吸音性質があり、子供がはしゃぎまわっても、下に響かないというメリットもあります。
固く冷たいフローリングに比べ、子供の遊び場として適しているのは言うまでもありません。
多目的に使える畳スペース
和室には、畳ならではの活用方法が他にもあります。
・作業途中での来客も、障子を閉めることで目隠しができる
・机を出せば書き物も可能
・多目的に使える畳スペースがあると、他の部屋を広く使える
和室は、作業スペースの確保が簡単です。
洋室のカーペットやソファの上で洗濯物をたたむより、机を動かし、洗濯物を畳の上に広げ、隣にアイロン台を出すことも出来るため、作業が効率的にはかどります。
和室のある家は建築コストが高い
畳に隠された効能とは
和室に使われている畳には、様々な効能があることをご存知でしょうか。
実際にどんな効能が隠されているのか、こちらも矢野さんに聞いてみました。
・快適な室温、湿度への調整機能
・空気の浄化作用
・香りにリラックス効果
・夜間でも生活音が気にならない防音性
・転んでも平気なクッション性
・畳の難燃性
快適な室温、湿度への調整機能
空気の浄化作用
・シックハウス症候群の原因となる『アセトアルデヒド』
・タバコ、ペットのニオイ
香りにリラックス効果
殺菌効果があり、森林の空気中に放出されている『フィトンチッド』 | 20% |
新しい畳のあの「懐かしい香り」の正体『ジヒドロアクチニジオリド』 | 10% |
アロマテラピーやお菓子の香料などに使われるバニラエッセンスの原料『バニリン』 | 6% |
夜間でも生活音が気にならない防音性
転んでも平気なクッション性
畳の難燃性
・電話帳のような、藁が圧縮されて層になっている構造
・有毒ガスの発生が少ない、耐火素材が使われている
畳の歴史
畳の効能を熱く語ってくれた矢野さん。すると、カバンからおもむろに歴史の教科書を取り出しました。
和室のデメリット
とっても深い畳の歴史の話の後で聞くのは恐縮だったのですが、和室のデメリットについても聞いてみました。
畳のメンテナンスには手間と費用がかかる?
ちなみに、芯材を残し、畳表のみを取り替える『表替え』は5~7年が目安になるそうです。
ダニやカビが発生しやすい
ただし、ダニやカビが発生してしまうのは弱点と言えるかもしれません。
・除湿
・掃除
この3つを徹底して、ダニやカビの発生を防ぎましょう。
使用上の注意点
和室を使う上で必要な注意点を教えていただいたので紹介します。
・摩耗による傷み
・ニオイ、汚れ
・日焼けによる色の変化
・家具の跡がつきやすい
畳の取り扱いは、メンテナンス費用に直接影響する部分です。詳しく見ていきましょう。
摩耗による傷み
畳の表面は摩耗に弱いため、繊維が切れた所からボロボロになる恐れがあります。
・ペットの爪
・家具の移動
これらの点について、部屋を使われる方への注意点として捉えることが必要です。
ちなみに掃除の際は、棕櫚(しゅろ)ほうきなどで、畳の目にそって掃き、水拭きや乾拭きで仕上げることが推奨されています。
ニオイ、汚れ
畳をフローリングと比べると、構造上、ニオイ・汚れに弱い面があります。
細かな隙間が多いため、水分が染み込みやすく、コーヒーや醤油、子供の絵の具遊びといった、色の濃い液体汚れは、着色の原因。
そのため、カーペットを敷くなどの対応や、入念な掃除が必要となるため、ニオイや汚れに弱い畳のデメリットです。
日焼けによる色の変化
畳の色の変化は、部屋全体が古ぼけて見えます。
日光による紫外線が原因で、部屋の日当たりに関係するため、完全には防ぎきれません。
改善するためには、UVカットカーテンを取り付けるか、日焼けしても畳が美しく見える高級な畳を使うなど、別途費用かかる対策が必要なため、和室(畳)のデメリットです。
家具の跡がつきやすい
家具の重みによって畳に跡が残りやすいです。
・家具を置く際は、一回り大きい木の板を敷いてから置く
防ぐためには、荷重を分散させることがポイント。
特に、家具を移動させるときは、畳の目を傷つけないようにすることも重要です。
また、賃貸物件の場合は原状回復の必要があるため、家具の取扱には注意が必要です。
和室をフローリングにするのは
中古住宅を買う人の多くは、初めて住宅を購入する若い層です。
そうなると畳がないのが当たり前になっている人も多く、売主としては畳をそのままにしておくべきか、フローリングにしてしまうべきか迷っている方もいるでしょう。
その点について矢野さんに質問してみました。
畳をフローリングにするのは安い
新畳の交換=6畳で3万円~8万円が相場
ちなみに、6畳の和室すべての畳を新品に交換した場合、3万円~8万円が相場です。
畳の種類には、藁を芯材に使った本畳と、ポリスチレンフォームを芯材に使った畳ボードがあり、前者が高価、後者を廉価としています。
洋室へのリフォーム費用=6畳で20万円前後が相場
一方、和室を天井から床まで完全に洋室へリフォームするには6条で20万円ほどかかります。
そもそも畳には4cm前後の厚みがあるのに対し、フローリングは1.5cm程度の厚みしかなく、張り替えだけでは隣の部屋との段差が出来てしまうため、下地工事が必要です。
もちろん床面のみの工事の場合はもっと安く済みますが、天井や壁との調和が取れません。
和モダンという選択肢もある

矢野畳商店公式HP スタッフブログより
和室のメリットを残しながら、洋室のような雰囲気を作る方法として、ヘリの無い琉球畳を使用した和モダンな部屋に作り変えるという方法があります。
矢野さんがおっしゃるには、普通の畳を交換するよりもローコストで、おしゃれな雰囲気に仕上がるのだとか。
矢野畳商店さまのHPには、いくつか施工事例が紹介されているので、参考にされてみてはいかがでしょうか。
まとめ:和室にも畳にも知られざる魅力がいっぱいある
あるだけでどこか日本らしさを感じさせてくれる和室。
その魅力を知っておけば、和室が特別な空間となり、家自体のプラスアルファの価値になってくれるはずです。
和室がある家を売ろうとしている方は、その魅力をもう一度再確認して買い手に伝えてあげてください。