地価公示とは

2019/01/30 投稿 2019/03/15更新
地価公示って毎年聞く気がするけど、いったい何のこと?家を売るときに役に立つ?

地価公示とは、国が土地の価格の目安となる金額を発表することです。

土地には公示地価・基準地価・路線価・固定資産評価の4つの価格があり、これに市場価格・実勢価格を加えて、「一物五価」と言われることもあります。

このうちの公示地価を発表するのが地価公示になります。

今回は地価公示について、売主がおさえておきたいポイントを解説していきますね。
よろしくお願いします!

 

地価公示とは

土地を売ったり買ったりするときに、適正価格はいくらなのだろうと気になることがあります。そんなときに活用できるのが「地価公示」です。

地価公示とは、不動産取引の適正化を目的として年に一度、国が行っている土地評価で、全国各地の標準的な土地について、適正価格がいくらなのかを調査するものです。

このときの調査地点を標準地といいます。平成30年地価公示では2万6000地点が標準地となり、調査が実施されました。

地価公示では、毎年1月1日を基準日とする標準価格が決定され、3月下旬に官報で公示されます。

このときに公示される土地の価格を「公示地価」といい、さまざまな土地取引の指標として利用されています。

地価とは

地価とは、ごく簡単に言えば、土地の価値・価格です。

より詳細には、市場で売買されるときの価格としての地価と、課税の際にどの土地に対して誰にいくら課税するかという課税額算定の基礎となる価格を指します。

標準地の選定方法

地価公示における標準地は、「自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地」について土地鑑定委員会が選定します(地価公示法3条)。

つまり、土地の形状や広さ、利用状況や環境などが標準的と思われる地点が標準地として選定されています。

地価調査・基準地価との違い

地価調査は、国土利用計画法施行令にもとづいて都道府県が行っており、「都道府県地価調査」で算出・公示されるものを基準地価と言います。

調査や公示の日程、調査地点の数、対象範囲も異なっており、どちらが最新の情報であるか、どちらが近い条件の情報であるかを見分ける必要があります。

国が行う地価公示も、都道府県が行う地価調査も、目的は売り手・買い手いずれにも偏らずに、土地を客観的に評価することで、適正な地価の形成に寄与することです。

調査の時期が半年ずれていることで、時期による土地価格の変動を知る一つの目安として利用されています。

路線価との違い

路線価は、公示地価をもとに算出される土地の評価額です。

路線価は主に課税額額の算出で使われる財産評価基準として用いられるもので、その年の1月1日における主要道路に面した宅地1㎡あたりの価格です。国税庁が毎年7〜8月に公表します。

路線価は道路を基準にした価格

地価と路線価の違いは、地価はある特定の住所地について1㎡あたりの単価を出すのに対し、路線価は、道路を基準にしてある地点からある地点までを結んだ一定距離について1㎡あたりの単価を出す点です。

たとえば、A-B地点に接している土地はすべて○○円と決めます。

路線価には、相続税や贈与税の算出に使われる相続税路線価と、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税の算出に使われる固定資産税路線価の2種類があります。

課税標準となるため調査地点も多く、全国38万地点における地価が公表されます。

不動産鑑定評価額との違い

地価公示価格は、不動産鑑定評価額をもとに算出されますが、同じものではありません。

不動産鑑定評価は時価評価であり、あくまで評価時点での価格にすぎず、公示価格はその不動産鑑定評価額をもとにして、さらに市場の需給動向なども考慮した上で決定されます。

地価公示の利用シーン

地価公示は、さまざまな場面で土地(資産)の評価が必要になった場合に、適正価格を考える際の一つの目安になります。

地価公示が必要になるのは、主に次の3つの場面です。

①売買など一般的な土地取引で価格を決めるとき
②相続税、固定資産税などの課税額を決めるとき
③公共事業用地の取引価格を算出するとき

つまり地価公示は、取引価格を決めるため課税額を決めるために利用されています。

取引価格を決める

自分が持っている土地がいくらになるのか、これから買おうとしてる土地はいくらで買うべきなのかを知らないと、売買や相続、贈与などで不利になる場合も出てきます。

そこで、だいたいいくらが適正価格なのかを一般国民にもわかるように示すのが地価公示の意義です。

課税額を決める

地価公示には、課税額の課税標準という重要な役割もあります。

課税標準とは、税額を決めるときの算定基準です。

土地を相続したり贈与されたりしたときには相続税・贈与税が課され、この課税額を算出する相続税評価(相続税路線価)では、公示価格水準の8割が課税額の目安とされています。

また、毎年1月1日の賦課期日時点で固定資産(土地・家屋・償却資産)を所有している人は、固定資産税を支払わなければなりません。

この固定資産税の課税額を算出する固定資産税評価(固定資産税路線価)では、公示価格の7割が課税額の目安となっています。

公示地価価格を知るには

国土交通省地価公示・都道府県地価調査

公示地価は、国土交通省のウェブサイトにある「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」で調べることが可能です。

まず、調べたい都道府県名と市区町村名をそれぞれ1つ選択して検索します。

次に、地価公示のみ、都道府県地価調査のみ、地価公示・都道府県地価調査の両方の3つから任意の1つを選択し、用途区分の中から住宅地、商業地などを選択すると、該当する範囲の結果を見ることができます。

地価公示の見方

地価公示をチェックすることは、売却する不動産の価格や売り時を知るのにも役立ちます。

その際は金額だけでなく、変動率や実際の取引価格(実勢価格)との差にも注目してみるのがポイントです。

地価公示の変動率とは

地価公示は、標準地における地価だけでなく、変動率も確認することが可能です。

地価=土地の評価は、そのときどきの社会情勢や市場ニーズによって大きく変動するため、変動率をチェックすることで、当該土地の相場がどう変化しているのか、これからどう動いていくのかを判断しやすくなります。

たとえば、高い土地なのに変動率が高く、上昇傾向にあるなら、高くても欲しいという市場ニーズが高い人気のエリアといえるでしょう。

土地の相場が高いときは土地を売りやすくなるので、不動産市場が活況となる傾向があります。

公示価格と実勢価格に差がある理由

ある土地の価格がいくらくらいなのか知りたいときは、公示地価と標準地価を目安として利用できます。

もっとも、この2つが直ちに取引価格になるわけではありません。これらは、「この地点での土地の価値は○円くらい」という目安値です。

実際には、これらの価格を参考に、さまざまな要素が考慮された上で、取引価格が決められています。

たとえば、立地の詳細や景気、地域の状況、取引交渉の経過、市場ニーズなど、さまざまな事情を考慮して、土地の取引価格は変わります。

公示地価は客観的な指標ではありますが、あくまで目安の一つに過ぎないということです。

まとめ:地価公示とは国が土地価格の目安を発表すること

地価公示とは、国が土地価格の目安を発表することです。

そこで発表される価格である公示地価は、土地の取引価格や課税される税金の額を決めるための客観的な指標とされ、公正さを保つために役立てられます。

公示地価を知っておけば、売却価格に目安をつけることができるので、相場価格の把握や売り出し価格を決めるときの基準として利用してください。