旗竿地とは

2019/03/05 投稿 2019/03/15更新
旗竿地ってどんな土地?

 

マイホームを建てたい、環境を重視して建売を探したい時に、「旗竿地」という言葉を目にする人も多いです。

一般的な土地よりも安く購入できる旗竿地ですが、購入後やマイホームを建てた後、売却するとなったときに後悔はしたくないですよね。

ここでは、旗竿地の概要やメリットデメリット、さらに旗竿地を最大限活用できる方法をご紹介します。

旗竿地の購入はもちろん、売却を考えている人もぜひ参考にしてください。

旗竿地とはどんな土地か

旗竿地の説明

旗竿地(はたざおち)とは、名前のとおり竿のついている旗のような形をした土地を指します。

スポーツ応援や観戦時に使用する手旗のような形を想像すれば、分かりやすいでしょう。

旗の部分にあたる家や建物を建てる土地スペースが奥まった場所にあり、竿の部分にあたる細長い道が公道に続いている構造です。

なお、旗竿地という名称のほかにも、「敷延(しきえん)」という名前で呼ばれることもあるので、こちらの名称で知っている人もいるかもしれません。

一般的な土地に比べて独自の構造の旗竿地は、メリットもデメリットもあります。

次に、旗竿地の特徴を踏まえたメリットとデメリットを見てみましょう。

旗竿地の4つのメリットとは

旗竿地や旗竿地に建てられた住宅の購入を検討している人は、メリットを踏まえていることも多いです。

旗竿地を売却する場合も、メリットを上手く伝えられると成約率が上がるはず。

一般的な土地では得られない、旗竿地ならではのメリットを4つ見てみましょう。

メリット

・土地の価格が安い
・行動から家の中が見にくい
・静かな環境のところが多い
・内装や建物にこだわりが持てる

土地の価格が安い

旗竿地は特殊な立地のため、敷地内に建物を建てる際は色々な工夫が必要になります。

一般的な土地よりも建物が建てづらいといった面から、土地自体の価格が安い傾向にあるのが特徴です。

地方都市よりも地価が高く、マイホームを建てづらい都市部でも、旗竿地を選ぶと土地の費用をおさえられるため、マイホームを持てることもあります。

土地のコストをおさえたいときにも、旗竿地は選択肢のひとつに入ります。

公道から家の中が見えにくい

旗竿地は公道に面している部分が細長い路地になっています。

人通りの多い箇所に面して家や建物を建てることがないため、公道から家の中が見えにくいというのもメリットのひとつです。

通りすがりの人に家の中を見られる心配がないので、公道に面した箇所に外壁を作る必要もありません。

よって、プライバシーが守られる上に、外壁などのコストを抑えられるといったメリットも得られます。

静かな環境のところが多い

旗竿地は公道に面しているところから奥まった場所に住居や建物を建てます。

マイホームなら人通りが多く騒がしい場所からは一歩外れたところに住むことになりますので、比較的静かな環境で住める場合が多いのもメリットです

。閑静な環境を求めて郊外に家を建てる人も多いですが、旗竿地なら都市部でも比較的閑静な環境で住めるのも特徴です。

内装や建物にこだわりを持てる

旗竿地は土地や外壁にかけるコストを抑えられる特徴があります。

そのため、抑えられたコストを内装や建物のこだわりの部分にかけることもできます。

限られた予算内でこだわりのマイホームを建てたい時や、内装は好きなインテリアや雰囲気を保ちたい時にも、旗竿地を選んでコストを抑える選択肢もあります。

都市部でもこだわりのマイホームを実現したい人にも嬉しいメリットです。

旗竿地のデメリットと対策法

旗竿地は独自の構造のためメリットがある反面、デメリットもあります。とはいえ、デメリットも色々な工夫で対策は可能です。

買主の方は、売主本人から旗竿地に住んで感じたデメリットを聞きたがるもの。

旗竿地を購入したり、マイホームを建てたりする前に知っておきたいデメリットと、デメリットをメリットに変えられる対策方法をご紹介します。

駐車がしにくい

旗竿地は公道に面している部分が細長い道です。よって、公道からそのまま車を入れて駐車することができません。

また、旗竿地の竿の部分の幅によっては、車を停めることができない場合もあります。

車は竿の部分に停めるのを前提に、3mほどの幅を保てば問題ありません。

また、電車などほかの交通機関が発達している都市部なら、日常的に車を使う機会が少なくなることも多いです。

大きな車ではなく軽自動車に乗り換えをする、車を手放してカーシェアリングなどを検討する、近隣に駐車場を借りるなどの選択肢もあります。

大きなマイカーを複数持つ必要がなければ、色々な工夫で駐車の問題も解決できます。

日当たりが悪くなりやすい

竿の部分から旗に当たる土地までの距離があるため、旗竿地に建てられた住宅や建物は採光しにくく、日当たりが悪くなりやすいというデメリットもあります。

このデメリットを払しょくするには、竿部分を有効活用するのが対策方法として有効です。

・竿部分に面している部分にベランダや大きな窓を作る
・1階部分はお風呂などの採光が気にならないスペース、2階以上に子供部屋やリビングなど採光が欲しいスペースにする
・3階建てやルーフバルコニーなど高低差で採光を検討してみる

竿部分は公道に面しているため、さえぎるものがなく十分な採光が見込めます。

竿部分に面したところに大きな窓を取り入れる設計にする、リビングなどの採光が欲しい部屋は2階部分に作る、あえて3階建てやルーフバルコニーも検討するなど、旗竿地ならではの構造を活かせば、日当たりも取り入れられます。

近隣からのプライバシーが気になる

旗竿地は公道から家の中が見えにくい一方で、竿部分から奥の住宅はどうしても近隣住居と隣接する形になります。不特定多数の人から見られることは少なくなりますが、その分近隣の人から家の中を見られやすい、というデメリットもあります。

このデメリットへの対策として、竿部分を活かしてよりプライベート感の強い住宅を作れるメリットへ転換が可能です。

・竿部分から外壁を作る
・竿部分から旗部分の境界線に門を作る
・竿部分から旗部分まで丸ごと囲んでしまう

竿部分から外壁を作れば、公道からはもちろん、近隣からの目も気になりません。

これに加えて、竿部分から旗部分の境界線に門を作ると、さらに旗部分すべての土地をプライベート空間として活用できます。

竿部分から直線状に玄関を作るのではなくややスペースを取る、または住宅を竿部分から垂直上に玄関が来る構造の住宅にすれば、プライベート感満載の庭を持つことも可能です。

竿部分から旗部分まで丸ごと外壁や門で囲んでしまえば、さらにプライベートな空間として活かせます。閑静な環境をより活かすメリットとしても活用できるでしょう。

建築やインフラコストが上がる場合がある

旗竿地は旗部分と竿部分があるので、実際に旗部分に住居や建物を建てるさいに建設機械が入りづらいことがあります。

また、電気や水道、ガス管といったインフラ設備が竿部分から奥に通っていないこともあり、この場合は改めてインフラ設備を旗部分にある住居や建物まで引かなければいけません。

よって、建築や建設費やインフラにかかる費用が想定よりも高くなる可能性があります。

これらのデメリットへの対策は以下の通りです。

・住居や建物を建てるときは、必ず見積もりを確認しておく
・土地を購入するときに、インフラの有無を確認しておく
・建売や中古物件を購入する

旗竿地を購入、または相続などで取得し、これから住居や建物を建てる場合は、依頼する建設会社やハウスメーカーに見積もりを頼むなどして、費用を確認しておきましょう。

後からの予想外の出費を防げます。

また、旗竿地の購入を検討している場合は、土地の安さだけでなくインフラ整備の状況も確認しておきましょう。

土地の安さだけで購入してしまうと、いざ住居や建物を建てるときに、同じくインフラ設備で予想外の出費が出てしまう可能性もあります。

また、あらかじめ建売、または中古物件を購入すると建築やインフラに関するデメリットを払しょくできます。

ただし、中古物件を購入する上で、リノベーションのさいには同じく重機や建機が入れない、インフラが届いていないなどがないように確認しておくのがおすすめです。

セキュリティ面での不安がある

竿部分があるので公道から見えない立地にあるということは、不特定多数の人の目に届かないメリットがある反面、多くの人の目につきにくいデメリットになります。

つまり、空き巣や泥棒などに狙われやすくなってしまうのです。

防犯上のデメリットへの対策は以下の通りです。

・あえて近隣の目を利用する
・防犯対策をする

旗竿地は近隣住居から隣接しているため、公道からは見えにくいですが近隣から見えやすい立地にあります。

外壁などでプライバシーは守りつつも、近隣とのつながりを強くしておくと、犯罪への抑止力にもなります。

最低限の近所づきあいはしておくのがおすすめです。

また、個人的に防犯性を高める取り組みもたくさんあります。

年末など家を留守にする機会が多い季節や、空き巣が多発したさいには自治会などの地域コミュニティから防犯に対する回覧や掲示も多くなりますので、それらを参考にするのも良いでしょう。

また、お住まいの自治体の警察本部でも、防犯対策に関する情報を発信しているため、目を通しておくと個人的なセキュリティ対策の方法が分かります。

例として、警視庁が公開している空き巣対策をご紹介します。

・補助鍵をつける(二重鍵にする)
・ドアとドアの間にこじあけ防止のガードプレートを付ける
・オートロックなど防犯性の高い鍵に付け替える
・窓にも補助鍵、防犯フィルムを貼る
・窓には面格子やシャッターを取り付ける
・センサー付きのライトをつける
・インターフォンはカメラ付きにする
・外壁を網上のフェンスにするなど、外見上見やすいものにする
・敷地内に砂利を敷く
・近隣への外出でも必ず施錠をする
・スペアキーなどを郵便受けに隠したりしない
・脚立、段ボールなどに階への侵入の足場になるものを置かない
・郵便受けに物を溜めない

侵入窃盗の防犯対策 警視庁】より

旗竿地のセキュリティ面でのデメリットも、少しの工夫で対策はできます。

また、防犯といえば泥棒や空き巣をイメージしがちですが、放火などの犯罪もあります。

また、防犯対策をしておくと地震や火事などの災害時にも逃げやすい、火の回りを遅らせられるといったメリットもあります。

防犯と防災面両方でしっかりセキュリティ対策をしておくのは、旗竿地だけでなく一般的な住居や建物も同様です。

旗竿地が生まれる理由とは

旗竿地がなぜ生まれるのか疑問に思う人も多いでしょう。この理由は、土地を有効活用するため、の一言に尽きます。

所有している土地を子どもに相続させようとすると、相続税が発生します。

さらに、兄弟が多くいる場合は分割するわけにもいきませんし、相続問題でもめる原因にもなってしまいます。

そこで、所有している土地を手放すため、有効活用しようと考える人は多いでしょう。

限られた面積の土地に複数の建売住宅を建てて、土地付きの分譲住宅として売却する上ではおのずと旗竿地となるケースは多いです。

例えば、長編のほうが長い土地に3棟の建売住宅を作るとすれば、1棟は公道に面した住居となり、残り2棟はおのずと旗竿地となります。

近年では、マイホームを購入しても終の棲家として考える人はだんだん少なくなってきています。子育てをしている間だけ一戸建てを構え、子どもが大きくなって独立すれば利便性を考えてマンションに移り住む人も多いでしょう。

ライフステージに合わせた住み替えがスタンダードになってきているのも、旗竿地が増加する理由のひとつです。

まとめ:上手に活用すれば旗竿地は理想の住居も作れる

旗竿地の概要やメリット、デメリットと対策法、旗竿地が増える理由をご紹介しました。

旗竿地はデメリットがどうしても目につきがちですが、しっかりと対策をすれば旗竿地ならではのメリットにも転換できます。

将来的な住み替えも当たり前になっている現代だからこそ、旗竿地に家を建てる選択肢もひとつの方法と言えます。