ホームステージングとは
生活に合った住まいを求めていると、目にすることも多い「ホームステージング」の文字。
何となく意味は理解できるけれども、具体的な説明はできない人も多いのではないでしょうか。
実はホームステージングを上手に活用すると、より快適な住まい作りや探しだけでなく、上手な不動産売却にもつながります。
ホームステージングとは?
ホームステージングは不動産業界を始め、色々な業界で取り入れられています。
ホームステージングの概要と、不動産売却との関係を見てみましょう。
生活を快適にするための手法
ホームステージングとは、快適な住まいや生活のための手法全てを指します。
就職や結婚、子どもの成長や退職など人生に影響のある重大なイベントを「ライフステージ」と呼びますが、ライフステージごとで住まいや生活に求めるものや重視するものは異なってきます。
生活に求めるものや、暮らしの上で発生した問題解決のために、専門家の技術力や知識を活かし、快適な住まいや生活を実現させるのがホームステージングです。
人の快適な生活のための重大な要素が「住居」です。
ホームステージングはライフステージごとに変化する住居への要望充足や問題解決のために、インテリア、リフォーム、ハウスクリーニング、遺品整理、そして不動産と、住まいの根本である住居に関連する各業界でその手法が発揮されています。
不動産売却とホームステージングの関係
ホームステージングはその住居に住む人の生活を快適にするための手法であり、すでに住んでいる住居に手を加えるリフォームやインテリアコーディネートの分野に加えて、住まいを売却する上でも効果的に発揮される手法でもあるのです。
住まいを売却するには、効果的に住まいの魅力を購入希望者にアピールしなければいけません。
ホームステージングを売却したい住居に取り入れることで、購入希望者に対して住まいの魅力のアピールや実際に住む上でのイメージを抱いてもらいやすくできるので、住居の売却もしやすくなるのです。
よって不動産売却におけるホームステージングとは、購入希望者に向けて住居の魅力をアピールするため、必要に応じて生活で使っている家具を片付け、インテリアをレンタルして配するなど、住まい(ホーム)の魅力を舞台の様に演出する(ステージング)手法を指します。
ホームステージングの起源
ホームステージングとは、元々アメリカで生まれた不動産売却の手法です。
ホームステージングの起源と現在の日本でのホームステージングの位置づけを見てみましょう。
中古物件売却が一般的なアメリカが起源
ホームステージングとは、元々1970年代のアメリカで不動産売却の手法のひとつとして当時不動産業者だったバーブ・シュワルツ氏によって生み出されました。
日本よりも中古物件の売買が盛んにおこなわれているアメリカで、効率よく中古物件を売却する上で効果的な手法はないかと考案され、現在でもホームステージングはアメリカの不動産売却において一般的な手法として用いられています。
日本でもホームステージングが徐々に定着
日本でもホームステージングの概念を定着させる目的で、2013年8月19日に一般社団法人「日本ホームステージング協会」が設立されました。
現在は、ホームステージングにおける提案から実際の演出まで手掛ける技術や知識を持った専門の「ホームステージャー」育成のための講座開講や資格認定を行っています。
ホームステージャーを通じたホームステージングが中古物件売却に用いられる機会も、日本で徐々に増加してきました。
不動産情報サービス「東京カンテイ」によると、2014年に東京都内で売り出された中古マンション件数は約41万件で、1990年より約5倍に増回しています。
日本では新築物件の売買がメインでしたが、年々中古物件売買は盛んになり、今後も増加していくことが予想されます。よって、ホームステージングも今以上に一般的な不動産売却の手法として認知されていくでしょう。
さらに不動産売却だけでなく、ホームステージングは現在のライフスタイルに合わせた快適な住まいを提案する手法として、不動産業界以外でも活用されつつあります。
ホームステージングを導入する目的とメリット
ホームステージングを手法として取り入れると色々なメリットが得られるため、幅広い業界で取り入れられるようにもなりました。
ホームステージングを導入すると得られるメリットを、それぞれの目的別に見てみましょう
効果的な不動産売却につながる
ホームステージングがそもそも生まれたのは、不動産売却目的です。
ホームステージングを活用することで、住居の魅力を購買希望者に効果的に伝えられますので、より多くかつ早期の不動産売却につながります。
また、ホームステージングを利用することで不動産の査定額が上がったケースもあります。
つまりホームステージングは、できるだけ早く住居を売りたい時はもちろん、住宅ローン残債があるなどでできるだけ高く住居を売りたい時にも活用する手法として有効です。
さらに、住んでいた人が亡くなった場合などで空き家を売却したい場合も、遺族が空き家を効果的に売却するためにホームステージングを手法として活用するケースもあります。
新築はもちろん今住んでいる物件も売れやすくなる
ホームステージングを取り入れれば、今住んでいる住居でも生活感を排除し、内覧者にまるでモデルハウスのように演出して魅力を伝えられます。
住んでいる物件でも、プロの手によって家具を片付け、レンタルした家具を魅力的な演出のために配置するため、新築や空き家の中古物件だけでなく、住み替えのための売却で済んでいる状態で売却したい時でも、有利に売却に進められます。
賃貸物件の契約にもつながる
ホームステージングは不動産の売買だけでなく、賃貸でも効果を発揮します。
退去後の賃貸物件はハウスクリーニングをした上で、間取りが古いなら新しくリフォームやリノベーションを行って、より多くの入居希望者を得られるようにします。
ところが、部屋の中に何もないとその部屋で生活しているイメージが沸きづらいため、なかなか賃貸物件の入居者が決まらない、ということも少なくありません。
賃貸物件をホームステージングで内装することで、入居希望者にも視覚的な魅力として演出でき、空き家や空き室を防げるメリットもあります。
視覚的な魅力として訴えられる
不動産の売却や賃貸物件の入居者募集を訴える場合は、実物の内覧前にチラシやパンフレット、インターネットの写真でチェックした上で、興味を持つ場合が多いです。
ホームステージングは、実物を見る前の画像や写真としても、視覚的な魅力をアピールできます。
まだ購入する予定はなくても、「とりあえず見てみたい」という潜在的な購買層や契約層の発掘にもつながるでしょう。
住んでいる住居を快適にする
ホームステージングは、不動産の売却や賃貸物件の契約など、「これからその住居に住む人」を対象にする以外にも、今住んでいる人が自分のライフステージに合った快適な暮らしのために活用する事例も増えてきました。
例えば、できるだけ安い費用でデザイン性や機能性の高い住まいにするために、リサイクル家具や製品を利用してホームステージングをする、子どもが生まれたので安全性と機能性を兼ね備えた配置のためにホームステージングするなど、空間やインテリアコーディネートの観点でもホームステージングは活用されています。
ホームステージングを導入する方法と費用
多くのメリットがあり幅広い目的が達成できるホームステージングは、今後さらに活用されることが予想されます。
実際にホームステージングを導入するにはどうすれば良いかの方法と費用を目的別に見てみましょう。
自分でホームステージングする
元々インテリアコーディネートに興味があるなど、自分でやってみたい場合は自分でホームステージングするのも可能です。
ホームステージングを依頼できる業者が見つからない場合や、住んでいる住まいをそのまま快適にしたい場合、自分のこだわりを取り入れたい場合には有効な方法です。
自分でホームステージングするには
ホームステージングの技術や知識を取り入れるには、日本ホームステージング協会が認定するホームステージャーの資格取得がおすすめです。
ホームステージャー資格は1級と2級があり、それぞれ認定講師養成講座の受講と試験に合格すると認定されます。
ホームステージングの技術や知識が身に着くだけでなく、協会認定の講師としてホームステージング口座の開催もできるようになります。
2級認定講師養成講座(1日・受講費54,000円)を受講後、2級講座認定講師試験(受験費 21,600円、筆記60分・実技60分・面接15分)を受験して合格すれば認定。
すでにホームステージャー2級資格を取得済みで、ホームステージャー1級認定講座(2日、受講費86,400円)を受講すれば認定。
目的に応じてホームステージャー資格取得者へ依頼
ホームステージングが認知されつつあるのに伴って、インテリアショップやリフォーム業者でホームステージングも同時に手掛けている業者や店舗も増えてきました。
快適な暮らしをしたい、住居を売却したい、リフォームしたいなど目的に応じた業者に依頼するさい、同時にホームステージングを手掛けている業者を選ぶと、同時に依頼ができます。
費用や条件はホームステージングのみでも依頼可能、リフォームやインテリアの購入をした人のみなど、業者や店舗によって異なります。
不動産業者に依頼する
賃貸物件の契約や住居の売却のためにホームステージングをするなら、上記の方法に加えてホームステージングを手掛けている不動産業者を利用する方法があります。
特に、近年では不動産業者の担当者がホームステージャー資格を取得して、サービスの一環でホームステージングを提供するようになった不動産業者も増えてきました。
不動産業者に依頼した場合の費用は、不動産売却のさいにかかる仲介手数料に含まれたり、サービスの一環で提供していたりと比較的費用負担が少ないのが特徴です。
早く売りたい、できるだけ高く売りたいなどの不動産売却に対する希望がある場合は、ホームステージングを手掛けている不動産業者を選ぶ方法もあります。
まとめ:今後ホームステージングが不動産売却でも一般的になる可能性も
ホームステージングの概要や起源、ホームステージングを導入すると得られるメリットや目的、方法や費用についてご紹介しました。
今後日本でもアメリカの様に中古物件売買がより盛んになっていくと予想されています。
より多くの住居を効果的に売却する上だけでなく、今の生活をより快適にする方法として、ホームステージングが一般的になる可能性も高いでしょう。