家の買取ってどうなの?
仲介との違いやメリット・デメリットを徹底解説
家を売るときは、直接買い取ってもらうか、中古住宅の購入を考えている買い手を探して仲介してもらうか、どちらかを不動産会社に依頼するのがほとんどです。
買取の場合だと、不動産会社に家を売ることになるので、購入希望者を探す手間がなく、売りたい家をすぐに現金化することができます。
こう聞くと、「すぐに現金化できるなら、買取を選ぶ方がお得じゃないの?」と思う方も多いかも知れませんね。
確かに不動産会社に家を買い取ってもらう方が、すぐ家をお金に換えられるのは間違いありませんが、売却金額は実際に市場で売りに出されている中古住宅よりも3割ほど安くなってしまうのです。
そうなると話は変わってきますよね?
しかし、中古住宅の買取最王手カチタスが1年間で買い取って家の数は約4,000戸。それほど家を買取に出す人も多くいるのです。
買取と仲介の違いは一体何なのか、買取にはどんなメリットがあるのか気になってきませんか?
今回の記事では、買取と仲介の違いを徹底調査。買取にはどんなメリットがあって、どんな家が買取に向いているのかもお伝えしますので、買取か仲介か悩んでいる人も参考にしてください。
買取と仲介の違い
まずは、買取と仲介に関する以下の違いについて解説していきます。
・手数料の違い
・金額の違い
工数と期間の違い
仮に、不動産会社に買主を探してもらう「仲介」を選択した場合は以下の流れになります。
【仲介のスケジュール】
査定 | 1週間程度 |
---|---|
媒介契約の締結 | 訪問査定から1週間程度 |
売却活動 | 3か月程度(物件によって大きく異なる) |
申込&契約 | 1週間 |
引渡し | 契約から1か月程度 |
一方、買取の場合は訪問査定をしたときに買取金額を言われることが多く、買取金額に納得できたらその場で申込みを受けます。
そして、数日~1週間以内に契約をするという流れです。
つまり、最も時間がかかる「売却活動」がないので、買取は仲介よりも売却スピードが格段に早いのです。
手数料の違い
仲介の場合は、仲介してくれたお礼として不動産会社に仲介手数料を支払います。
物件価格が400万円超の場合には、一般的に「売却価格×3%+6万円(税別)」が仲介手数料率です。
そのため、仮に3,000万円の物件を売却した場合には、「3,000万円×3%+6万円」に消費税を加味した1,036,800円が仲介手数料です。
一方、買取は不動産会社が「仲介」するわけではなく、不動産会社自身が物件を「買取」します。
そのため、仲介手数料は発生しません。
金額の違い
また、詳細な理由は後述しますが、買取の場合には相場価格から3割ほど下落して買い取られることが多いです。
つまり、相場価格が3,000万円であれば2,100万円ほどまで下落する可能性があります。
一方、仲介の場合は相場価格付近で成約になることが多いです。
買取査定の価格
前項のように、買取価格は相場価格から3割ほど下落することがほとんどです。
なぜ買取価格は仲介で売却する価格よりも下がってしまうのか…。
納得の上で買取を依頼するために、以下3つのポイントを知っておきましょう。
・買取価格が業者によって異なる理由
・必ず相場価格をチェックする
買取価格が相場価格より下落する理由
買取価格が相場価格より下落する理由は、買取業者がその物件を再販することで以下の費用がかかるからです。
・リフォームやリノベーション費用など
まず、不動産を売買するときは、不動産取得税や登録免許税をはじめとした諸費用がかかります。
不動産を買い取って再販するということは、購入時も売却時も諸費用がかかるということです。
また、再販するときはリフォーム・リノベーションしてから売り出すことが多いので、その費用もかかってきます。
そのため、相場価格で買い取ると赤字になるので、買取価格は仲介時(相場価格)よりも安くなるのです。
買取価格が不動産会社によって異なる理由
また、買取業者に査定依頼すると、買取価格は業者によって異なることが分かります。
というのも、買取業者によって以下のように事情が異なるからです。
・リフォームやリノベーションする内容
・得意なエリアかどうか
自社でリフォームするか他社にリフォームを依頼するかでリフォーム費用は異なります。
また、フローリングとクロスだけ張り替えるリフォームをするのか、水まわりを含めて全てリノベーションするのかでも費用は違います。
その費用額によって買取金額は変わります。
さらに、たとえば直近で売却実績がある「得意なエリア」であれば、すでに検討顧客を抱えていて高く売りやすいかもしれません。
仮に、その買取業者が得意なエリア…つまり買い取りたいエリアであれば、ほかの買取業者よりも高い買取価格を提示する可能性もあります。
必ず相場価格をチェックする
このような事情で買取価格は不動産業者によって異なります。
そのため、買取業者に査定依頼する前に、以下を利用して相場価格をチェックしておきましょう。
・REINS Market Information
・土地総合情報システム
ポータルサイトとは、SUUMOやHOME’Sなどのサイトのことで、このサイトによって現在売り出されている価格が分かります。
しかし、値引きを受ける前提として高く売り出しているケースも多いため、ほか2つのサイトを利用して、過去に実際に成約した事例を調べましょう。
そうすれば相場価格を知ることができ、買取業者が提示した金額が相場価格とどれほど乖離があるか分かります。
その上で買取業者が買い取り価格を提示した根拠を聞きつつ、優良な買取業者を選ぶことが重要です。
買取のメリットとデメリット
前項までで買取の概要や、価格が下がるという注意点が分かったと思います。次に、買取のメリットとデメリットを解説していきます。
買取のメリット
買取のメリットは以下の通りです。
・決済が早い
・売却活動がない
・瑕疵担保責任が免責となる
・近隣に売却していることを悟られない
・仲介手数料がかからない
決済が早い
買取の最も大きなメリットは決済が早い…つまり現金化が早いということです。
上述したように、仲介だと工数が多いため、査定から決済(現金化)まで半年前後の時間がかかることも少なくありません。
一方、買取の場合には1か月足らずで現金化できるケースが多く、場合によっては2週間程度で現金化することも可能です。
ただ、「買取業者が現金で買い取るのか融資を受けるのか」、もしくは「売主自身が抵当権抹消など引渡しに必要な手続きを早めに終わらせることができるのか」などによって決済までの期間は異なるので、事前に確認しておく必要があります。
売却活動がない
また、仲介であれば以下のような売却活動があります。
・内見者とのスケジュール調整
・内見者の案内や出迎え
・交渉や契約など
仲介会社の営業マンが主導するものの、特に内見のスケジュール調整や内見者の出迎えなどは売主にとって負担です。
そのため、この売却活動がない点も買取のメリットといえるでしょう。
瑕疵担保責任が免責となる
瑕疵担保責任とは、「引渡し後に欠陥(≒瑕疵)があった場合に売主が持つ責任」のことです。
たとえば、引渡し後に雨漏りが発生し、その瑕疵担保責任が売主にあるとします。
その際は、該当部分の補修費用の負担などを売主が負うことになるのです。
しかし、買主が宅建業者の場合には、売主は瑕疵担保責任を負いません。
つまり、買取の場合は買取業者(宅建業者)が買主になるので、売主は瑕疵担保責任を負わないということです。
近隣に売却していることを悟られない
また、買取の場合は広告活動をしないので、近隣の方に家を売却していることを知られることがありません。
もし、何かの事情で近隣に知られずに売却したい場合は、買取を選択すると良いでしょう。
買取のデメリット
一方、買取のデメリットは何といっても、売却価格が3割ほど下落してしまうことです。
また、もう1つのデメリットは、物件によっては買取を断われるケースがあるという点です。
というのも、買取業者は基本的に転売…もしくはリフォーム・リノベーションをしてから転売するので、家があまりに劣化しているなどの場合には買い取ってくれないのです。
この価格面と買い取ってくれるかは物件によるという点は買取のデメリットといえるでしょう。
買取に向いているケースとは
メリットもあればデメリットがある買取。
自分の家が買取に向いているかどうかはどう判断すればいいのでしょう。
考え方としては、買取のデメリットである「売却価格が3割下がる」という点より、上述した買取のメリットの方が魅力的に感じるかどうかを判断材料にすることです。
では、具体的に、買取に向いているケース・向いていないケースを紹介していきます。
買取に向いているケース
まず、買取に向いているケースを、その理由を含めて紹介します。
買取に向いているケース | なぜ買取が向いているのか |
---|---|
安くてもいいからとにかく早く売ってしまいたい | 現金化が早いから |
売却にかかる費用が捻出できない | 仲介手数料がかからないから |
売却していることを知られたくない | 近隣に売却を知られないから |
古い家を売りたい | 古い家は売却に時間がかかりがちだから |
遠方にあって管理できない | 売却活動がないので楽だから |
とにかく早く現金化したいという方は、むしろ買取でないと厳しいでしょう。
ほかにも、仲介手数料がかからない点や、近隣に売却を知られない点など、上述したメリットに共感できるケースには買取がおすすめです。
買取に向いていないケース
一方、以下のようなケースは買取に向いていないといえるでしょう。
買取に向いていないケース | なぜ買取に向いていないのか |
---|---|
売却価格を下げられない | ローン残債で売る必要があるから |
築浅物件 | 仲介の方が高い売却価格になる可能性があるから |
売却期間に余裕がある | 仲介の方が高い売却価格になる可能性があるから |
買取に向いていないいずれのケースも、価格が下がってしまう買取のデメリットが原因です。
家を早く売ることよりも、高く売ることが大事なら、買取は向いていません。
買取の流れ
買取の流れは以下の通りです。
まずは、ネットなどを経由して買取業者に買取査定の依頼をします。その後、実際に家を見て査定をする「訪問査定」を経て、金額を算出します。
その上で、売却スケジュールなどを相談した後に、双方が納得できる価格・スケジュールを決めて契約するという流れです。
そして、その後に事前に決めたスケジュールに沿って引渡しを行います。
買取保証とは
また、買取以外に「買取保証」という方法があります。
これは、不動産会社との間で「○月〇日までに本物件が××万円で売れないときは、当社が△△万円で買取ます」という約束をすることです。
たとえば、「何かの事情で今から4か月後までには決済する必要がある場合など、3か月は通常の売却をして、それでも売れなければ3か月後に買い取ってもらう…」というときに買取保証を利用します。
おすすめの買取業者
さいごに、おすすめの買取業者を5社紹介します。
以下より紹介する買取業者は、基本的に年間の販売戸数が多い順…つまり実績が豊富にある順に紹介しています(リフォーム新聞の調査データを参照しています)。
1位:カチタス
カチタスは地方都市を中心に展開している買取業者であり、年間3,700戸近い成約実績があります。
会社としても30年以上の歴史を持ち、実績が豊富な点が1位の理由です。
2位:ベストランド
第2位は、年間販売戸数2,200戸超えのベストランドです。
ベストランドは東京都を中心に展開しており、低価格帯のマンションを中心に買取をしている会社になります。
3位:インテリックス
3位のインテリックスは東京都渋谷区に拠点を置きながらも、首都圏以外に地方都市でも販売実績が豊富な会社です。
そのため、たとえば東京在住なものの地方にある物件を買い取ってもらうときなどに良いでしょう。
4位:大京穴吹不動産
4位は大京穴吹不動産です。
大京穴吹不動産は「ライオンズマンション」で知られ、住友不動産や三井不動産などと一緒にメジャー7(大手マンションディベロッパー7社)にラインナップされています。
実績こそ前項までの3社に劣りますが、やはり圧倒的に知名度による安心感は強いでしょう。
5位:フジ住宅
フジ住宅は大阪府岸和田市に拠点を置く買取業者になります。
販売戸数実績も年間1,300戸を超える規模を誇っているので、関西の物件の買取を考えている方は検討してみてはいかがでしょうか。
すぐに家を現金化したいなら買取を選ぼう
買取にするか仲介にするか…この選択はなぜ家を売るのかによっても変わってきます。
もし住宅ローンが残って家を売らなければいけない場合なら、残った住宅ローンを完済できるような金額で売却する必要があるので、高く売れる可能性がある仲介の方が向いているでしょう。
一方で、すぐにでもお金にしてしまいたいという場合は、断然、不動産会社に直接家を買い取ってもらう方が向いています。つまり、一長一短ある買取と仲介は、自分がなぜ家を売るのか、家を売った後どうしたいのかを考えることが重要です。
そうすれば、「これだけは譲れない」という条件が出てくるはずですので、その条件に合わせてどちらかを選択するようにしてください。