固定資産税評価額とは

2019/03/21 投稿 2019/03/20更新
固定資産税評価額って、いったい何の金額何だろう?

 

土地や建物を所有していると、毎年色々な税金を支払う必要があります。不動産に関する税金を決定する上で重要になるのが、「固定資産税評価額」です。

ここでは、固定資産税評価額の概要や、固定資産税評価額から分かること、実際の評価額の調べ方を紹介しています。

今回は、気になる固定資産税の軽減措置や制度についてもまとめました。

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額とは、不動産に関する情報がまとめられている固定資産税課税台帳に記載された土地と建物それぞれの評価額を指します。

固定資産税評価額は不動産を所有している人が支払うべき4つの税金額を算出する上でも、基準となる価格です。4つの税金とは以下の通りです。

・固定資産税
・都市計画税
・不動産取得税
・登録免許税

固定資産税とは

その年の1月1日時点で、土地と建物を所有している人が支払う税金です。

都市計画税とは

その年の1月1日時点で、土地と建物を市街地区域に所有している人が支払う税金です。

なお都市計画税として徴収された税金は、市町村の公園や道路整備などの都市計画事業に使用されます。

不動産取得税とは

土地や建物といった不動産を売買または贈与で取得した場合、または新築や増築を行った場合に支払う税金です。

なお、不動産を相続した場合には不動産取得税はかからず、代わりに相続税の支払い義務が発生します。

登録免許税とは

不動産の売買や贈与による取得、新築や増築を行った際、さらに住宅ローンを利用する際には「不動産登記」を行います。

不動産登記を行う際にかかるのが登録免許税です。

固定資産税評価額から分かること

固定資産税評価額は、不動産を取得している人が支払うべき4つの税額が分かります。

これに加えて、不動産の売却相場を知るのも可能です。

・不動産を取得している際に支払う4つの税額が分かる
・固定資産税評価額を知れば、取得している不動産の売却相場も分かる

4つの税金と算出方法

固定資産税評価額は、固定資産税都市計画税不動産取得税登録免許税の4つの税金の基準となるので、固定資産税評価額を知れば、この4つの税額が算出できるようになります。

それぞれの算出方法を見てみましょう。

固定資産税の算出方法

固定資産税は、固定資産税評価額×1.4で算出できます。

都市計画税の算出方法

都市計画税は固定資産税評価額×0.3%で算出できます。

不動産取得税の算出方法

不動産取得税は、不動産が土地か住宅か住宅以外の家屋か、また取得した時期によって算出方法が異なります。

【土地と住宅】

平成15年3月31日までの取得した土地 固定資産税評価額×4%
平成15年3月31日までの取得した住宅または、
平成15年4月1日以降に取得した住宅と土地
固定資産税評価額×3%

【住宅以外の建物】

平成15年3月31日までの 取得 固定資産税評価額×4%
平成15年4月1日から平成18年3月31日までの取得 固定資産税評価額×3%
平成18年4月1日から平成20年3月31日までの取得 固定資産税評価額×3.5%
平成20年4月1日からの取得 固定資産税評価額×4%

登録免許税の算出方法

登録免許税は、固定資産税評価額×1.5%で算出できます。

固定資産税評価額から売却相場を知る方法

固定資産税評価額は、不動産公示価格・基準価格を合わせた「実勢価格」の70%を目安にして決められます。

よって、固定資産税評価額を70%で割ると、対象不動産のおおよその売却相場も分かります。

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額を調べるには、以下4つの方法があります。

・固定資産税の課税明細書を確認する
・固定資産課税台帳を閲覧する
・縦覧帳簿制度を利用する
・固定資産評価証明書を取得する

それぞれの方法について見てみましょう。

固定資産税の課税明細書から知る方法

土地や建物などの不動産を持っている人は、毎年4月になると該当する市町村より「固定資産税の納税明細書」が送られてきます。

納税明細書には、「固定資産税の課税明細書」が添付されており、課税明細書の欄には「価格」または「評価額」という項目があります。これが固定資産税評価額に該当します。

固定資産税の課税明細書は、市町村によって書式が異なります。

該当する箇所が分からない場合は、市町村の公式サイトの固定資産税に関するページにて、明細書の見方を説明していることが多いので、参考にしてみましょう。

固定資産課税台帳を閲覧する方法

各市町村役場では、所有している土地や家屋の所在地や所有者、評価額などがまとめられた固定資産課税台帳の閲覧が可能です。

固定資産課税台帳の閲覧できる部署や方法、必要書類等は市町村によって異なりますので、公式サイトなどを参考にしましょう。

例として、仙台市の場合を記載します。

仙台市の場合

閲覧できる場所 仙台市役所内の資産課税課または市内各区役所税務会計課、総合支所税務住民課
閲覧できる人 土地・家屋・償却資産の納税義務者など、または借地・借家人など(借地、借入人は賃貸借契約等の対象となっている資産の課税台帳のみ閲覧可能)
閲覧に必要な物 運転免許証など、官公署発行の写真付きの本人確認書類
手数料 300円(縦覧期間で自分の所有している不動産に関する課税台帳を閲覧する場合は無料)
参考サイト 固定資産税にかかわる縦覧・閲覧制度|仙台市公式HP

縦覧帳簿制度を利用する

毎年各市町村では、毎年4月に固定資産税納税者を対象に自身の所有する不動産と同一区画内の不動産の比較ができる「縦覧帳簿制度」を設けています。

縦覧帳簿制度は、固定資産課税台帳閲覧を管轄している部署で閲覧が可能ですが、毎年利用可能な期間が決まっているので、確認してから出かけるようにしましょう。(例:仙台市の場合は、平成31年度は閉庁日を除く4月1日(月曜日)から5月7日(火曜日)までの期間)

固定資産評価証明書を取得する

固定資産課税台帳を閲覧できる市町村部署にて、固定資産課税台帳に記載されている項目の「固定資産評価証明書」を請求することができます。

元々は、不動産の贈与や売買、相続時に必要となる書類ですが、固定資産税評価額も記載されているため、確認できます。

なお、請求できるのは不動産所有者本人と同居の家族、相続人、借地人、借家人、代理人です。

固定資産税評価額を決める方法

固定資産税評価額は以下の方法で決められています。

・実勢価格の70%を目安に
・3年ごとに見直す「評価替え」を行う

実勢価格の70%を目安に決められる

固定資産税評価額は、固定資産税課税台帳に記載された土地と建物の場合実勢価格の70%を目安に決められています。

実勢価格とは、国土交通省が全国の標準地の土地価格として公表している公示地価や、同じく都道府県が調査し標準地の土地価格として公表している基準地価を指します。

実勢価格の70%を目安とは、国が定める固定資産評価基準に基づいた算出方法です。対象となる不動産のある市町村自治体の固定資産評価員が評価を行い、最終的な固定資産税評価額を市町村の代表が決めて、所有者に通知されます。

3年ごとに見直す「評価替え」を行う

不動産の価値は、対象のある環境や社会情勢によっても変化します。よって、固定資産税評価額は3年に1度価格見直しを行う「評価替え」が行われています。

評価替え年度の固定資産税評価額は、原則として3年間価格据え置きとなります。

ただし、評価替え年度に該当しない時に取得した不動産、および価格の据え置きが適当でないと判断された不動産に関しては、改めて評価が行われて固定資産税評価額が決定されます。

固定資産税には軽減措置がある

固定資産税評価額は、固定資産を算出する基準となる価格ですが、実際の固定資産税を算出する際には以下の軽減措置があるのも覚えておきたいポイントです。

・土地についての特例
・家屋についての特例

土地についての特例

住宅の敷地として使用されている土地の課税額には、課税基準の特例があります。

・200㎡以下の小規模住宅用地部分は、固定資産税の課税標準額がその土地の評価額の6分の1に軽減
・200㎡を超える一般住宅用地部分は、固定資産税の課税標準額がその土地の評価額の3分の1に軽減

家屋についての特約

住宅として使用されている家屋については、以下の軽減措置や特例があります。

・新築住宅に関する減額
・住宅耐震改修に伴う減額措置
・住宅のバリアフリー改修に伴う減額措置
・住宅の省エネ改修に伴う減額措置
・認定長期優良住宅の新築に伴う減額措置

新築住宅に関する減額

新築された専用住宅、併用住宅及び共同住宅で、1棟の延べ床面積に対する居住部分の割合が2分の1以上。

居住部分の床面積が住居全体で住宅全般が50㎡以上280㎡以下(一戸建て以外の貸家住宅は独立した1区画が40㎡以上280㎡以下)の場合は、3年間(3階建て以上の中高層耐火・準耐火建築物である住宅については、5年間)にわたって床面積120㎡までの部分について、税額の2分の1が減額されます。

住宅耐震改修に伴う減額措置

昭和57年1月1日以前に建てられた住宅に対し、平成32年3月31日までの間に一定の耐震改修工事を行い、工事完了後3ヶ月以内に建築士などが発行する証明書を添え申告した場合、床面積120㎡までの部分について、翌年度から一定期間税額の2分の1が減額されます。

住宅のバリアフリー改修に伴う減額措置

新築された日から10年以上経過、かつ65歳以上の方などが居住する住宅に対して、平成32年3月31日までの間に一定のバリアフリー改修工事を行い、工事完了後3ヶ月以内に関係書類を添え申告した場合、床面積100㎡までの部分について、翌年度の固定資産税の3分の1が減額されます。

住宅の省エネ改修に伴う減額措置

平成20年1月1日以前に建てられた住宅に対して、平成32年3月31日までの間に一定の省エネ改修工事を行い、工事完了後3ヶ月以内に関係書類を添え申告した場合、床面積120㎡までの部分について、翌年度の固定資産税の3分の1が減額になります。

認定長期優良住宅の新築に伴う減額措置

平成32年3月31日までの間に新築された認定長期優良住宅が一定の要件を満たす場合、床面積120㎡までの部分に対して、一定期間、固定資産税の2分の1が減額されます。

まとめ:固定資産税評価額は不動産の価値を決める指標

固定資産税評価額の概要や分かること、調べ方、固定資産税の軽減措置や制度をご紹介しました。

所有している不動産の価値を決めたり、その年にかかる税金を知ったりする上でも、固定資産税評価額は大切な基準となります。

固定資産税評価額からおおよその売却相場も分かるため、3年に一度の評価替えも含めて評価額をまめにチェックしてみましょう。