レインズ(REINS)とは

2019/03/13 投稿 2019/03/12更新
レインズってよく聞くけど、不動産会社のためのものでしょ?売主にも関係ある??

不動産の売買を経験したことがある人…もしくは検討している人なら、レインズという言葉を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、言葉を聞いたことがあっても、その詳細を良く理解していない人も多いでしょう。

実は、売主もレインズの仕組みを知っておいた方が売却を有利に進められます。

なぜなら、売主でもアクセスできる情報もあるので、知っておくことでメリットがあるからです。

今回はそんなレインズに関して、レインズとは?という基礎的な知識から、売主がレインズへアクセスする方法・メリットなどを解説します。

売主も積極的にレインズを活用して、家の売却を成功させましょう!

レインズとは?

レインズ(REINS)とは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称であり、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムになります。

簡単にいうと、不動産会社しかアクセスができない専用のサイトであり、そのサイトを通じて不動産売買を円滑にするためにつくられました。

レインズが誕生する前までは、不動産の売買情報は不動産会社間でさえ共有されておらず、不動産会社ごとに情報を持っていました。

このようにクローズドな状態であったが故に、査定価格が不透明だったり、売主・買主が不動産情報を得ることができなかったりという状況だったのです。

そのような不動産業界の不透明性を、レインズによって解消しました。

不動産会社がレインズを利用してできること

不動産会社がレインズを利用してできることは以下になります。

・新規物件の登録
・過去の成約物件の閲覧

新規物件の登録

まず、不動産会社は媒介契約を締結している物件の情報をレインズに登録します。ただ、媒介契約には以下3種類あり、レインズ登録義務はそれぞれ異なります。

一般媒介契約 レインズ登録義務なし
専任媒介契約 レインズ登録義務あり(契約から7日以内)
専属専任媒介契約 レインズ登録義務あり(契約から5日以内)

新規物件としてレインズに登録することで、不動産会社は別の不動産会社が媒介契約を結んだ物件を、レインズを通して確認することができます。

また、不動産会社はレインズに登録した後、登録証明書を売主に発行します。売主は、その登録証明書をもって、レインズへの登録日を確認するという流れです。

過去の成約物件の閲覧

前項のように、レインズに新規登録された物件が成約した場合は、成約物件としてレインズへ登録します。この情報はレインズ登録業者の共有財産となり、過去に遡って成約物件を調べることが可能です。

この情報は、主に不動産売却査定の際に利用される情報になります。

というのも、売却査定のときは取引事例比較法という、「過去の成約物件を基に査定額を算出する方法」が利用されるからです。

つまり、不動産会社は査定依頼を受けた後、該当する物件と近い物件の成約事例をレインズから取得し、その情報を基に査定額を算出するということです。

売主が査定額の報告を受けるときに、他物件の情報も一緒にもらうことが多いですが、その情報は不動産会社がレインズから取得した情報になります。

レインズに登録される売主のメリット

レインズに登録される売主のメリットは、媒介契約を結んでいる不動産会社以外からも検討顧客を紹介してもらえる点です。

仮に、媒介契約を結んでいる不動産会社をA社とします。

A社は物件を売却するために、チラシやネットなどの広告活動を行い検討者の集客を行います。

ただ、チラシやネットなどの広告活動以外にも、ほかの不動産会社から「検討しそうな顧客がいる」という紹介を受ける場合もあるのです。

その場合、不動産会社Aと紹介してくれる不動産会社が日程調整をして、検討顧客の案内をします。

不動産会社は常にレインズをチェックしていますので、レインズを通して他社から検討顧客を紹介してもらえるケースは多いです。

このように、レインズに掲載することで他社から検討顧客を紹介してもらい、結果的に集客が増える点が売主側のメリットになります。

売主がレインズを利用してできること

上述のように、レインズはあくまで不動産会社のみ閲覧可能なサイトになります。そのため、レインズ登録業者でない売主がアクセスすることはできません。

しかし、それは過去の話であり、現在は一部の情報だけに限定されていますが、売主もレインズへアクセス可能になっています。

売主がレインズへアクセスして情報を取得することにより囲い込み防止にもつながるので、売主は必ず以下の点を知っておきましょう。

・確認できる物件と確認方法
・確認できる項目
・ステータスを確認できるメリット

確認できる物件と確認方法

売主が確認できる物件は、「専任」もしくは「専属専任」媒介契約の売り物件であり、2016年(平成28年)1月以降にレインズに登録・変更・再登録された物件です。

確認方法は、上述した登録証明書に専用確認画面を開くためのURLと、物件ごとに発行されたID・パスワードが記載されているので、それを利用してログインするという方法です。

つまり、自分の売り物件しか閲覧することできず、レインズ上から他物件の情報を見ることはできません。

確認できる項目

レインズで確認できる項目は「レインズに登録されている物件情報」「図面」「取引状況」の3点です。

物件情報と図面はそのままの意味ですが、取引状況は以下3種類になります。

取引情報
公開中 他者から問い合わせを受け付けている状態
書面による購入申込みあり 書面による購入申込みを受けている状態
売主都合で一時紹介停止中 売主の意志で物件売却が一時中断している状態

ステータスを確認できるメリット

売主にとって「取引状況」を確認できるという点は大きなメリットです。なぜなら、取引状況を確認することで「囲い込み」という大きなリスクを減らせるからです。

この点について以下を理解しておきましょう。

・囲い込みとは?
・囲い込みを防止できる理由

囲い込みとは?

そもそも囲い込みとは、不動産会社が媒介契約を結んで売却を担当している物件を、他者へ紹介しないことです。

レインズに物件が新規登録されることで、自分の物件が売却中であることを他者へ告知できます。

しかし、その物件の売却を担当している不動産会社からすると、他社の紹介で物件の売買契約が成立してしまうと、買主から仲介手数料をもらうことができません。

一方、買主も自社で見つけてくれば、売主・買主の両方から仲介手数料をもらうことができる「両手取引」になります。

つまり、不動産会社は物件情報を囲い込み他社へ流さないことで、両手取引になるよう仕向けているというわけです。

しかし、囲い込みをされると売主にとっては単に集客減になるので、「売却が遅れる」というデメリットしかありません。

囲い込みを防止できる理由

取引状況を確認することで「囲い込み」を防止できる理由は、取引状況が公開中か否かを確認できるからです。

たとえば、申込が入っていないのに「書面による購入申込みあり」だったり、売却を停止しているわけではないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていれば、囲い込みされている可能性があります。

しかし、取引状況を売主が閲覧できることで、このような状況を防ぐことができるというわけです。

ただし、ステータスを公開中にしていても、他社からの電話連絡に「現在紹介できません」と断られてしまえば、売主はそれを把握することができません。

そのため、取引状況をチェックすることで囲い込むへの抑止力にはなりますが、囲い込みを完全に防げるわけではないという点は理解しておきましょう。

REINS Market Informationとは?

レインズの情報の一部へは、宅建業者でない売主もアクセス可能することができます。

そしてもう1つ、「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」というレインズの情報の一部が登録されているサイトも利用できます。

レインズマーケットインフォメーションについては以下の点を解説していきます。

・レインズマーケットインフォメーションで取得できる情報
・売主がレインズマーケットインフォメーションを利用するメリット
・レインズとレインズマーケットインフォメーションの違い
・レインズマーケットインフォメーションの操作方法

レインズマーケットインフォメーションで取得できる情報

売主がレインズマーケットインフォメーションで取得できる情報は、過去の成約事例です。掲載されている過去の成約事例は、以下のレインズが保持する情報のうち、一定件数の基準を満たした情報になります。

・(公財)東日本不動産流通機構
・(公社)中部圏不動産流通機構
・(公社)近畿圏不動産流通機構
・(公社)西日本不動産流通機構

そのため、一定件数を満たさないような、取引情報が少ない地域については掲載していません。なぜなら、取引情報が少ないと、相場情報として適切な情報とはいえないからです。

売主がレインズマーケットインフォメーションを利用するメリット

レインズマーケットインフォメーションを売主が閲覧できるメリットは、相場価格を調べることができる点です。

不動産会社の査定額の根拠を検討するときに、売主がレインズマーケットインフォメーションにアクセスできれば、その査定額の確からしさを検証できます。

査定額の確からしさを検証できるということは、優良な不動産会社の見極めにつながるということです。

レインズとレインズマーケットインフォメーションの違い

レインズとレインズマーケットインフォメーションの違いは以下2点です。

・更新頻度
・物件情報

更新頻度

レインズマーケットインフォメーションでは、検索対象の取引情報の更新を月次で行います。一方、不動産会社が閲覧できるレインズはリアルタイムでの更新なので、「更新頻度」が異なる点は覚えておきましょう。

物件情報

また、プライバシーの観点から物件を特定できないよう、以下のように物件情報に幅を持たせて掲載しています。

価格 百万円~十万円単位を四捨五入
単価(万円/m²) 小数点以下を四捨五入
面積(建物・土地) 実際の面積に20m²の幅を持たせて表示
築年数 2年の幅を持たせて表示
成約時期 成約された年月を3ヶ月で区切った範囲で表示

レインズでは上記のように幅はなく、価格や成約時期なども明確に掲載されています。

とはいえ、売主がレインズマーケットインフォメーションを利用して「相場価格を調べる」という目的は、上記の情報でも十分に達成できるでしょう。

レインズマーケットインフォメーションの操作方法

レインズマーケットインフォメーションの操作方法は、レインズマーケットインフォメーションにアクセスして以下のように物件を絞り込みます。

・マンションか戸建かの選択
・エリアの選択

上記のようにザックリと物件を絞り込んだ後に、広さや築年数などを絞りこんで物件を抽出します。

おすすめは、抽出した情報をエクセルへ落とし込み、もろもろ条件を絞り込んでみることです。

多くの物件情報を取得することで、より精度の高い相場価格を知ることができます。

まとめ:売主もレインズを活用しよう

家の売却を始める前に、まずはレインズとはどのようなサイトかを確認しましょう。

次に、売主もアクセスできるレインズの「取引状況」の確認方法、および確認することによるメリットを理解しておくことが重要です。

具体的には、レインズへの登録証明書をもらったら、定期的に確認して囲い込みを防ぎましょう。

また、レインズマーケットインフォメーションを利用して相場価格を把握することは、優良不動産会社の選定にもつながります。

レインズに関しては不動産会社だけのサイトではなく売主にもメリットがあるので、存分に活用することをおすすめします。