訪問査定とは

2019/03/06 投稿 2019/03/15更新

物件の価値を査定してもらう方法は、机上査定と訪問査定があります。

ここでは、訪問査定で実査に見られるポイントやメリットデメリット、依頼方法をご紹介しています。

どんな人が向いているか、また机上査定と比べてどちらが有効かも解説していますので、査定を検討している人はぜひ役立ててください。

家島さんが実際に訪問査定を受けたときの記事もぜひご覧ください!

 

訪問査定とは

住宅や土地などの物件を売りたい時、不動産会社から物件の価値を出してもらうことを査定といいます。

査定の方法は大きく分けて「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」があります。

机上査定が実際に売却したい物件と似た売買事例を元に査定を出すのに対し、訪問査定は実際に売却したい物件を不動産会社が訪れ、現物からの要因を元に査定を出します。

売却したい物件の、現地で見ないと分からない要素も査定の中に入れられるため、机上査定よりも詳細な査定額が出せるのが特徴です。

売却したい物件があればまず机上査定に出し、その後売却したいと思った不動産会社に改めて訪問査定を依頼するのが一般的な流れです。

具体的な訪問査定の内容

訪問査定は、売却したい物件の色々な要素を不動産会社の目によって判断し、机上査定で出した価格にプラスマイナスし、より正確な査定を出していきます。

具体的な訪問査定の内容を見てみましょう。

訪問査定で見られる6つのポイント

売却したい物件を訪問査定で、不動産会社から見られるポイントは以下の6つです。

・物件の使用状況
・土地の地形や形状、接道状況
・日当たり
・周辺環境
・法的な土地の境界線
・インフラ整備状況

物件の使用状況

訪問査定では、建物の劣化状況や部屋の状態、設備の状態を見るのがメインです。

例えば、同じ面積と築年数の物件なら、使っている状態そのままの物件よりも、修繕やリフォームなどを適度行っているきれいな物件のほうが査定額は上がります。

マンションの場合は、マンション自体の築年数に加えて管理の状態なども見て、査定を加味していきます。

土地の地形や形状、接道状況

次に売却したい物件の土地の地形や形状です。

土地には大きく分けて整形地と不整形地があります。

整形地とは長方形や正方形に整った形の土地で、不整形地はL字型や三角形、旗竿地など特殊な形の土地、また坂の上など高低差のある土地、崖地などが含まれます。

整形地の方が建物を建てやすく、土地自体も売却しやすいため査定が高くなり、不整形地は整形地よりも土地の価格が安くなる傾向にあるので査定も低くなります。

さらに、売却したい物件に面している道路や道の状態によっては、建て直しなどが困難な場合があります。

土地が整形地や状態が良くても、接道状況によっては査定が下がることも珍しくありません。

日当たり

日当たりも訪問査定で見られるポイントのひとつです。

日当たり良好な南向きの土地や建物なら、洗濯物の天日干しや採光もしやすいため査定も上がります。

一方で四方を建物に囲まれている、北向きの土地や物件、西日が入りやすい西向きの土地や物件など、日当たりの悪い物件は査定でのマイナス要素になります。

また、都会のマンションの上層階では、窓から見える景観も査定に影響することがあります。

周囲環境

周辺環境は、最寄り駅までの距離、人通りや街灯の量、コンビニやスーパーなどの商業施設が近くにあるかなどが査定のポイントになります。

当然利便例の高かったり治安が良かったりする環境の方が査定額は高くなる傾向にあります。

法的な土地の境界線

物件には当然境界線があります。

あらかじめ売却したい物件の境界線が明確な場合は問題ありませんが、物件によっては隣接している物件との境界線があいまいな場合があります。

このケースでは、売却の際に隣人とトラブルになったり、改めて法務局や行政庁へ詳細な調査を依頼したりといった手間がかかるため、査定は下がることが多いです。

インフラ整備状況

最後にインフラ整備状況です。

例えば中古物件として戸建てを売却したいときは、電気やガス、水道といったインフラ整備が整っていればすぐに住むこともできます。

一方で旗竿地など公道から実際に建物を建てるスペースまでに距離がある土地の場合は、奥まで水道管などのインフラが届いていないことがあるので、改めてインフラ整備が必要になります。

以上を踏まえるとインフラ整備の整った前者の査定が高くなり、インフラ再整備が必要な後者の査定が低くなる傾向にあります。

机上査定から大幅に査定額は変化しない

なお、ひとつひとつの項目で査定に対するプラスマイナス要素がありますが、実際にはマイナス要素が即低い査定につながるわけではありません。

最終的にプラスやマイナスが積み重なることで査定額が上がる・下がるが判断されます。

さらに、土地の形や周辺環境など、机上査定であらかじめ分かっている要素もあるので、訪問査定を受けることで机上査定から大幅に査定額が下がってしまうということは基本的にはないことも覚えておきましょう。

訪問査定で行う3つのこと

訪問査定では以下の3つのことが行われ、査定が出されます。

・不動産会社が実際の物件を見て査定を行う
・書類のチェック
・物件や査定に関する双方の質問

 

書類のチェック

訪問査定の際は、不動産会社から必要書類をそろえておくように依頼されます。主な必要書類は以下の通りですが、実際に訪問査定を依頼する不動産会社によって必要書類は異なってくるので、必ず確認をしておきましょう。

・登記簿謄本(土地・建物)
・公図
・測量図
・建物図面
・物件の権利証
・物件購入時の重要事項説明書

マンションの場合は以下も必要になることがあります

・マンション管理規約
・マンション修繕履歴

これらの必要書類からの情報を元に、不動産会社は事前に調査した情報と差異がないか確かめます。

物件や査定に関する双方の質問

また、実際の物件を見るのと同時に、不動産会社から以下の質問をされます。

・物件を売却する理由
・売却の希望額
・転居可能時期
・売却か買い替えか
・ローン残債

実際の物件から不動産会社が見て判断し、査定を出すだけでなく、訪問査定では売却希望者からの質問や事情を踏まえて、適切な売り出し価格のアドバイスも行います。

物件を売却する理由も、離婚や転勤など「できるだけ早く売りたい」理由なら、多少売却価格が安くなっても早く手放したいと希望する人が多いでしょう。

一方で特に売却を急ぐ理由がないのなら、高めの販売価格に設定してじっくり売れるのを待つこともできます。

訪問査定は、住み替えなどで実際に住んでいる物件に対しての依頼も可能です。

売却を新居購入と同時期に進めていく場合は、実際に売却が決まったらいつ転居可能かも質問されます。

これと同じく、ただ物件を売却するか買い替えか、住宅ローンが残っているか残っていないかも質問事項に盛り込まれています。

さらに、訪問査定時に不動産会社へ売却希望者が質問もできます。

特に、訪問査定は実際に売却を依頼したい不動産会社を見つける上でも役に立ちますので、査定額や不動産会社決めの上で、納得できるまで担当者に質問をしてみましょう。

どれくらい時間がかかるのか

訪問査定の時間自体は10~20分ほどで終了します。

また、実際の査定額はあらかじめ算出した机上査定の額と大きな差異がなければ、基本的にその場で査定価格が言い渡されます。

訪問査定の3つのメリット

実際に物件売却を踏まえた上で依頼する人も多い訪問査定。

どのようなメリットがあるのかをそれぞれ見てみましょう。

メリット

・正確な査定価格がわかる
・適切な売り出し価格がわかる
・不動産会社選びにも役立つ

正確な査定額が出る

訪問査定は、実際に不動産会社が売却したい物件を見て行う査定方法です。

データ上では分からず、実際に見ないと分からないポイントや要素も入れて査定を行うため、より正確な査定額が分かります。

物件の売却はもちろん、相続などで正確な物件の価値を知りたい場合にも利用できる方法です。

適切な売り出し価格が分かる

訪問査定を依頼する際は、すでに実際に物件売却を踏まえている段階の人が多いです。

訪問査定を依頼すると、より詳細な査定額だけでなく、売りに出す場合の適切な売り出し価格も分かります。

不動産会社選びにも役立つ

訪問査定は、実際に売却を依頼する不動産会社の担当者と直接接する機会でもあります。

査定額だけでなく、不動産会社の担当者の対応方法や人柄、物件や周辺地域に関する知識の有無、今までの不動産売却実績なども知ることができます。

実際に媒介契約を結ぶ不動産会社に対して、「信頼できるところに依頼したい」「できるだけ早く売りたい」「できるだけ高く売りたい」と売却に求める要素は人それぞれで異なります。

訪問査定は、査定額を知る機会というだけでなく、不動産会社選ぶ上でも重要な機会であると覚えておきましょう。

机上査定と比べた上での訪問査定の3つのデメリット

より詳細な査定額が出るメリットが大きい訪問査定ですが、初めて査定を依頼する場合ほぼ「机上査定」が選ばれます。

どのようなケースなら机上査定の方が有効かを踏まえて、訪問査定の3つのデメリットを対処法とともにご紹介します。

デメリット

・気軽な依頼ができない
・机上査定より時間がかかる
・家族や周囲の人にばれる可能性がある

気軽な依頼ができない

机上査定は売却を希望する物件に対して、データを元に査定額を算出する方法です。

必要事項を不動産会社に伝えるだけで査定を出してもらえるため、インターネット上からの依頼も可能です。

一方で訪問査定は実際に不動産会社が売却希望物件まで足を運ぶため、依頼や実際の訪問日のスケジューリングまで手間がかかります。

さらに、お客様を呼ぶとき程度の建物、部屋の清掃なども必要です。

訪問査定の方が詳細な査定が出る分、気軽に依頼ができないデメリットがあります。

査定は使い分けるべし

複数の不動産会社から査定を依頼したい時、初めて査定をしたい時など、「浅く広い」査定なら机上査定を選びましょう。

机上査定が出た不動産会社から実際に媒介契約を結ぶ不動産会社を決めたい時や、より詳細な物件の価値が知りたい時など「深く狭い」査定なら訪問査定を選ぶのが有効です。

机上査定より時間がかかる

机上査定は実際に査定を依頼してから査定額が出るまで、早ければ数時間、遅くとも1日で出ます。

一方で訪問査定は実際の訪問まで詳細な査定額は出ません。

スピーディに査定を出したい時は机上査定、時間をかけてよいので詳細な査定額が知りたい時には訪問査定を利用しましょう。

家族や周囲の人にばれる可能性がある

机上査定は必要なデータを不動産会社に伝えるだけで査定を出してもらえますので、電話やインターネットなどから依頼が可能です。

さらに、査定までに不動産会社と対面することはありませんので、誰にも知られずに査定依頼も可能です。

訪問査定は誰かに見られる可能性も

一方で訪問査定は、実際に不動産会社の担当者が売却希望の物件まで足を運ぶため、家族や近所の人に査定を依頼したことがばれる可能性が高いです。

誰にも知られず、とりあえず査定額が知りたい時には机上査定、すでに売却や買い替えなどを具体的に計画している時には訪問査定を利用するのがおすすめです。

また、不動産会社によっては訪問査定でも周囲にばれないように配慮してくれるところもあるので、依頼時に相談してみるのも有効です。

訪問査定はどんな人に向いている?

訪問査定を依頼するのに向いているのは以下の3つが当てはまる人です。

・より詳細な査定額や売り出し価格が知りたい
・媒介契約を結ぶ不動産会社を選びたい
・売却や住み替えを具体的に検討している

詳細な査定額や売り出し価格を知りたい人

データ上ではなく、実際の物件を見た上での査定額が出るため、より詳細な査定額、さらに不動産会社と媒体契約を結んだときの売り出し価格を知りたい人に訪問査定は向いています。

物件の本当の価値を知りたい時にも有効な査定方法です。

媒介契約を結ぶ不動産会社選びをしたい人

すでに机上査定で複数の不動産会社へ査定を依頼していて、その中で実際に媒介契約を結ぶ不動産会社を決めたい時にも、訪問査定は有効な機会になります。

不動産会社の担当者への質問や対応方法、人柄を実際に見たうえで、納得できる不動産会社選びにもつながるでしょう。

売却や住み替えを具体的に検討している人

転勤や離婚などで、物件の売却や住み替えをすでに具体的に計画している場合は、訪問査定が有効です。

逆に「何年後か分からないけど、転勤するかもしれない」など曖昧な場合は、とりあえずの査定額を知るために、気軽に依頼できる机上査定を利用するのが良いでしょう。

訪問査定の2つの依頼方法

訪問査定を依頼する2つの方法を、ケース別に見てみましょう。

机上査定→訪問査定の依頼をする

売却したい物件の査定が分からないときや、どの不動産会社に依頼してよいか分からない時は、まず複数の不動産会社に机上査定を依頼し、その後訪問査定を依頼したい不動産会社を絞るのがおすすめです。

不動産一括査定サイトを使えば、気軽かつスピーディに机上査定が可能です。

その中から気になる不動産会社をピックアップし、訪問査定を依頼してみましょう。

不動産会社が決まっている場合はそのまま訪問査定を依頼

具体的に売却や住み替えの計画があったり、依頼したいと思っている不動産会社が決まっていたりする場合は、机上査定ではなく訪問査定をそのまま依頼しても問題ありません。

ただし、直接訪問査定を依頼する場合でも、複数の不動産会社に依頼をして比較するのがおすすめです。

まとめ:具体的な売却や住み替えが決まったら訪問査定を依頼しよう

訪問査定の概要や査定を出す方法、机上査定と比べた上でのメリットデメリット、依頼方法についてご紹介しました。

詳細な査定額や売り出し額を知る上で有効な訪問査定は、媒介契約を結ぶ不動産会社選びの絶好の機会でもあります。

机上査定からそのまま訪問査定依頼もできますので、具体的な売却や住み替えが決まったら、訪問査定を依頼しましょう。