机上査定とは

2019/02/19 投稿 2019/03/15更新
机上査定ってどういう意味なんだろう?査定って不動産会社が家に来てするもんじゃないの?

売却したい一戸建てやマンション、土地の価値を知るには不動産業者に査定依頼を出さなければいけません。

その中の方法のひとつに、机上査定があります。

机上査定の意味や方法、メリットとデメリットに加えて、訪問査定との違いや依頼に向いているケース、机上査定を依頼する方法をご紹介します。

机上査定とは

住居や土地、マンションなど物件を売却したいときには、その物件の不動産価値がどのくらいあるのかを知らなければいけません。

不動産業者が物件の価値を出す作業が査定です。

さらに、机上査定(きじょうさてい)とは、不動産業者が売却したい物件の実物を見ずに査定をする方法です。

なお、不動産業者が実際に売却したい物件を見て査定をする方法を訪問査定と言います。

机上査定は数字を使って査定する

机上とは机の上、という意味もありますが「机上の空論」のように、理論上でという意味もあります。

よって、実際に物件を見なくても、色々なデータや方法を用いて、査定額を理論上の数値として算出する査定方法を言います。

大まかな情報をもとにおおよその査定額を出す方法のため、「簡易査定」とも呼ばれます。

さらに、近年ではメールでの査定依頼を受けるケースも多くなったため「メール査定」という言葉も徐々に使われるようになりました。

机上査定の方法

実際の物件を見ずに査定を行う机上査定は、正確な査定額が出るのか不安に思う人も多いです。

次に、机上査定はどのような方法で行われるかを解説します。

図面や登記簿謄本を手に入れる

机上査定では、「取引事例比較法」によって査定を出します。

取引事例比較法とは、売却したい物件と類似した取引事例を比較し、査定額を算出する方法です。

売却したい物件の比較元として使われる、図面や登記簿謄本を不動産業者がまず用意します。

不動産相場を知るためのデータを入手する

次に、机上査定で売却したい物件の不動産相場を知るためのデータを入手します

・比較する物件の過去の成約価格
・過去の取引事例
・現在の不動産市場の動向

比較対象になるのは、過去の成約価格です。

ここでのポイント実際に不動産が売りに出された「販売価格」ではなく、実際に売却された価格である「成約価格」を比較対象にすることです。

比較事例は近い条件から

比較対象となる過去の取引事例は、売却したい物件となるべく条件が近い中から抽出します。

マンションなら同じマンション内での成約事例が比較対象として最も適している事例です。

マンションでも築年数が浅く売却事例がない場合、または一戸建てや土地の場合は同じ地域で似た条件の物件をなるべく多く抽出して比較します。

さらに、実際に成約価格を決めるときの様々な要素を考慮し、正確な査定額への補正を行った上で比較をします。

詳しくは「取引事例比較法」の用語も参考にしてください。

不動産市場の動向も考慮する

最後に、査定を出す上では現在の不動産市場の動向も必要な要素です。

不動産の価格は、日本経済や市場のほか、環境など様々複雑な要因と関連があり、例えば地価も高く人気の地域でも、天変地異があって住めなくなると、一気に地価は下落してしまいます。

人気の分譲マンションでも、欠陥が見つかれば販売価格は下落するでしょう。

過去の事例だけでなく、現在の状況も机上査定の上では考慮すべき要素です。

机上査定のメリットとデメリット

売却前に査定額が分かる机上査定ですが、メリットもあればデメリットもあります。

机上査定のメリットとデメリットを、対処法とともに見てみましょう。

机上査定の4つのメリット

机上査定のメリットは以下の通りです。

メリット

・査定依頼が手軽
・査定が出るまで期間が早い
・複数社の査定を比較できる
・売却前におおよその相場が分かる

査定依頼が手軽

机上査定の最大のメリットは、査定依頼を手軽に出せることです。

不動産会社へ直接連絡をしなくても、現在ではweb上に用意されている入力フォームに、必要な情報を入力するだけで査定を依頼できます。

訪問査定のように不動産業者が家に来ることはありませんので、訪問のためのスケジュールを組んだり、準備をしたりする手間もありません。

査定が出るまでの期間が早い

机上査定は、査定の依頼を出してから実際の査定額が出るまでのスピードも速いです。

およそ1日、早ければ数時間で査定が出ることもあります。

忙しい中でもマンションや一戸建ての売却や住み替えを考えている人にも、すぐに売却したい物件のおおよその査定が分かります。

複数社の査定が比較できる

机上査定は不動産一括サイトでも多く使われています。

一度に複数の不動産業者へ査定依頼ができ、複数の査定額も出せるので、売却したい不動産業者の比較も簡単にできます。

売却前におおよその相場がわかる

そして、売却するために不動産業者に気軽に依頼できるため、売却ありきの査定依頼をせずに済みます。

実際に売却する前に相場が把握できるのもメリットと言えるでしょう。

机上査定の3つのデメリットと対処法

気軽に依頼できる反面、机上査定にはデメリットもあります。

デメリットと対処法と合わせて見てみましょう。

デメリット

・簡易的な査定のため、実際の売却価格とは異なる場合がある
・契約を取るためにわざと高い査定を出す業者がいる
・情報が少ないと不動産業者から連絡が来ることがある

簡易的な査定のため、実際の売却価格とは異なる場合がある

机上査定はあくまで簡易的な査定です。

そのため、実際に不動産を売却した時の価格とは差が出やすくなっており、査定価格に上下300万円程度の幅を持たせている業者がほとんどです。

あくまで参考的な査定額だというのを覚えておきましょう。

契約を取るためにわざと高い査定を出す業者がいる

また、不動産業者によっては一括査定依頼を受けても、専任の媒介契約を得たいがために、最初にわざと高い査定額を出すところもあります。

その後に、何らかの理由をつけて売却価格を落とし、実際の売却額が大幅に落ちてしまうこともあります。

机上査定が出た後、売却契約を結ぶ不動産業者は査定額だけでなく、必ず信頼できる業者を選ぶのがポイントです。

情報が少ないと不動産業者から連絡が来ることがある

気軽に依頼できるのが机上査定のメリットですが、入力した情報に不備があったり、不明な点があったりすると不動産業者から連絡が入る場合があります。

電話などをあまり受けたくない理由で机上査定を依頼したメリットがなくなってしまうため、必ず入力フォームに情報を入力した後は、間違っていないか、不備がないかをチェックしましょう。

なお、机上査定の申し込みフォームの中には「メモ欄」や「備考欄」が設けられている場合があります。

不動産業者の連絡に対して要望があれば、この欄を活用するのも有効です。

例えば、勤務中には連絡してほしくない時には「平日は9時~18時の間は連絡が取れません」「連絡は電話ではなくメール希望です」などです。

机上査定と訪問査定の違い

簡易な査定ができる、気軽に依頼できる机上査定の一方で、不動産業者が直接訪問して査定を出す訪問査定もあります。机上査定と訪問査定の違いを見てみましょう。

訪問査定とは

訪問査定とは、不動産業者が実際に売却したい物件を見て、査定を行う方法です。

どちらか一方の査定に偏ることなく、複数の不動産業者に机上査定を依頼した後、改めて選んだ不動産業者に訪問査定を依頼する、といった流れも一般的です。

机上査定と比較した上での訪問査定のメリット

机上査定と比較した上で、訪問査定には以下2つのメリットがあります。

メリット

・机上査定よりも正確な査定額が出る
・不動産会社の良し悪しも判断できる

机上査定よりも正確な査定額が出る

机上査定は実際の物件を見ず、決められた情報やデータを元に査定額を算出します。

よって、実際の売却額とはブレが出てしまうことも多いです。

一方で訪問査定は実際に売却したい物件を不動産業者が見た上で査定を行いますので、より正確な査定額が出やすくなっています。

不動産会社の良し悪しも判断できる

また、実際に不動産業者のスタッフや営業担当が査定に訪れるので、訪れた不動産業者の担当者の対応なども見られます。

査定額だけでなく、安心して大切な物件の売却を任せられる不動産業者か見極める上でも有効です。

机上査定と比較した上での訪問査定の2つのデメリット

机上査定と比較すると、訪問査定には以下の2つのデメリットがあります。

デメリット

・実際の査定を受けるまでの手間がかかる
・家族や近所の人に知られてしまうことがある

実際の査定を受けるまでの手間がかかる

訪問査定を受けるには、自分で必要な書類をそろえたり、不動産業者が訪問するときのスケジュールを決めたりといった手間があります。

さらに、訪問査定をしている間は当然在宅していなければいけません。

机上査定の手軽さは失われてしまうのです。

家族や近所の人に知られてしまうことがある

また、自宅を売却する目的ではなく、ただ単に相場や価値が知りたい、というケースでは家族や近所の人に知れずに査定に出したい人もいるでしょう。

訪問査定は、依頼すると家族や近所の人に査定を依頼したのがばれやすいので、こっそり価値が知りたい時には不向きの方法です。

机上査定はどんな人に向いているのか

気軽でスピーディな査定が出せる机上査定は、以下の人に向いています

・できるだけ早く査定額を知りたい人
・売却したい物件が遠方にある人
・忙しい中で査定依頼をしたい人
・家族や近所の人に査定に出しているのを知られたくない人
・複数の不動産業者から比較して売却したい人

いつでもどこでも査定依頼を出せる机上査定は、時間と場所にとらわれずに査定依頼を出したい人に最適な方法です。

また、不動産業者が直接訪問をしないため、査定に出しているのを知られたくない人にも向いています。

さらに、机上査定は不動産一括査定にも使われている査定方法です。

できるだけ高く査定してくれる不動産会社を知りたい、信頼できる不動産業者を選びたいために不動産一括サイトを利用する人も多いです。

複数の不動産業者の中から、本当に納得できるところを見つけたい時に有効な査定方法と言えます。

机上査定の2つの依頼方法

机上査定を依頼する方法は主に2つあります。机上査定の依頼方法をそれぞれご紹介します。

不動産業者へ直接依頼をする

あらかじめ依頼したい不動産業者が決まっている場合は、不動産業者へ直接連絡をして依頼する方法があります。依頼の方法は、直接足を運ぶ、電話で依頼する、webサイトを持っている場合はメールや入力フォームを使って依頼します。

ただし、直接依頼は電話や不動産業者へ足を運ぶなどの手間がかかってしまうため、気軽に依頼できるという机上査定のメリットが得られなくなってしまいます。

どうしても依頼したい不動産業者がすでに決まっているのなら、机上査定ではなく訪問査定を依頼してみましょう。

不動産一括サイトを利用する

最も机上査定のメリットを受けられる依頼方法が、不動産一括サイトを利用することです。必要な状況をweb上の入力フォームに入れるだけで、簡単かつ手軽に査定依頼ができます。

さらに、複数の不動産業者に一括で依頼ができるため、自分が依頼したい不動産業者探しや、一番査定額が高い不動産業者に依頼したい人にもおすすめです。

不動産一括サイトを選ぶコツは、信頼できる不動産業者のみを登録している、有名な不動産業者だけでなく地域密着型など地域によって本当に高く売れる査定が出せる不動産業者を登録している、などです。

まとめ:机上査定で気軽に査定依頼をしてみよう

机上査定の概要や査定を出す方法、メリットデメリット、訪問査定との違いや机上査定を依頼する方法をご紹介しました。

スピーディで気軽な査定ができるだけでなく、複数の不動産業者から査定を得られるのも机上査定のメリットです。

上手に活用して納得して売却できる不動産業者探しに役立ててください。