マンション売却前のリフォームは損?得するためのリフォームとは
”マンションを売る前にリフォームをすればその分高く売れるのではないか?”と考える方も多いと思います。
しかし、実際のところ、残念ながらそうとは言い切れないのです。
買い手は、中古マンションを購入する時、リフォームされているかよりも、値段がお手頃かどうかでマンションを選んでいるからです。
また、売り手が施したリフォームが、買い手の好みと一致するかどうかもわかりません。
リフォームをしてその分高く売ってやろうという安易な想像で、売却前にリフォームをするのは避けてください。
中古住宅を選んだ理由 | 回答率(%) | |
---|---|---|
1位 | 予算的に見て中古住宅が手頃だったから | 76.6 |
2位 | 新築住宅にこだわらなかった | 41.2 |
3位 | リフォームで快適に住める | 32.5 |
平成29年度 住宅市場動向調査 「中古マンション購入者の新築か中古住宅かの選択理由」より
マンションを高く売るためのリフォームはむしろ損
2500万円と査定された築20年のマンションに、500万円かけてリフォームを施したとしても、2500+500万円=3000万円以上で売れるとは限りません。
築20年程度のマンションでも安ければイイと思って探していた買い手にとっては割高のマンション、3000万円の相場で探していた買い手にとっては築年数が古いマンションになってしまい、なかなか買い手が決まらない可能性が高いです。
結局、売却するためには値段を下げるしかなく、最終的に2500万円で売却できたとしても、売却期間が長引いた分の維持管理費や修繕積立金などが発生してしまう上に、リフォーム費用も回収できていません。
リフォーム費用マンションを分高く売るつもりが、むしろ損をしてしまうことになります。
売り手がマンションに施すリフォームと買い手が希望するリフォームは違う
また、売り手がリフォームを施したところで、そのリフォームが買い手の希望するイメージと違えば、買い手は現れません。
中古マンションを探している買い手の中には、そもそもリフォーム前提でマンションを探している人もいます。
事前にリフォームをしてしまうと、リフォーム前提でマンションを探している層をターゲットから外してしまうことになります。
近年ではリフォームやリノベーションの認知度も高まり、リフォームにかかる費用も住宅ローンに組み込んで借り入れることもできるようになりました。
三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手3銀行も、マンションのリフォーム費用と購入費用を住宅ローンとして一括で融資する商品を出しており、今後ますますリフォーム前提で中古マンションを探す買い手が増えていくことが予想されます。
どんな買い手があなたのマンションを求めているかは、マンションを売りに出してみなければわかりません。
売り出す以前に買い手の幅を狭めてしまうようなリフォームは絶対にしないでください。
マンションのマイナス要素を解消するためのリフォームが効果的
マンション売却前に効果的なリフォームとは、マイナスを解消するためのリフォームです。
例えば、壁紙が剥がれている、フローリングにへこみがある、水道管が破損しているなど、修繕が必要な場合はそのまま放置しておくのではなく、修繕のためのリフォームを施すようにしてください。
中古マンションを探している方は、「LIFULL HOME’S(ホームズ)」などの不動産ポータルサイトでマンションの室内写真を確認してから、実際にマンションを見学(内覧)に来るケースがほとんどです。
そこでマイナス面が掲載されている、またはマイナス面があるために室内写真が掲載されていなかったりすると、買い手が購入候補を決める段階で、そのマンションは選択肢から外されてしまいます。
リフォームをすることで、マイナス要素が解消されるのなら、売却前に簡易なリフォームをしておいても損をすることはないでしょう。
むしろ、早期売却の可能性や、マイナスを解消したことによって相場価格よりも高額で売れる可能性も出てきます。
売却するターゲットを決めてリフォームをする
売り出す予定のマンションの条件によっては、売り出すターゲットを絞ってリフォームをするのも効果的な場合があります。
例えば、1LDK~2DK程度の2人暮らし用のマンションなら、定年退職後の夫婦の住み替えを狙ってバリアフリー設計にリフォームするといった具合です。
効果的なリフォームのために不動産会社の抱えている情報を利用する
特に地元で長く続いている地場中小不動産会社は、大手不動産会社と比べて、顧客の情報を多く持っています。
物件情報と売主の情報を入力するだけで、複数の不動産会社へカンタンにマンション査定が依頼できる不動産一括査定サイトがありますので、そちらを利用して複数の不動産会社を比較してみてください。
不動産一括査定サイトを使えば、アナタの売却したいマンションに合わせたターゲットを絞り込み、売却プランまで立ててくれるような不動産会社を見つけることができます。
リフォームの一括見積も依頼できる『RE-Guide』
リガイドは、売却の一括査定に加えて、マンションを賃貸に出したときの賃料査定、さらにリフォームの資料請求や見積り依頼が、複数社に依頼できます。
もちろん、賃料査定もリフォーム見積りも、一括で複数社に依頼できます。
つまり、リガイドを利用すれば、リフォームをした場合の売却プラン、リフォームをしなかった場合の売却プラン、それぞれの売却プランを不動産会社からいただくことができます。
また、過去10年以上の査定依頼実績を閲覧することができるのも、運用歴が長く、実践が豊富なリガイドの特徴です。
買い手がリフォームを希望するなら、リフォーム費用分の値引きを検討する
中古住宅を選んだ理由 | 回答率(%) | |
---|---|---|
1位 | 予算的に見て中古住宅が手頃だったから | 76.6 |
2位 | 新築住宅にこだわらなかった | 41.2 |
3位 | リフォームで快適に住める | 32.5 |
平成29年度 住宅市場動向調査 「中古マンション購入者の新築か中古住宅かの選択理由」より
上記の表のように、リフォーム前提で中古マンションを探している方は多くです。
その場合、リフォーム費用がはじめから計算に入っているので、購入費用を抑えたいのが本音になります。
もし、マンションの購入希望者が現れたとき、マンションの価格は購入予算の範囲内ではあるのだけれど、リフォーム価格分予算オーバーと言うのであれば、リフォーム費用分を値引きする検討をしましょう。
リフォームではなくハウスクリーニングという手もある
マイナス要素を解消する方法は、必ずしもリフォームだけではありません。
普段から丁寧に使われていた部屋なら、素人では落としきれない汚れを、ハウスクリーニングで解決するという手もあります。
ハウスクリーニングであれば、リフォームをするより安い金額で、マンションのマイナス要素を解消してくれます。
特に、お風呂、トイレ、洗面台、シンクなど水回りの汚れは落ちにくく、中古マンションの買い手が気にする箇所でもありますので、ハウスクリーニング業者を読んで、買い手が内覧に来る前に綺麗にしておくようにしましょう。
ハウスクリーニングの相場
ハウスクリーニング業者の比較サイト「ハウスクリーニング比較.com」によれば、
トイレ:1万200円から
洗面台:1万300円から
シンク回り:1万6200円から
でハウスクリーニングが依頼可能なので、水回り全てを依頼しても5万2900円からで済みます。
リフォームの相場
リフォームの場合ですと、ハウスクリーニングと比べて相場が跳ね上がります。
リフォームの一括見積ができるサイト『リノコ』によれば、必要修繕だけを行ったとしても、
床の貼り替え:3万9800円から
(商品+工事+保証こみ)
水回りのリフォームとなれば、
トイレ:9万8000円から
洗面台:7万8000円から
キッチンリフォーム:44万8000円から
(商品+工事+保証こみ)
になります。
プロに聞いても「売却前のリフォームは必要ナシ」
不動産会社さんとリフォームの施工会社さんそれぞれに「売却前のリフォームは必要か」という質問をぶつけてみました。
帰ってきた答えは、どちらとも「必要ない」という結果でした。
不動産屋さんに聞いてみた
不動産屋さんに、マンションを査定してもらったときに、キッチンのリフォームについて聞いてみました。
すると「中古マンションを買う人の多くは初めてマイホームを持つ方です。どうせ新しいキッチンを入れるなら、自分の思い通りにリフォームして夢のキッチンを手に入れたいんですよ。」との回答が。
不動産会社がもしリフォームをすすめてきたら、それはリフォームしてからでしか上手く売ることができないレベルの担当者ということだとも教えてくれました。
リフォームの施工会社さんに聞いてみた
不動産屋さんだけでなく、今度はリフォームの施工会社さんに話を聞いてみました。
どうやら購入前にリフォームされる方よりも、中古の住宅を買ってからリフォームを依頼される方の方が多いようです。
また、取材させていただいた潮見住器さまも中古物件を購入されたそうで、そもそもリフォームすること前提で中古住宅を買われたとおっしゃっていました。
自分たちだけでなく、中古住宅を狙っている層は、リフォームすること前提でマンション探しをしている方が多いとのことです。
まとめ:マンションを高く売るためにリフォームは必要ない
どうやらリフォームをしたところで、その分マンションの売却価格が高くなるということはなさそうです。
中古のマンションを購入しようとする人の多くは、気になる箇所は自分で気に入るようにリフォームをすればいいと考えているからです。
むしろ先に売主の主観でリフォームをしてしまえば、買い手の気持ちに水を差すことになってしまいかねません。
気になり箇所があるのであれば、最低限の修繕に留めておき、リフォームは買い手に委ねる方が、売却が成功に近づくはずです。