マンション売却前のリフォームは損?得するためのリフォームとは

2018/08/06 投稿 2019/03/15更新

”マンションを売る前にリフォームをすればその分高く売れるのではないか?”と考える方も多いと思います。

しかし、実際のところ、残念ながらそうとは言い切れないのです。

買い手は、中古マンションを購入する時、リフォームされているかよりも、値段がお手頃かどうかでマンションを選んでいるからです。

また、売り手が施したリフォームが、買い手の好みと一致するかどうかもわかりません。

リフォームをしてその分高く売ってやろうという安易な想像で、売却前にリフォームをするのは避けてください。

  中古住宅を選んだ理由 回答率(%)
1位 予算的に見て中古住宅が手頃だったから 76.6
2位 新築住宅にこだわらなかった 41.2
3位 リフォームで快適に住める 32.5

平成29年度 住宅市場動向調査 「中古マンション購入者の新築か中古住宅かの選択理由」より

国土交通省発行の「平成29年度住宅市場動向調査」によれば、中古マンションを購入者が、新築ではなく中古を選択した理由の第1位が、“予算的に見て中古住宅が手頃だったから”でした。
リフォームをして値段を上げない方が買い手に選んでもらえる可能性が高いってことか…。
リフォームした費用分マンションを高く売ろうは難しいですね。ただ、リフォームをすることで得をすることだってあります。今回はマンション売却とリフォームについてお話しますね。

マンションを高く売るためのリフォームはむしろ損

2500万円と査定された築20年のマンションに、500万円かけてリフォームを施したとしても、2500+500万円=3000万円以上で売れるとは限りません。

築20年程度のマンションでも安ければイイと思って探していた買い手にとっては割高のマンション、3000万円の相場で探していた買い手にとっては築年数が古いマンションになってしまい、なかなか買い手が決まらない可能性が高いです。

結局、売却するためには値段を下げるしかなく、最終的に2500万円で売却できたとしても、売却期間が長引いた分の維持管理費や修繕積立金などが発生してしまう上に、リフォーム費用も回収できていません。

リフォーム費用マンションを分高く売るつもりが、むしろ損をしてしまうことになります。

内装は後でいくらでも変更することができますが、基礎や構造の部分は築年数が古くなるほど劣化していきます。リフォームではその部分は直せないですし、買い手にとってはリフォームがされているかよりも、築年数や価格の方が気になるようですね。
やっぱり築年数が古いとリフォームしていても人気がないのか?
買い手にとって築年数が古いマンションは、建物が古いという以外にマンション取得時に支払う税金が増える心配がありますから。よほど気に入る仕上がりじゃない限り、築年数が古いマンションは優先度が低いでしょうね。
なるほど…。リフォームにかかった費用分を売却価格に上乗せするのは、良いアイデアではなさそうだな。

売り手がマンションに施すリフォームと買い手が希望するリフォームは違う

また、売り手がリフォームを施したところで、そのリフォームが買い手の希望するイメージと違えば、買い手は現れません。

中古マンションを探している買い手の中には、そもそもリフォーム前提でマンションを探している人もいます。

事前にリフォームをしてしまうと、リフォーム前提でマンションを探している層をターゲットから外してしまうことになります。

近年ではリフォームやリノベーションの認知度も高まり、リフォームにかかる費用も住宅ローンに組み込んで借り入れることもできるようになりました。

三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手3銀行も、マンションのリフォーム費用と購入費用を住宅ローンとして一括で融資する商品を出しており、今後ますますリフォーム前提で中古マンションを探す買い手が増えていくことが予想されます。

どんな買い手があなたのマンションを求めているかは、マンションを売りに出してみなければわかりません。

売り出す以前に買い手の幅を狭めてしまうようなリフォームは絶対にしないでください。

じゃあ、どんなにボロボロのマンションでも、リフォームはしない方がいいの?
極端ですね…。リフォームした分高く売ろうと思うからよくないと言っているだけで、リフォームすること自体がよくないわけではありません。次にリフォームをして得をする例を見ていきましょう。

マンションのマイナス要素を解消するためのリフォームが効果的

マンション売却前に効果的なリフォームとは、マイナスを解消するためのリフォームです。

例えば、壁紙が剥がれている、フローリングにへこみがある、水道管が破損しているなど、修繕が必要な場合はそのまま放置しておくのではなく、修繕のためのリフォームを施すようにしてください。

中古マンションを探している方は、「LIFULL HOME’S(ホームズ)」などの不動産ポータルサイトでマンションの室内写真を確認してから、実際にマンションを見学(内覧)に来るケースがほとんどです。

そこでマイナス面が掲載されている、またはマイナス面があるために室内写真が掲載されていなかったりすると、買い手が購入候補を決める段階で、そのマンションは選択肢から外されてしまいます。

リフォームをすることで、マイナス要素が解消されるのなら、売却前に簡易なリフォームをしておいても損をすることはないでしょう。

むしろ、早期売却の可能性や、マイナスを解消したことによって相場価格よりも高額で売れる可能性も出てきます。

過度なリフォームはせずに、最低限の修繕に留めておく方がよさそうだな。
間取りの変更や、和室を洋室に変えるなどの本格的なリフォームは、買い手の希望に任せておくのがGOOD!です!

売却するターゲットを決めてリフォームをする

売り出す予定のマンションの条件によっては、売り出すターゲットを絞ってリフォームをするのも効果的な場合があります。

例えば、1LDK~2DK程度の2人暮らし用のマンションなら、定年退職後の夫婦の住み替えを狙ってバリアフリー設計にリフォームするといった具合です。

でも、そんな風にターゲットを絞ってしまうと、買い手の幅を狭めていることになるんじゃ?
確かにその通りです。なので、売主だけで判断するのではなく、仲介を依頼する不動産会社に相談をして決めるようにしてください。

効果的なリフォームのために不動産会社の抱えている情報を利用する

特に地元で長く続いている地場中小不動産会社は、大手不動産会社と比べて、顧客の情報を多く持っています。

物件情報と売主の情報を入力するだけで、複数の不動産会社へカンタンにマンション査定が依頼できる不動産一括査定サイトがありますので、そちらを利用して複数の不動産会社を比較してみてください。

不動産一括査定サイトを使えば、アナタの売却したいマンションに合わせたターゲットを絞り込み、売却プランまで立ててくれるような不動産会社を見つけることができます。

リフォームの一括見積も依頼できる『RE-Guide』

賃料査定もできる不動産一括査定サイト『RE-Guide』

賃料査定もできる不動産一括査定サイト『RE-Guide』

リガイドは、売却の一括査定に加えて、マンションを賃貸に出したときの賃料査定、さらにリフォームの資料請求や見積り依頼が、複数社に依頼できます。

もちろん、賃料査定もリフォーム見積りも、一括で複数社に依頼できます。

つまり、リガイドを利用すれば、リフォームをした場合の売却プランリフォームをしなかった場合の売却プラン、それぞれの売却プランを不動産会社からいただくことができます。

また、過去10年以上の査定依頼実績を閲覧することができるのも、運用歴が長く、実践が豊富なリガイドの特徴です。

不動産一括査定サイトを使えば、複数の不動産会社の査定価格を比較することができます。リフォームを検討しているなら、査定価格を比較するだけでなく、リフォームを含めた売却プランを立てられるかどうかも比較してみてください。
そんなこともできるのか!?
不動産一括査定サイトを使えば可能です。サイトの入力フォームに、自由記入欄(備考欄)があるので、そこにリフォームを検討していますと入力して、査定結果と売却プランが届くのを待ちましょう。査定を受けるのは無料なので利用する価値は高いですよ。

家を高く売るための不動産一括査定サイトの賢い使い方

買い手がリフォームを希望するなら、リフォーム費用分の値引きを検討する

  中古住宅を選んだ理由 回答率(%)
1位 予算的に見て中古住宅が手頃だったから 76.6
2位 新築住宅にこだわらなかった 41.2
3位 リフォームで快適に住める 32.5

平成29年度 住宅市場動向調査 「中古マンション購入者の新築か中古住宅かの選択理由」より

上記の表のように、リフォーム前提で中古マンションを探している方は多くです。

その場合、リフォーム費用がはじめから計算に入っているので、購入費用を抑えたいのが本音になります。

もし、マンションの購入希望者が現れたとき、マンションの価格は購入予算の範囲内ではあるのだけれど、リフォーム価格分予算オーバーと言うのであれば、リフォーム費用分を値引きする検討をしましょう。

リフォームを先にしてしまうのではなくて、リフォーム費用を値引き交渉の材料として後にとっておく方が、売却できる可能性が高くなるってことかな?
GOOD!ただ、値引き交渉にカンタンに応じてしまうと、足元を見られて次から次に値引きを求められることもあるので、奥の手として使うようにしてください。リフォーム分値引きしますよというより、リフォーム費用は売り手側で負担しますよとプラスの表現で伝えてみてください。

リフォームではなくハウスクリーニングという手もある

マイナス要素を解消する方法は、必ずしもリフォームだけではありません。

普段から丁寧に使われていた部屋なら、素人では落としきれない汚れを、ハウスクリーニングで解決するという手もあります。

ハウスクリーニングであれば、リフォームをするより安い金額で、マンションのマイナス要素を解消してくれます。

特に、お風呂、トイレ、洗面台、シンクなど水回りの汚れは落ちにくく、中古マンションの買い手が気にする箇所でもありますので、ハウスクリーニング業者を読んで、買い手が内覧に来る前に綺麗にしておくようにしましょう。

ハウスクリーニングの相場

ハウスクリーニング業者の比較サイト「ハウスクリーニング比較.com」によれば、

浴室:1万6200円から
トイレ:1万200円から
洗面台:1万300円から
シンク回り:1万6200円から

でハウスクリーニングが依頼可能なので、水回り全てを依頼しても5万2900円からで済みます。

リフォームの相場

リフォームの場合ですと、ハウスクリーニングと比べて相場が跳ね上がります。

リフォームの一括見積ができるサイト『リノコ』によれば、必要修繕だけを行ったとしても、

クロスの貼り替え:3万9800円から
床の貼り替え:3万9800円から

(商品+工事+保証こみ)

水回りのリフォームとなれば、

浴室:53万8000円から
トイレ:9万8000円から
洗面台:7万8000円から
キッチンリフォーム:44万8000円から
(商品+工事+保証こみ)

になります。

ハウスクリーニングと比べると、リフォームはお金がたくさんかかってしまうな…。
そうですね。今あるものを綺麗にするハウスクリーニングと違って、まったく新しいものに変えることになりますから。
それならリフォームは買い手の好みに任せた方がよさそうだね。売り手が良かれと思ってリフォームしても、買い手に“この壁紙が気に入らない、このキッチンは使いにくい”って思われたら意味がないもんな。
GOOD!もしハウスクリーニングを利用するのであれば、購入希望者がマンションを見学に来る内覧の前に行っておきましょう!

プロに聞いても「売却前のリフォームは必要ナシ」

不動産会社さんとリフォームの施工会社さんそれぞれに「売却前のリフォームは必要か」という質問をぶつけてみました。

帰ってきた答えは、どちらとも「必要ない」という結果でした。

不動産屋さんに聞いてみた

マンション査定を受けたときにリフォームについて聞いてみました2

不動産屋さんに、マンションを査定してもらったときに、キッチンのリフォームについて聞いてみました。

すると「中古マンションを買う人の多くは初めてマイホームを持つ方です。どうせ新しいキッチンを入れるなら、自分の思い通りにリフォームして夢のキッチンを手に入れたいんですよ。」との回答が。

不動産会社がもしリフォームをすすめてきたら、それはリフォームしてからでしか上手く売ることができないレベルの担当者ということだとも教えてくれました。

家売る幸作がマンションの訪問査定を受けた記事はコチラ

リフォームの施工会社さんに聞いてみた

潮見住器さんにリフォームについて聞いてみた

不動産屋さんだけでなく、今度はリフォームの施工会社さんに話を聞いてみました。

どうやら購入前にリフォームされる方よりも、中古の住宅を買ってからリフォームを依頼される方の方が多いようです。

また、取材させていただいた潮見住器さまも中古物件を購入されたそうで、そもそもリフォームすること前提で中古住宅を買われたとおっしゃっていました。

自分たちだけでなく、中古住宅を狙っている層は、リフォームすること前提でマンション探しをしている方が多いとのことです。

リフォームについて取材した記事はコチラ

潮見住器さまの公式ホームページはコチラ

まとめ:マンションを高く売るためにリフォームは必要ない

どうやらリフォームをしたところで、その分マンションの売却価格が高くなるということはなさそうです。

中古のマンションを購入しようとする人の多くは、気になる箇所は自分で気に入るようにリフォームをすればいいと考えているからです。

むしろ先に売主の主観でリフォームをしてしまえば、買い手の気持ちに水を差すことになってしまいかねません。

気になり箇所があるのであれば、最低限の修繕に留めておき、リフォームは買い手に委ねる方が、売却が成功に近づくはずです。