古い家を相続したらすぐ売るべき?相続不動産の売却で気をつけたいこと

2018/05/16 投稿 2019/07/04更新

日本が今、深刻な空き家問題を抱える国だということをご存知でしょうか。

2025年には3軒のうち1軒は空き家になるとも言われています。

特に、相続した物件を野放しにしたままというケースが多く、今後も増え続けていくことが予想されます。

もし、相続した家に住む意思がないのであれば、売却する方が得策でしょう。
思い出と一緒にそのまま残しておくことはできないのかな…。
もし相続した家に住むのであれば、もちろん家として残しておくことは大賛成です。ただ、誰も住まない家を残してしまうことは金銭面の負担が非常に多いです。また、トラブルに見舞われるケースも考えられますので、おススメできません。
じゃあ、いったいどうすればいいんだ?
今回は相続した家を売るときに気をつけたい、相続不動産売却の注意点をお話ししますね。

相続された家を放置するとどうなるのか

相続不動産を放置すると多くのコストがかかります。

そして、放置してしまったことが原因で起こるトラブルにも注意が必要です。

相続不動産にかかるコスト

不動産には固定資産税都市計画税(地域による)の2つの税金がかかります。

これは不動産の評価額によって変わりますが、不動産を所有している限り、住んでいないたとえ住んでいない家であっても、固定資産税と都市計画税を納めなければなりません。

固定資産税は、固定資産税評価額×1.4%で計算されます。また、固定資産税評価額は「地価公示価格」や「路線価」によって算出します(地価公示価格のおよそ70%)。これらの価格は国土交通省が運営する土地総合情報システムでも確認することができますよ。
放っておいても税金がかかるんだな。
そうです。それに、不動産を維持管理するための費用もかかります。維持管理を怠ると、思わぬトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

放置した相続不動産が原因のトラブル

不動産を放置してしまったことが原因で起こるトラブルは、

・いつのまにか自分の不動産ではなくなってしまうトラブル
・自分に落ち度はないのに損害賠償請求をされるトラブル

の2つがあります。

いつの間にか自分の不動産ではなくなってしまうトラブル

「民法162条|取得時効」では、一定の要件を満たして20年間(あるいは10年間)他人の物を占領し続けた人が所有権を取得するのを認めています。

占領していた土地を他人のものだと知っていた場合は20年間、知らなかった場合は10年間で取得時効が発生します。

時効の完成を阻止するためには法的措置が必要になります(「民法147条~156条」)

自分に落ち度がないのに損害賠償を請求されるトラブル

「民法717条|工作物責任」では、土地の設置、または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うとしています。

そして、占有者が不在、また、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときには、所有者がその損害を賠償しなければなりません。

自分が住まないからって、相続した家を放置していると誰かの物になっちゃうかもしれないのか…。
もし台風や地震などの自然災害で建物が倒壊して隣家に被害を加えた場合、損害賠償請求をされる可能性もあります。家を放っておくと、とんでもない事態に発展することもあるので要注意ですよ。
相続した家に住まないのなら、売却する方がよさそうだね。
GOOD!相続不動産の売却には、不要なコストやトラブルを回避する以外にもメリットがありますからね。

相続不動産売却のメリット

相続した不動産を売却することには、不要なコストやトラブルを回避する他にもメリットがあります。

相続不動産を売却するメリット

・現金化することで遺産を平等に分けやすくなる
・相続税の納税資金に充てることができる

の2つです。

現金化することで遺産を平等に分けやすくなる

相続した不動産の遺産分割方法には、換価分割、代償分割、共有の3つの分割方法があります。

換価分割とは、相続した不動産を売却することで現金化して分割する方法です。

代償分割とは、不動産を一人だけが単独で相続し、残った相続人に対して不動産の価値と同等の額を支払う方法です。

共有は、文字通り不動産を共有登記し、共有の財産として相続する方法です。

代償分割の場合は、家の価値と同等の額を支払うので、一見平等に分割されているようにも見えますが、家の価値は相場などによって変化するため、その当時平等であったとしても、資産価値の変動によって平等が崩れてしまうこともあります。
なるほどなあ。共有って言っても、家にみんなで住むわけじゃないだろうし、シンプルに平等に分け合うなら、売却してから分け合う換価分割がいちばんピッタリなのかもな。
GOOD!その通りです!

 

相続税の納税資金に充てることができる

相続税は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10か月以内に納付しなければなりません。

税額は相続人の法定相続分相続税の速算表に応じて計算します。

相続税には基礎控除があり、基礎控除額は3000万円+相続人の数×600万円になります。

法定相続人 法定相続分
配偶者と子息 配偶者1/2、子息全員で1/2
配偶者と直系尊属(父母、祖父母) 配偶者2/3、直系尊属全員で1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、兄弟姉妹全員で1/4
相続人の範囲は、民法(887、889、890、900、907条)で定められており、まずは被相続人の配偶者(夫または妻)、次いで子息、次いで直系尊属(父母、祖父母)、そして兄弟姉妹となります。
基礎控除があるってことは、最低でも3600万円以下の相続額なら相続税を納める必要はないってことか!
そういうことになります。ただし、相続額が控除額より高額な場合は、10ヶ月以内という短い期間で納付のための資金を準備しなければなりません。
もし不動産しか相続した財産がないのなら、売却しなきゃ相続税を納税できないこともありそうだね。
そういうときには、相続不動産の売却金を納税に充てることができます。
相続した不動産を売るときって、今まで通りの家を売る手順でいいの?
家を売り出してからは普通の手順と変わりはありませんが、相続不動産を売却する場合は、売却を開始する前にやっておかなければならないことが沢山あるのです。

相続した不動産を売却する前に

相続した不動産を売却する前には、

・法定相続人の調査、確定
・遺産分割協議
・名義人の変更(相続登記)

を行っておく必要があります。

法定相続人の調査・確定

被相続人が遺言書で相続人について記していなかった場合、誰が相続人にあたるかを確定させなければなりません。

そのためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得し、親族関係を洗い出す必要があります。

先ほどもお伝えした通り、法定相続範囲は、まず被相続人の配偶者(夫または妻)、次いで子息、次いで直系尊属(父母、祖父母)、そして兄弟姉妹となります。ただ、念のため上記のように被相続人の戸籍謄本を取得しておくといいでしょう。
ドラマみたいに、思わぬところから相続人が現れるかもしれないもんな…!
それ、本当にそうなったら全然笑えないですよ。

 

遺産分割協議

相続人が確定すれば、相続人全員で遺産の分割方法を話し合うために遺産分割協議を行います。

協議の決定事項は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が捺印と署名を行います。

相続した物件を売却するのであれば、遺産分割協議で売却のために不動産を相続する代表者を決めておきましょう。
でも、一人が単独で相続したら、相続税の負担もその一人になるんじゃ?
相続税は、換価分割で分配された金額に応じて各人が納税することになるので大丈夫ですよ。
ならよかった。でも、今後のもめ事を避けるためにも、書面にして残しておきたいな。
そうですね。そのためにも、事前に遺産分割協議書のひな型を入手しておくことをおススメします。

名義人の変更(相続登記)

相続によって不動産を取得する場合、相続登記をしなければなりません。

もちろん、相続不動産を売却するためにも相続登記を行っておく必要があります。

相続登記には、登記事項証明書代や戸籍票、住民票、評価証明書発行代がかかります。

また、登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)を納めなければなりませんので注意してください。

名義変更を行う前には、現在の名義人が誰なのかを確認しておきましょう。万が一、亡くなられた被相続人以外の方が名義人の場合はもう一度相続人を探さなければなりません。
それめちゃめちゃ大変そう…。不動産の登記はしっかり管理しておかないとな。
GOOD!その通りです!

 

知らなきゃ損する相続物件売却時の税金の話

相続した家を売るのって、自分が住んでいた家を売るよりかなりハードなんだな。
そうですよ。これらの手続きに不安がある場合は、司法書士の方に相談して任せるのも方法です。
なるほどなあ。
それに、家を売ったときに収める不動産譲渡所得税の仕組みも少し変わっています。
相続税も納めるのに、譲渡所得税も納めるのか!?二重に税金を取られている気がするんだけど…。
そう思っても当然です。なので、そうならないための方法が用意されています。知りたいですか?
知りたいに決まっているじゃないか!お願いします、教えてください!

相続不動産を売却したときの譲渡所得税

相続不動産を売却した場合にも、譲渡益(不動産を売って得た利益)に対して譲渡所得税を納めなければなりません。

ただ、相続した物件の場合、その物件の購入価格が不明なことが多く、取得費(購入価格から購入費用や経年による価値の劣化分を差し引いた額)の判断ができないケースがほとんどです。

また、仮に購入価格が分かっていたとしても、当時の価格で計算するために、多くの譲渡益が発生する可能性があります。

相続した不動産の購入価格って、相続したわけだから0円じゃないんだね。
もし0円だとしたら、売却価格のほとんどが課税対象になってしまいますからね。相続不動産の場合は被相続人の購入価格と所有期間を引き継いで取得費を計算することになります。
でも、かなり前に購入した家ならいくらで買ったか分からないことが多そうだな。
購入価格が不明のときは、売却価格の5%を概算取得費として課税譲渡所得を計算します。

課税譲渡所得の計算は、

譲渡収入-取得費-譲渡費用

で算出されます。

また、一戸建ての建物を更地にして売却する場合には、譲渡費用として仲介手数料と印紙税の他に解体費用も計上することが可能です。

 

譲渡所得の税率
(所得税+住民税)
課税譲渡所得
1000万円の場合
短期譲渡所得 39%(30%+9%) 納税額:390万円
長期譲渡所得 20%(15%+5%) 納税額:200万円

所得期間による譲渡所得税率の違い※2037年までは復興特別所得税2.1%が別途

譲渡所得税率は、被相続人から引き継いだ所有期間によって変化します。

売却した年の1月1日時点で、5年と1日以上所有している場合は長期譲渡所得となります。

逆に、売却した年の1月1日時点で5年以内の場合は短期譲渡所得となりますので気をつけてください。

それにしても、相続不動産を売却する場合は多くの譲渡所得税がかかりそうだな。
これじゃあ、二重に税金を払わされていると思われても仕方ないですよね。
で、そうならないための方法があるんだろ?
よく覚えていましたね。では、相続不動産売却時の譲渡所得税を抑える方法をお教えしましょう。

相続不動産売却時の譲渡所得税の節税方法

相続した不動産を売却したときにも、譲渡益に応じて譲渡所得税を納めなければなりません。

しかし、相続税と合わせてかなりの負担になってしまわないように、相続不動産売却時の譲渡所得税には2つの特例があります。

相続税の取得費加算の特例

相続税が発生して相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却の場合、相続税額を取得費と譲渡費用と合わせて、売却価格から差し引くことができます。

この特例を受けるためには、確定申告時に、

・相続税の申告書の写し
・相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・譲渡所得の内訳書

と言った書類が必要になります。

詳しくは、国税庁のページより詳細を確認してみてください。

居住用不動産譲渡の3000万円の特別控除

あれ、この控除の特例ってマイホームにしか適応されないんじゃなかったっけ?
2019年の12月31日までは、相続した物件に居住していなくても、居住用不動産譲渡の3000万円の特別控除を受けることができます。ただし、この特例を受けるには厳しい条件があるので注意です。

相続不動産の売却で住居用不動産譲渡の3000万円の特別控除を受けるためには、

・一戸建であること
・1981年以前に建てられた、旧耐震住宅であること
・相続直前まで、被相続人が居住していたこと
・2013年1月2日以前に相続が発生していること
・相続後、売却まで誰も住んでいないこと
・解体して更地にするか、建物に耐震リフォームが施されていること

が条件となります。

かなり厳しい条件ではありますが、条件に一致する場合は必ず利用したい特例です。

譲渡所得税の控除の特例を利用するためにも、相続物件を売却した場合は、必ず定申告に行くことですね。
知らなかったら損をしていたところだったよ…。
相続不動産を売却するには様々な困難を乗り越えなければなりません。そのためにも、一人で挑むのではなく、信頼できる不動産会社を見つけて挑むべきでしょう。

相続した家を売るために信頼のおけるパートナーを見つけよう

相続した家の売却は、その他の不動産売却に比べて様々な困難が待ち構えています。

是非とも、信頼のおける不動産会社を見つけて、二人三脚で納得のいく売却を目指してください。

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査定依頼をするときに、相続についての相談を送っても大丈夫かな?
GOOD!その不安を解消してくれるような不動産会社を選ぶことが、納得して家を売却するための近道ですよ!

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