古い家を相続したらすぐ売るべき?相続不動産の売却で気をつけたいこと
日本が今、深刻な空き家問題を抱える国だということをご存知でしょうか。
2025年には3軒のうち1軒は空き家になるとも言われています。
特に、相続した物件を野放しにしたままというケースが多く、今後も増え続けていくことが予想されます。
相続された家を放置するとどうなるのか
相続不動産を放置すると多くのコストがかかります。
そして、放置してしまったことが原因で起こるトラブルにも注意が必要です。
相続不動産にかかるコスト
不動産には固定資産税と都市計画税(地域による)の2つの税金がかかります。
これは不動産の評価額によって変わりますが、不動産を所有している限り、住んでいないたとえ住んでいない家であっても、固定資産税と都市計画税を納めなければなりません。
放置した相続不動産が原因のトラブル
不動産を放置してしまったことが原因で起こるトラブルは、
・自分に落ち度はないのに損害賠償請求をされるトラブル
の2つがあります。
いつの間にか自分の不動産ではなくなってしまうトラブル
「民法162条|取得時効」では、一定の要件を満たして20年間(あるいは10年間)他人の物を占領し続けた人が所有権を取得するのを認めています。
占領していた土地を他人のものだと知っていた場合は20年間、知らなかった場合は10年間で取得時効が発生します。
時効の完成を阻止するためには法的措置が必要になります(「民法147条~156条」)
自分に落ち度がないのに損害賠償を請求されるトラブル
「民法717条|工作物責任」では、土地の設置、または保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うとしています。
そして、占有者が不在、また、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときには、所有者がその損害を賠償しなければなりません。
相続不動産売却のメリット
相続した不動産を売却することには、不要なコストやトラブルを回避する他にもメリットがあります。
・現金化することで遺産を平等に分けやすくなる
・相続税の納税資金に充てることができる
の2つです。
現金化することで遺産を平等に分けやすくなる
相続した不動産の遺産分割方法には、換価分割、代償分割、共有の3つの分割方法があります。
換価分割とは、相続した不動産を売却することで現金化して分割する方法です。
代償分割とは、不動産を一人だけが単独で相続し、残った相続人に対して不動産の価値と同等の額を支払う方法です。
共有は、文字通り不動産を共有登記し、共有の財産として相続する方法です。
相続税の納税資金に充てることができる
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10か月以内に納付しなければなりません。
税額は相続人の法定相続分と相続税の速算表に応じて計算します。
相続税には基礎控除があり、基礎控除額は3000万円+相続人の数×600万円になります。
法定相続人 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者と子息 | 配偶者1/2、子息全員で1/2 |
配偶者と直系尊属(父母、祖父母) | 配偶者2/3、直系尊属全員で1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹全員で1/4 |
相続した不動産を売却する前に
相続した不動産を売却する前には、
・遺産分割協議
・名義人の変更(相続登記)
を行っておく必要があります。
法定相続人の調査・確定
被相続人が遺言書で相続人について記していなかった場合、誰が相続人にあたるかを確定させなければなりません。
そのためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得し、親族関係を洗い出す必要があります。
遺産分割協議
相続人が確定すれば、相続人全員で遺産の分割方法を話し合うために遺産分割協議を行います。
協議の決定事項は遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が捺印と署名を行います。
名義人の変更(相続登記)
相続によって不動産を取得する場合、相続登記をしなければなりません。
もちろん、相続不動産を売却するためにも相続登記を行っておく必要があります。
相続登記には、登記事項証明書代や戸籍票、住民票、評価証明書発行代がかかります。
また、登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)を納めなければなりませんので注意してください。
知らなきゃ損する相続物件売却時の税金の話
相続不動産を売却したときの譲渡所得税
相続不動産を売却した場合にも、譲渡益(不動産を売って得た利益)に対して譲渡所得税を納めなければなりません。
ただ、相続した物件の場合、その物件の購入価格が不明なことが多く、取得費(購入価格から購入費用や経年による価値の劣化分を差し引いた額)の判断ができないケースがほとんどです。
また、仮に購入価格が分かっていたとしても、当時の価格で計算するために、多くの譲渡益が発生する可能性があります。
課税譲渡所得の計算は、
で算出されます。
また、一戸建ての建物を更地にして売却する場合には、譲渡費用として仲介手数料と印紙税の他に解体費用も計上することが可能です。
|
譲渡所得の税率 (所得税+住民税) |
課税譲渡所得 1000万円の場合 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 39%(30%+9%) | 納税額:390万円 |
長期譲渡所得 | 20%(15%+5%) | 納税額:200万円 |
所得期間による譲渡所得税率の違い※2037年までは復興特別所得税2.1%が別途
譲渡所得税率は、被相続人から引き継いだ所有期間によって変化します。
売却した年の1月1日時点で、5年と1日以上所有している場合は長期譲渡所得となります。
逆に、売却した年の1月1日時点で5年以内の場合は短期譲渡所得となりますので気をつけてください。
相続不動産売却時の譲渡所得税の節税方法
相続した不動産を売却したときにも、譲渡益に応じて譲渡所得税を納めなければなりません。
しかし、相続税と合わせてかなりの負担になってしまわないように、相続不動産売却時の譲渡所得税には2つの特例があります。
相続税の取得費加算の特例
相続税が発生して相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却の場合、相続税額を取得費と譲渡費用と合わせて、売却価格から差し引くことができます。
この特例を受けるためには、確定申告時に、
・相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
・譲渡所得の内訳書
と言った書類が必要になります。
詳しくは、国税庁のページより詳細を確認してみてください。
居住用不動産譲渡の3000万円の特別控除
相続不動産の売却で住居用不動産譲渡の3000万円の特別控除を受けるためには、
・1981年以前に建てられた、旧耐震住宅であること
・相続直前まで、被相続人が居住していたこと
・2013年1月2日以前に相続が発生していること
・相続後、売却まで誰も住んでいないこと
・解体して更地にするか、建物に耐震リフォームが施されていること
が条件となります。
かなり厳しい条件ではありますが、条件に一致する場合は必ず利用したい特例です。
相続した家を売るために信頼のおけるパートナーを見つけよう
相続した家の売却は、その他の不動産売却に比べて様々な困難が待ち構えています。
是非とも、信頼のおける不動産会社を見つけて、二人三脚で納得のいく売却を目指してください。
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