失敗しない一戸建て売却のコツとは
中古住宅の平均売却期間 | |
---|---|
中古一戸建て | 11ヶ月 |
中古マンション | 6ヶ月 |
全体平均 | 8か月 |
アットホーム「2015年|中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査」より
中古の一戸建てを売却するのに、どれくらいの期間を要するかご存知でしょうか。
アットホーム株式会社が実施した調査に、中古マンションの売却期間が平均6ヶ月だったのに対し、中古一戸建ての売却期間は平均11ヶ月だったというデータがあります(アットホーム「2015年|中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査」より)。
同じ中古住宅を売却するにしても、マンションを売却するよりも一戸建てを売却する方が、どうやら困難が多いようです。
なぜ中古一戸建ては中古マンションより売りにくいのか
先ほど紹介した調査の中で、中古マンションと中古一戸建ての売却期間は、中古一戸建ての方が5ヶ月長いという大きな開きがありました。
また、不動産流通推進センターが発表している売り物件成約報告件数の推移によると、平成29年度に売買が成立した中古マンションは7万3379件だったのに対し、一戸建ては5万9007件だったとうデータもあります。
一般的にも、一戸建ては新築で買うものという新築信仰が強い日本では、事実、中古で一戸建てを購入することに懸念を抱く人が多いようです。
中古一戸建には不安が多いから
新築住宅を購入した人に、なぜ中古住宅を選ばなかったのかをアンケートした面白いデータがあるので見てみましょう。
新築住宅購入者対象:中古住宅を選ばなかった理由 | |
---|---|
1位 | 新築の方が気持ちいいから |
2位 | 長く住むつもりだから |
3位 | 好みに合う既存住宅がなかったから |
4位 | 既存住宅では耐久性や品質に不安があるから(耐震性は除く) |
5位 | 新築住宅に比べて耐震性に不安があるから |
6位 | 安くてもリフォーム費用がかかるから |
7位 | 新築住宅の方が税制面で有利だから |
8位 | 既存住宅では住宅融資を利用しにくいから |
「不動産流通経営協会|第22回不動産流通業に対する消費者動向調査」より
注目すべきは、4位~8位の項目です。
耐久性や品質、耐震性、リフォーム費用、税制面、住宅ローンに対する不安が、中古住宅にはどうしても付きまといます。
なかでも、中古一戸建ては、中古マンションと比較したとき、これらの不安が多くのしかかる物件であると言えます。
それは、中古一戸建てを不動産会社が査定する際の根拠としている法定耐用年数が関係しています。
中古一戸建ては価値の下落が早いから
不動産会社が中古一戸建て住宅を売却査定するときは、原価法という査定方法をとります。
原価法は、不動産の再調達原価をもとに対象不動産の売却価格を求める方法です。
簡単に言えば、今建っている家を同じ状況に建て直したときにいくらの費用がかかるかを計算して、家の売却価格を査定するということです。
ただし、同じ家を建てるわけなので、新築時から今までの使用で価値が下がっている部分は差し引いて計算します。
築20年以上の一戸建には建物の価値がない?
原価法という査定方法には、弱点があります。
それは、新築時から今までの使用で低下してしまった価値を計算する客観的な指標がないということです。
家の使用状況は各家庭によって様々です。
例えば、夫婦2人の家庭と子どものいるの家庭では、同じ家に住んでいたとしても使用の状況は異なるため減少してしまった価値も異なるはず。
しかし、その価値を数値として表すことは難しく、今のところ、税法上の数値である減価償却費を使って計算するのが、不動産業界の通例となっています。
減価償却費とは
減価償却費とは、資産が時の経過とともに減少していく価値のことを言います。
減価償却費は、国が決めた耐用年数によって決まります。
木造の一戸建ての場合は耐用年数が22年と決まっており、そのために築20年以上の一戸建て住宅は建物の価値がないと言われているのです。
マンションの場合、軽量鉄骨でも27年、鉄筋コンクリート造なら47年の耐用年数があるため、一戸建てと比べると価値が下落するスピードが緩やかになります。
中古一戸建ては修繕が自己責任だから
マンションの場合は、毎月積み立てた修繕積立金によって、数年に一度の大規模修繕が行われます。
これにより、外壁などが修繕され、耐久性や耐震性を保つことができます。
一方、一戸建てはすべての修繕が所有者の自己責任によって行われます。
しかし、何か異常が発生したときにはじめて修繕をするという方がほとんどではないでしょうか。
事実、「今後5年間で住み替え、改善の意向がない」という方が80.7%という驚愕な数字も国土交通省から発表されています(国土交通省|平成25年「住生活総合調査」より)。
この数字からも、ほとんどの住宅購入者が売却をするつもりで自宅を維持管理し、耐久性の維持に費用を割いているとは考えにくいです。
定期的に修繕が施されるマンションの方が、耐久性や耐震性に対する不安が少ないのは明らかです。
中古一戸建てを売却する5つのコツとは
中古一戸建てを売却するコツは5つです。
①一戸建てを売却する流れ・手順を知る
②複数の不動産会社に査定を依頼する
③内覧を成功させる
④一戸建て住宅は建物+土地でアピールする
⑤売却の前に資金計画を立てる
この5つのコツをマスターしたとき、アナタは一戸建ての売却を成功させることができます。
コツ①一戸建てを売却する流れ・手順を知る
まずは、一戸建てを売却するための流れ・手順をおさえておきましょう。
中古一戸建ての売却には平均11ヶ月の期間がかかったというデータもあることから、長丁場を覚悟しておかなければなりません。
何にどれだけの期間がかかるのか、どういった流れで一戸建てを売却することになるのか、事前に知っておけばスケジュールが立てやすくなります。
まず、一戸建ての売却には大きく分けて3つの段階があることを覚えておいてください。
売却活動
契約・引渡
売却準備
まずは売却のための準備です。
最初は査定から
売却の準備のためには、複数の不動産会社に査定を依頼して査定価格を比較します。
査定価格とは、不動産会社が物件を査定し、この価格なら売却できそうだ(売却できる)と思った価格のことを言います。
つまり同じ物件を査定したとしても、担当者の経験や実績によって査定価格はバラバラになるのです。
そのため、複数の不動産会社に査定を依頼して査定価格を比較し、契約を結ぶ不動産会社を選びましょう。
査定を参考に売り出し価格を決める
不動産会社が決まれば、家の売り出し価格を決めます。
売り出し価格は売主が自由に設定できますので、事前に集めておいた複数の不動産会社の査定価格を参考にして決めましょう。
売り出し価格が決まれば、いよいよ売却スタートです。
売却活動
家を売るための準備ができたら、いよいよ不動産会社による売却活動がスタートします。
不動産会社の宣伝
不動産会社は、あなたの家を売るために、レインズ(REINS)と呼ばれる不動産情報のデータベースや「SUUMO(スーモ)」や「LIFULL HOME'S(ホームズ)」など不動産ポータルサイトに物件情報を掲載したり、近隣住宅に物件チラシをポスティングしたり、さまざまな宣伝活動を行います。
購入希望者が内覧に来る
不動産会社の宣伝活動が実ると、購入希望者があなたの家を見学にやってきます。
この見学会のことを内覧と言います。
内覧は、売主が購入希望者に我が家の魅力を伝える絶好のチャンスです。
購入希望者との価格交渉
内覧が上手くいけば、購入希望者との価格交渉が待っています。
売主としては、できるだけ家を高く売りたいと思っているのでしょうが、家を買う方はできるだけ安く買いたいと思っています。
もし購入希望者が値下げ交渉をしてきたら、可能な限りで対応してあげてください。
家具や家電を残すなど、値下げ以外の方法で購入希望者にお得な特典を考えてあげるのもいいですよ。
契約・引渡
購入希望者との価格交渉がまとまれば、いよいよ売買契約を締結します。
売買契約の締結
契約は必ずしも書面にて行う必要はありませんが、不動産売買のような大きな金額が動く取引では、不動産会社が売買契約書を用意します。
売買条件など内容をよく読んで署名押印していきましょう。
このタイミングで、買主から売主へ家の売却金額の10%ほどの手付金が支払われます(この手付金は、売買契約を解約しませんよという保証金です)。
一方で、売主は不動産会社へ仲介手数料を支払わなければなりません(仲介手数料は、不動産会社が家を売却してくれたことに対する成果報酬です)。
決済と登記手続き
契約の締結が完了すれば、売買代金の決済と登記手続きを行います。
もし住宅ローンが残った家を売る場合には、残っているローンの完済をして、抵当権の抹消登記を行います。
決済日の2週間前までに、住宅ローンを借りた金融機関に家を売ってローンを一括返済することを伝えて、抵当権抹消のための書類を用意してもらいましょう。
この登記手続きは、司法書士に依頼するのが安全です。
必要書類を持って法務局へ行ってくれるので、その報告を待つことになります。
続いて公共料金や固定資産税の日割り負担分など諸費用の清算を行います。
最後に家の引渡し
ここまでのすべての作業を終えて、最後に家の引渡しです。
売買契約の締結から引渡しまでは、2ヶ月ほど期間があります。
買主に鍵を渡すだけで終えられるように、その期間を使って売買契約書に書かれた引渡条件通りの家にしておきましょう。
ここまでが、一戸建てを売却する流れになります。
より詳細に家を売る流れを知りたい方はコチラ【まずは家を売る流れをおさえよう!不動産売却9つの手順とは】をご覧ください。
コツ②複数の不動産会社に査定を依頼する
コツ①の中でもお伝えしましたが、一戸建てを売却する前に、複数の不動産会社に査定をしてもらうのが必須です。
一戸建ての売却を成功させるためには、不動産会社を比較して、一戸建てを売却するためのパートナーを見つけなければならないからです。
複数の不動産会社を比較して売却のパートナーを決めることが、一戸建て売却を成功させる最も重要なコツと言っても過言ではありません。
どの不動産会社で査定してもらっても結果は同じだと思う方もいらっしゃるでしょう。
2社の不動産会社に同じ一戸建て住宅を査定してもらった結果をご覧ください。
↓査定結果はコチラ↓
このように、同じ物件を査定してもらったにもかかわらず、2社の査定価格の間には500万円以上の差があったのです。
なぜ、不動産会社によって査定価格に違いが出るかというと、不動産会社によって得意とする地域や物件の種類、実績、抱えている顧客の情報が異なるからです。
一戸建ての売却をするために、マンションの売却が得意な不動産会社に依頼してしまっては意味がありません。
一戸建てを得意とする不動産会社なら、
「この条件の一戸建てを欲している購入希望者を知っている」
「このエリアの一戸建てなら何度も売却してきたら高額で売却できる自信がある」
となり、高額な査定価格を提示してくれるはずです。
ただ、不動産のプロでもない限り、どの不動産会社が一戸建ての売却を得意としているかを判断することはできません。
だから、複数の不動産会社に査定を依頼して査定価格を比較することで、一戸建てを高く売ることができる不動産会社を見つけるのです。
複数の不動産会社に査定を依頼できるサイトがある
複数の不動産会社に査定を依頼するために、一軒ずつ不動産会社を回る必要はありません。
不動産一括査定サイトという、無料で複数の不動産会社に査定依頼ができるサイトがるからです。
このサイトを利用すれば複数社への査定依頼が、1~3分程度の情報入力で済ませることができます。
不動産一括査定サイトは30以上存在するので、今回は特に一戸建てを売りたい人におすすめなサイトをご紹介します。
提携不動産会社数1700社以上!累計利用者数1000万人以上!『イエウール』
『イエウール』は2014年から運用を開始した、新興の不動産一括査定サイトです。
その成長スピードはすさまじく、わずか3年あまりで累計利用者数は1000万人を突破、掲載不動産会社数も1700社以上に達するなど一括査定サイトの急先鋒です。
ラインでやり取りするように査定依頼ができるので、依頼するのに必要な時間は1分あれば十分です。
提携不動産会社数が圧倒的に多く、アナタにあった不動産会社を早く見つけることができるでしょう。
一戸建ての査定は必ず訪問査定を
不動産の査定には、机上査定と訪問査定の2つの種類があります。
一戸建て住宅の査定を依頼する場合は、必ず訪問査定を選んでください。
一戸建ての机上査定では原価法で査定されるため、築20年を超える場合は建物の価値が0円と判断されてしまうことがほとんどだからです。
原価法ではどのような使用状況の家でも、耐用年数によって決まる減価償却費で、一律に減価修正されてしまいます。
そのため、原価法を利用する机上査定では、正確な自宅の価値を把握することができません。
査定価格の相場を出すためにも、一戸建ての査定を依頼する時は必ず訪問査定を依頼するようにしてください。
「訪問査定を受けると費用が発生するのではないか?」
「訪問査定をしてもらったら契約しないといけないのか?」
という不安がある方もいると思いますが大丈夫です。
不動産会社に支払う費用は、売却が成立したときに契約していた不動産会社1社に支払う仲介手数料のみになります。
査定に費用はかかりませんし、査定されたからといって契約する必要もありませんのでご安心ください。
ただし、あまりに多くの業者とやりとりするのは面倒になるので、訪問査定を依頼するのは3社~4社程度に留めておくのがおすすめです。
不動産会社を選ぶ前に相場価格を調べる
相場価格は、インターネットを使って、過去の売買事例を調べることで把握することができます。
・土地総合情報システム
この2つのサイトを利用すれば、過去にどんな物件がいくらで売買されたのかを調べることができます。
悪徳な不動産会社に注意する
不動産会社の中には、相場価格と比較してあまりに高額な査定価格を提示してくる業者もあります。
その価格に根拠があればいいのですが、もしかすると、契約を取りたいだけ、売り物件をストックしておきたいだけの不動産会社である可能性があります。
提示された査定価格が、悪徳な不動産会社のおとり価格なのかどうかを見抜くためにも、必ず相場価格調べておきましょう。
中古一戸建ての相場価格の調べ方はコチラ【一戸建ての売却相場の調べ方|中古一戸建ての価値は何で決まるのか】の記事で詳しく紹介しています。
媒介契約を結ぶ不動産会社の選び方
一戸建てを売却するときは、不動産会社と媒介契約を交わし、買い手となる人との間に立ってもらう仲介という売却方法が一般的です。
不動産会社を選ぶときは、3つのポイントを意識して、信頼できるパートナーかどうか判断してください。
・査定価格に明確な根拠はあるか
・売り出す物件と同条件、類似条件の物件の売却実績が豊富か
・売主と一緒に、売主の利益のために、最善を尽くしてくれる担当者かどうか
不動産会社との契約方法
不動産会社との契約方法は3つです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
契約できる 不動産会社数 |
複数 | 1社 | 1社 |
売主への 報告義務 |
なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
レインズへの 登録義務 |
なし | 契約後7日以内 | 契約後5日以内 |
契約期間 | 規定なし | 最大3ヶ月 | 最大3ヶ月 |
個人間売買 | できる | できる | 仲介が必要 |
この中でも、中古一戸建てを売却する時におすすめの契約方法は、専属専任媒介契約です。
一般媒介契約の場合、複数の不動産会社と媒介契約が可能なので、不動産会社を1社に絞り込む必要はありません。
ただ、多くの不動産会社と契約するほど、家が売れる可能性が高くなるわけではありません。
仲介によって不動産会社が得られる報酬は、売却に成功したときの仲介手数料のみです。
一般媒介契約をした不動産会社が必死に購入希望者を探すための宣伝費をかけても、他の業者が売却に成功すれば報酬は一切ありません。
専属専任媒介契約は、売主にとっていちばん縛りの強い媒介契約です。
一方で、不動産会社に課せられた義務も多く、他社に成功報酬を取られる心配もないので、家を高く売るための売却活動が期待できる契約方法と言えます。
そのため、不動産会社との媒介契約は、専属専任媒介契約をおすすめします。
詳しい不動産会社の選び方、媒介契約の方法についてはコチラ【家売るための重大ミッション!不動産会社選びの3大要素】にて紹介しています。
↓不動産一括査定サイトを賢く利用して一戸建てを高く売る方法はコチラ↓
コツ③内覧を成功させる
内覧を成功させるためには、事前の準備がとても大切になります。
ただ、内覧のためにわざわざ別の住居に仮住まいする必要はありません。
①掃除を徹底的に行う
②空気の入れ換え・換気をする
③とにかく部屋を広く見せる
④とにかく部屋を明るく見せる
⑤すべての部屋と収納を見せる
⑥内覧の対応は女性が行う
⑦住んでいた人にしかわからない情報をすべて伝える
⑧購入に至らなくても、なぜ購入に至らなかったのか理由を聞く
⑨買い手のキモチになる
これら9つのポイントさえ押さえておけば、内覧を成功させることができます。
ポイント①の掃除の中でも、内覧者が最も気にする水回り(浴室、トイレ、キッチン)の掃除は重点的に行っておきましょう。
水回りだけでもハウスクリーニング業者に依頼するというのも方法です。
内覧で購入希望者に伝えるのは良い所だけではない
内覧で購入希望者に伝えるのは家の良いところだけではありません。
家にもし何か欠陥がある場合には、そのことも忘れずに伝えるようにしましょう。
売主には瑕疵(かし)担保責任がある
買主が知りえなかった物件の傷みや欠陥を発見した場合に、売主は買主から損害賠償請求を受ける、もしくは売買契約自体を破棄される可能性があります。
これを、売主の瑕疵(かし)担保責任と言います。
売主側で住宅診断を受けておくと◎
一戸建ての場合は、売却をするその日になるまで欠陥が発生していることに気づかない可能性があります。
そうならないためにも、住宅診断(ホームインスペクション)を受けておいてください。
平成30年から、不動産会社との契約時にホームインスペクションをするかしないか必ず確認されるようになりましたので、万が一に備え必ず利用するようにしてください。
買主側でホームインスペクションを依頼するケースもありますが、事前に売主がすませておくことで、買い手の中古一戸建てに対する不安を払しょくすることができます。
内覧について詳しくはコチラ【家を売るなら知っておきたい「家に住みながら内覧をする」9のコツ!】をご覧ください。
コツ④一戸建て住宅は建物+土地でアピールする
一戸建てを売却するときは、建物を売るのではなく、建物と土地をセットで売るという気持ちで望んでください。
土地も買えるというのは、中古マンションにはない、中古一戸建てを売却するときの最大のアピールポイントになるからです。
マンションを売却する場合、ターゲットとなるのは建物を活用したい人に限られます。
建物の活用とはつまり、自らが旧住するのか他人に貸す(賃貸経営する)のかの2択です。
一戸建であれば、建物を活用したい人はもちろん、土地を活用したい人も売却するターゲットになります。
例えば、隣接する土地の所有者や、駐車場経営を考えているオーナーも買い手の候補になるのです。
ターゲットが広くなれば、それだけ売却できる可能性も広がるということ、建物+土地でアピールできるように準備を進めておきましょう。
土地の境界線を確定しておく
土地も合わせて売却するということは、どこからどこまでが売主の土地なのかを確定しておく必要があります。
売却する一戸建てが、代々相続してきた土地に建っている場合、事前の調査が必須です。
①土地の登記情報
②土地の境界線
③土地の現況
土地を売却する前に、この3点について調べておくようにしましょう。
土地家屋調査士に依頼するのがおすすめ
隣設する土地の所有者と正確な境界線を話し合うためには、土地家屋調査士に測量を依頼します。
土地家屋調査士は登記簿に面積や形状、所在などの表題部を登記するための調査・測量を行います。
土地家屋測量士が定めた土地の表題部を筆界特定といい、例え裁判で境界を争うことになっても、この筆界特定が優先されることがほとんどです。
費用はかかりますが、土地の境界がどうしてもあやふやな状況ならば、土地家屋調査士への調査依頼を検討してみましょう。
コツ⑤売却の前に資金計画を立てる
一戸建て住宅も、タダで売却できるわけではありません。
売却時にはそれなりに費用がかかり、もし売却をして利益が出た場合は税金を納めなければなりません。
費用と税金は、家がいくらで売却できたかによって変動します。
不動産一括査定サイトで売却査定価格を把握しておき、事前の資金計画を立てておきましょう。
一戸建て売却にかかる費用
一戸建てを売るときには、3つの費用がかかります。
・印紙税
・住宅ローン残債の完済と抵当権抹消登記費用
(※住宅ローンが残っている場合のみ)
不動産仲介手数料
不動産仲介手数料は、不動産の売却を仲介した成功報酬として、不動産会社に支払うお金のことです。
仲介手数料の額は、不動産会社によって様々ですが、上限が設定されています。
不動産仲介手数料の上限は、
となります。
印紙税
印紙税は不動産売買契約書に貼る収入印紙代です。
印紙税の金額は売買契約書に記載されている金額によって異なります。
売買契約書に記載された金額 | 収入印紙代(印紙税) |
---|---|
101万円~500万円 | 1000円 |
501万円~1000万円 | 5000円 |
1001万円~5000万円 | 1万円 |
5001万円~1億円 | 3万円 |
1億1円~5億円 | 6万円 |
上記の表の通りになりますので、確認しておいてください。
住宅ローン残債の完済と抵当権抹消登記費用
実は、住宅ローンを組んで購入した一戸建て住宅を売却する場合、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければならないのです。
抵当権とは、所有者(住宅ローンの債務者)が住宅ローンの返済ができなくなったとき、銀行などの金融機関がその家を競売にかけるなどして、強制的に債権を回収する権利のことです。
抵当権を抹消するためには、住宅ローンをすべて返済し終える必要があり、一般的に売却金額のほとんどが住宅ローンの完済のために充てられることが多いです。
売却金額が住宅ローン残債に及ばないときは、差額を貯蓄などの自己資金で埋める必要があります。
抵当権抹消登記は司法書士に依頼
家を売却して住宅ローンを完済することを金融機関に伝えると、抵当権抹消のための書類を用意してくれます。
抵当権抹消手続きは司法書士に依頼しましょう。
この際には、司法書士に支払う報酬が発生しますが、抵当権抹消登記は素人ではとても難しく、書類に不備があったにもかかわらず、役所から指摘がないまま抵当権が抹消されていなかったなんてこともあります。
一戸建て売却後には税金がかかることも
家を売った後には、家を売って得た利益に応じて、不動産譲渡所得税(所得税+住民税)を納めなければなりません。
家を売って得た利益を課税譲渡所得と言いますが、売却金額をそのまま利益とするわけではありません。
課税譲渡所得は売却金額(譲渡収入)から取得費と譲渡費用(売却時の仲介手数料など)を差し引いた金額になります。
取得費とは、売却した家の購入価格から、経年による劣化に相当する金額(減価償却相当額)と購入にかかった諸費用(購入時の仲介手数料など)を差し引いた額になります。
耐用年数(事業用) | 減価償却費相当額 | |
---|---|---|
木造 | 33年(22年) | 購入金額×0.9×0.031(償却率)×経過年数 |
軽量鉄骨 | 40年(27年) | 購入金額×0.9×0.025(償却率)×経過年数 |
鉄筋コンクリート | 70年(47年) | 購入金額×0.9×0.015(償却率)×経過年数 |
減価償却相当額は、上記の表のように建物構造の耐用年数によって変化します。
また、居住用として利用していたのか、賃貸アパートなど事業用だったのかによっても変化します。
なお、土地に関しては減価償却がありません。
あくまで建物のみにかかる目減りの額になります。
家を売るときの税金には控除があります
また、売主が住んでいた家を売却した場合には、「居住用財産の売却における3000万円の控除」が適用されます。
よって、住んでいた家を売却したときの課税譲渡所得額は、
と覚えておきましょう。
ただし、控除を受けるためには、必ず確定申告を受けなければなりません。
その他、税金の控除を受けるためには確定申告の必要がありますので、家を売った後には確定申告に行くことを忘れないようにしましょう。
詳しくはコチラ【知って得する5つの控除|我が家を売るときの税金を減らす方法とは?】をご覧ください。
家の所有期間で譲渡所得税率が変わる
ではいくら税金を納めるのかというと、不動産の所有年数によって税率が変わってきます。
購入年月日から不動産を譲渡した年の1月1日が5年と1日以上経過している場合は長期譲渡所得税となり、5年以内の場合は短期譲渡所得税となります。
|
譲渡所得の税率 (所得税+住民税) |
課税譲渡所得 1000万円の場合 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 39%(30%+9%) | 納税額:390万円 |
長期譲渡所得 | 20%(15%+5%) | 納税額:200万円 |
短期譲渡所得税の方が、長期譲渡所得税に対して倍近く高い税率となっています。
なお、不動産を譲渡した日は、売買契約日か引渡し日のどちらかを選ぶことができます。
税額を抑えたいのであれば、物件引渡し日のタイミングが大切です。
2037年までは復興特別所得税が2.1%加算されることも注意しておきましょう。
まとめ:5つのコツで難しい中古一戸建ての売却を成功させよう
日本では新築信仰が根強く、住宅市場における中古住宅の流通量が極端に少ない現状があります。
そんな中、中古一戸建ての売却は、中古マンションと比較して買い手には不安が多く、売却も一筋縄ではいきません。
今回お伝えした一戸建て売却5つのコツ
②複数の不動産会社に査定を依頼する
③内覧を成功させる
④一戸建て住宅は建物+土地でアピールする
⑤売却の前に資金計画を立てる
をマスターし、中古一戸建ての売却を成功させてください。
この中でも、複数の不動産会社に査定を依頼して不動産会社を選ぶステップは、最も重要なステップです。
まずは無料の不動産一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社に査定依頼をしてみましょう。