家を売る流れをマスターしよう!これで完璧「不動産売却9つの手順」
家を売ると決めたのなら、まず把握しておきたいのが家を売る流れの全体像です。
家を売るための手続きと手順を確認しておく。そうすることで、次は何をすればいいのかを毎度悩んだり慌てたりしなくて済みます。
不動産売買で売主が取る流れはこのような流れになります。
家を売るために、売主は9つの手順を踏んでいかなければなりません。
大変に思うかも知れませんが、それぞれの手順で売主として何をすればいいのかを理解しておけば、ストレスなく安心して家を売ることができます。
今回は、家を売る流れの中で、売主としてどうすればいいのかを細かく解説していきます。
まずは家を売る流れの全体像を把握しよう
家を売る流れには9つの手順があります。
②不動産会社の選定
③売り出し価格決定
④不動産会社による広告掲載
⑤購入希望者の内覧
⑥買主との価格交渉
⑦売買契約締結
⑧決済と移転登記手続き
⑨買主へ引渡し
そしてこれらの手順は大きく3つの段階に分けることができます。
①物件の査定②不動産会社の選定③売り出し価格決定までの流れが、売却準備の段階です。
④不動産会社による広告掲載⑤購入希望者の内覧⑥買主との価格交渉までの流れが、売却活動の段階です。
⑦売買契約締結⑧決済と移転登記手続き⑨買主への引渡しまでの流れが、契約・引渡の段階です。
売却準備に入るその前に
売却準備に入るその前にも、売主にはやっておかなければならないことがあります。
必要書類を準備する
相場価格を把握する
まずはこの3つからクリアしていきましょう。
家を売る理由を明確にする
不動産売却には、一般的に3ヶ月~半年ほどの期間がかかると言われています。
アットホーム株式会社の調査によると、マンションでは平均6ヶ月、一戸建ては平均11ヶ月の売却期間を要したというアンケート結果もあります(アットホーム株式会社|「中古物件の“売り手”と“買い手”のキモチ調査」より)。
これだけの期間がかかる過酷な作業が不動産売却です。
売却理由をもう一度見つめなおすことで、長い売却期間の中で計画的に時間を使うことができます。
住み替え(買い替え)が目的ならば、新居探しの時間も必要になりますし、相続物件の売却ならば、相続税の支払いのことも考えて早期売却を優先する必要があるかも知れません。
あるいは、売却よりも賃貸の方が向いている場合もあります。
なぜ家を売るのかは、売却準備に入る前に明確にしておきましょう。
必要書類を準備する
家を売るとき売主が用意しておかなければならない書類は意外と多いです。
必要なタイミングになってから慌てて準備するのではなく、前もって揃えておけば売却の流れもスムーズになります。
必要書類 | 入手方法 | タイミング |
---|---|---|
登記簿謄本 (登記事項証明書) |
法務局の窓口 | 売却前 |
家の図面、仕様書、 購入時のパンフレット |
自宅にない場合は施行会社や不動産会社 | 売却前 |
住宅ローン償還表、 ローン残高証明書 |
金融機関から送られてくる | 売却前 |
購入時の売買契約書、 重要事項説明書 |
自宅にない場合は施行会社や不動産会社 | 売却前 |
土地測量図 | 法務局の窓口 | 売却前 |
境界確認書 | 隣接する土地の所有者と合意して作成 | 売却前 |
地図・公図 | 法務局 | 売却前 |
本人確認書類 | 売主所有の免許証など | 売却前 |
マンションの管理規約、 議事録、 長期修繕計画書 |
マンション管理会社から | 売買契約締結時 |
印鑑証明書 | 最寄りの市役所 | 売買契約締結時 |
住民票 | 最寄りの市役所 | 売買契約締結時 |
登記済権利書、 登記識別情報 (権利書) |
法務局から取得時に交付される | 売買契約締結時 |
建築確認済証、 検査済証 |
購入時に売主(不動産会社)から交付される | 売買契約締結時 |
抵当権抹消申請書 | 金融機関より | 売買決済時 |
登記関連の書類 | 司法書士が作成 | 売買決済時 |
固定資産税評価証明書、 固定資産税納税通知書 |
都税事務所、県税事務所、毎年5月に税務署から郵送される | 売買決済時 |
預貯金口座情報 | 売主所有 | 売買決済時 |
上記は、家を売るときに必要な書類の一覧です。
入手方法と必要になるタイミングも合わせて表記しておきましたので、ぜひ参考にしていただいて、入手できる書類から早めに用意していきましょう。
相場価格を把握する
マンション、一戸建て、土地といって不動産には定価がなく、不動産市場の中で日々変化する需要と供給のバランスによって適正な価格が決定します。
相場価格とは、市場において形成される平均的な価格、適正価格のことです。
そのため、相場価格が物件の高い安いを決める指標になります。
つまり相場価格が分からなければ、査定価格や売り出し価格が適正な価格なのか、はたして高いのか安いのかの判断ができません。
相場価格には、成約価格相場と売り出し価格相場があります。
一般的な仲介による不動産売買では、高く売りたい売主と安く買いたい買主との間で価格交渉がおきることが大半。そのため、双方の希望する価格の妥協点が実際の成約価格となり、近隣エリアの過去の成約価格によって形成されるのが成約価格相場です。
売り出し価格相場は、現在売りに出されている物件の価格相場です。
ただし、売り出し価格相場は値下げ交渉が入る前の価格の相場となるので、成約価格相場を調べる方が実際に売買されるであろう価格が正確に予想できます。
成約価格相場は、「レインズマーケットインフォメーション」や「土地総合情報システム」というサイトで調べることができます。
それぞれ過去に売買が成立した不動産の情報を調べることのできるデータベースとなっており、エリアから絞り込んでいけば周辺の不動産が過去いくらで売買されていたのかを知ることができます。
なお、レインズマーケットインフォメーションでは土地の成約価格を調べることはできませんので、土地の相場価格が知り合い方は土地総合情報システムで調べて下さい。
土地以外のマンション、一戸建ての成約価格はどちらを利用しても調べることができますので、売却査定を受ける前には必ずチェックしておきましょう。
詳しくはコチラ【家を売る前に相場を知ろう!「成約相場」がわかるおススメサイト!】をご覧ください。
売却準備
家を売る流れの中でも、いちばん売主の努力が売却の成功に直結するのが実際市場に売りに出されるまでの売却準備です。
売主が売却のための準備を怠ってしまうと、不動産売却の成功はありえません。
物件の査定から不動産会社の選定、売り出し価格の決定まで。どれも抜かりのないように売却準備を進めていきましょう。
物件の査定
まずは、売り出す家がいくらで売れるのかを不動産会社に売却査定をしてもらいましょう。
不動産の価格を知る方法としては、不動産会社に査定してもらうほかに、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法もあります。
鑑定士による鑑定の方が、法的な証明能力が高くより正確な家の価値を算出してくれます。
しかし、家がいくらで売れるのか知りたいのであれば、無料で査定が依頼できる不動産会社に依頼をすれば大丈夫です。
無料の査定は信用できないという方は、有料ではありますが、不動産鑑定士による鑑定を受けてみるといいでしょう。
物件の査定は必ず複数の不動産会社に依頼すること
不動産会社の査定は、主に取引事例比較法という方法で査定されます。
取引事例比較法は、その名の通り、査定物件と同じエリアや近い条件の物件が過去にいくらで売買されてきたのかを比較して査定する方法です。
ただし、あくまでも過去のデータを参考としているため、現在の時勢や情勢を踏まえて時点修正がなされます。
とある一戸建て住宅を2社の不動産会社に査定してもらった結果をご覧ください。
↓査定結果はコチラ↓
そう、まったく同じ家を査定してもらったにもかかわらず、
A社は1862万円、B社は最大2379万円、
査定価格に500万円以上の差があります!!
もし、B社の査定価格を知らずに、A社だけに査定を依頼して、1980万円で売却できたとしても…
知らず知らずのうちに
500万円以上損をしていることに!!
なぜ査定結果に違いが出るのかというと、不動産会社によって得意とする物件の種類や、これまで取り扱ってきた不動産が異なるからです。
例えばアナタがマンションを売りに出したとき、マンションの売却を得意としている不動産会社なら、過去の経験から高額で売却できるという自信が、査定価格に反映されます。
複数の不動産会社を比較し、高額な査定価格を提示してくれた不動産会社を選ぶことで、家を高く売ることができる可能性が上がります。
複数の不動産会社への査定は不動産一括査定サイトがカンタン便利
複数の不動産会社に査定を依頼する時は、わざわざ一軒ずつ足を運んで依頼して回る必要はありません。
ネット上でカンタンに、しかも無料で複数の不動産会社に家の査定を依頼できるサイトがあるからです。
それが、不動産一括査定サイトです。
提携不動産会社数1600社以上!累計利用者数1000万人以上!『イエウール』
『イエウール』は2014年から運用を開始した、新興の不動産一括査定サイトです。
その成長スピードはすさまじく、わずか3年あまりで累計利用者数は1000万人を突破、掲載不動産会社数も1600社以上に達するなど一括査定サイトの急先鋒です。
サイト内には、エリアごとの相場情報や、売却に成功した人の声が掲載されており、市町村ごとに細かくデータベース化されています。
提携不動産会社数が圧倒的に多く、アナタにあった不動産会社を早く見つけることができるでしょう。
年間利用者数400万人突破!安心して利用できる『イエイ』
家を売るのが初めてという方には、イエローカード制度やお断り代行サービスのある『イエイ』は、非常におススメな一括査定サイトです。
24時間対応のサポートデスクもあるので、不動産売却の悩み等を気軽に相談することができます。
さらには、10年を超える長い運用歴があり、ますます安心して利用するサイトだと言えます。
また、提携不動産会社1000社以上から選ばれた、最大6社に依頼ができるため、より精度の高い査定結果に期待ができます。
どこを押せば査定がはじまるのか、一目でわかるがわかるシンプルなサイトデザインも好印象です。
TVCMでもお馴染み!匿名査定も可能な『LIFULL HOME'S』
不動産ポータルサイト『LIFULL HOME’S』が提供する不動産一括査定には、会員登録することで利用できる匿名査定もあります。
その他の不動産一括査定サイトは、個人情報を不動産会社に送ることになりますが、『LIFULL HOME’S』の匿名査定なら、個人情報を不動産会社に送ることなく査定を受けることができます。
また、全国の各地の売買事例から相場を知ることができる、プライスマップというコンテンツも魅力的です。
売却から住み替えまでの流れを、このサイト1つでまかなうこともできるほど、ボリューム満点のサイトになっています。
不動産一括査定サイトを使えば、必要項目を入力するだけで複数社に簡易査定(机上査定)を依頼することができます。
一社のみからでは本当にその価格が適正かどうか判断することが出来ません。
少なくとも5~6社以上から査定見積りを送ってもらい、まずは家の価格を知りましょう。
実査定の流れ
一括査定サイトによる簡易査定で、ある程度不動産会社を絞ることができれば、つぎは実査定(訪問査定)を受けましょう。
実査定では、実際に不動産会社の担当者が売却する家を訪問して査定を行います。
5~6社の簡易査定を受けたのなら、その中から実査定を依頼する業者を2~3社に絞っておきましょう。
不動産会社と日程を調整し、売主も実査定に立ち会うようにしてください。
そうすれば、その場で不動産会社からのヒアリングに答えることができ、査定価格の算出もスムーズになります。
その場で契約の話になることもありますが、複数社を比較したいのでその日はお引き取り願って、後日契約の打ち合わせを行います。
不動産会社の選定
物件の査定が完了したら、次は不動産会社選びです。
まずは査定価格を比較し、高額な査定価格を提示してくれた不動産会社から、査定価格の根拠と査定価格通りに売却するためのプランを聞いていきましょう。
いくら高額な査定価格とは言っても、根拠のない価格ならば意味はありません。
根拠のない査定価格には、悪徳な不動産会社の巧妙な罠が仕掛けられている可能性もあります。
高すぎる査定価格に潜む囲い込みの罠
“囲い込み”という不動産仲介業者の悪質な手口をご存知でしょうか。
囲い込みとは、売主から売却依頼を受けた物件に自社で買い手を見つけたい(両手仲介をしたい)がために、他社から問い合わせがあっても一切情報を提供しない悪質な方法です。
囲い込みをする不動産仲介業者は、まず高額すぎる査定価格をエサにして売主を誘い、契約を結びます。
その後、他社からの問い合わせには応じず、買い手を自社のみで探します。
このとき、買い手の購入希望価格が売り出し価格よりも安かろうがお構いなしです。
不動産仲介業者は、売主と買主の売買契約を成立させたときに発生する仲介手数料から利益を得ています。
そのため、売主だけの仲介をするのではなく買主の仲介役も担うことで、得られる利益が倍になるのです。
仲介手数料は”売買価格×3%+6万円+消費税”が上限。例えば、売主の希望通り5000万円で売却するよりも、3500万円で購入を希望する買主に両手仲介で売却する方が、不動産仲介業者の得られる利益は大きくなります。
相場価格と比較して高額すぎる査定価格を提示されたときは、必ず囲い込みを疑うこと、査定価格の根拠と売却プランを確認することを忘れないようにしてください。
不動産会社を選ぶコツ
不動産会社を選ぶときに大事なのは、大手不動産会社だから、地元の不動産屋だからという理由で不動産会社を決めないことです。
不動産会社を選ぶときには、
過去の売買実績
具体的な売却プラン
これら3つを質問して、信頼できる不動産会社なのかを見極めましょう。
結局、家を売ってくれるのは不動産会社の名前ではなく、それぞれの担当者の力量です。
不動産の知識が豊富か、言葉遣いは丁寧か、わかりにくい専門用語もわかりやすく説明してくれるかなど、担当者の人間性を見極めて不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社が決まれば媒介契約を
不動産会社が決まればその不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約には「一般媒介契約」と「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
契約できる 不動産会社数 |
複数 | 1社 | 1社 |
売主への 報告義務 |
なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
レインズへの 登録義務 |
なし | 契約後7日以内 | 契約後5日以内 |
契約期間 | 規定なし | 最大3ヶ月 | 最大3ヶ月 |
個人間売買 | できる | できる | 仲介が必要 |
一般媒介契約は複数の不動産会社があなたのために動いてくれます。
専任媒介契約は売却活動を1社に託す契約方法です。
専属専任媒介契約の場合は、自身で購入希望者を見つけてきた場合にも、契約した不動産会社を通さなければ売却することができない契約になります。
もし売り出す家が人気の立地にあり、誰もが欲しがるような超人気物件ならば、不動産会社どうしを競わせるために一般媒介契約で2~3社の不動産会社と媒介契約を結ぶといいでしょう。
ごく普通の一般的な中古物件ならば、専属専任媒介契約を結んで一社の不動産会社と二人三脚で売却にのぞみましょう。
不動産会社が仲介で得られる報酬は、家の売買を成立させたときの成功報酬(仲介手数料)のみです。
売買を成立させた不動産会社のみが手にすることのできる報酬なので、不動産会社にとって一般媒介契約は、タダ働きをする可能性がある契約方法なのです。
一般的な中古住宅では競いあって売却活動をしてくれるどころか、余計な費用をかけたくないために放置されてしまう危険があります。
超がつくほどの人気物件でない限りは、専属専任媒介契約を結ぶための一社を見極めて、慎重な不動産会社選びをしなければなりません。
媒介契約が完了すれば「告知書」を作成します。
不動産会社が用意する「物件周辺状況等報告書」と「付帯設備表」という書類に記入をしていきます。
物件周辺状況等報告書には物件自体の状況を、付帯設備表には物件の設備に関する情報(なのを残していくかなど)を記入していきます。
告知書は売買契約時に使用するものですが、事前に記入しておくことで不動産会社にも物件の情報を伝えることができます。
告知書が作成できたら、今後についての打ち合わせを不動産会社と行います。
売り出し価格の決定
勘違いしてはいけないのが、不動産会社の査定価格は、不動産会社が見積もった家が売れそうな価格だということです。
つまり、査定価格=売り出し価格とはならないのです。
不動産会社の提示する価格は、その価格で売却できることを確約するものではありません。
そして、売り出し価格を決めるのは売主自身です。
売主が家をどうしても高く売りたいのであれば、査定価格よりも少し高めに設定することもできますし、早く売ってしまいたいのであれば、査定価格よりも値を下げて売り出すこともできます。
売り出し価格の決定はかなり重要です。
不動産会社と相談しながら、納得がいく価格で売り出してください。
また、値下げが前提とされた金額で考えるのも方法ですし、ここまでなら値下げしてもいいという最低価格を事前に決めておくのも得策です。
売却活動
家を売るための準備が出来たら、いよいよ売却活動です。
不動産会社と契約したからと言って、売主は何もしなくてもいいというわけではありません。
不動産会社は、あくまでも買い手を見つけて売買契約成立をサポートするのが仕事なので、売主自身の努力も必要不可欠です。
不動産会社による広告掲載
売り出し価格が決定して、いよいよ売却活動が始まると不動産会社は様々な広告宣伝活動をしてくれます。
不動産会社の広告宣伝費はどこから出ているのか
不動産会社の広告宣伝費は、最終的には仲介手数料で回収することになります。
つまり、仲介手数料が手に入らなければ赤字になってしまうということです。
そのため、仲介手数料が安い、無料などを謳っている不動産会社には注意してください。
ロクな広告掲載をしてくれない、買い手から仲介手数料を得るために両手仲介しか狙わない不動産会社の可能性があります。
また、通常の売却活動を超えた広告宣伝費は、仲介手数料以外の報酬を請求されることもあるので、契約した不動産会社がどこまでの宣伝活動を行ってくれるのか確認しておきましょう。
購入希望者の内覧
不動産会社の宣伝活動が実り、物件購入希望者が見つかれば売主は内覧(お家見学)のための準備をしなくてはなりません。
内覧は、購入希望者に家の魅力を直接伝える絶好のチャンスです。
そのために、売主が心得ておかなければならない内覧のコツがあります。
②空気の入れ換え・換気をする
③とにかく部屋を広く見せる
④とにかく部屋を明るく見せる
⑤すべての部屋と収納を見せる
⑥内覧の対応は女性が行う
⑦住んでいた人にしかわからない情報をすべて伝える
⑧購入に至らなくても、なぜ購入に至らなかったのか理由を聞く
⑨買い手のキモチになる
これら9つのコツを押さえて、より我が家を魅力的にアピールしましょう。
内覧について詳しくはコチラ【家を売るなら知っておきたい「家に住みながら内覧をする」9のコツ!】をご覧ください。
買主との価格交渉
売主は高く家を売りたいですし、買主は安く家を買いたいですよね。
この2つの願望のちょうどいい落としどころを見つけるのが価格交渉です。
しかし、中古住宅が売れにくくなりつつある昨今で、価格交渉のテーブルでどうしても弱い立場にあるのは売主です。
もし、買主が値下げを要求してくるようであれば誠心誠意可能な限りで対応してあげましょう。
契約引渡し
売買契約締結
買い手が見つかると、購入希望価格が書かれた購入申込書が届きます。
そして買主との価格交渉がまとまれば、いよいよ売買契約の締結です。
家のように大きな金額が動く売買契約の場合、売買契約書を用意します。
売買契約書は不動産会社が作成してくれますので、内容をよく読んで署名押印していきます。
売買条件などしっかり確認しておきましょう。
このとき、買主から売主へ「手付金」が支払われます。
万が一売主都合で売買契約を解約する場合、手付金の2倍の金額を違約金として買主に支払う必要があるので注意が必要です。
ローンの審査が下りなかったなど、買主都合で解約することになった場合は、手付金を買主に返す必要はありません。
この後は買主がローンを組んで支払う場合審査に時間がかかりますので、その結果を待つことになります。
売主は必要書類や告知書の見直しを行ったり、契約日の2~3日前に不動産会社から届く売買契約書と重要事項説明書の確認を行っておきましょう。
仲介手数料の支払い
不動産売買契約が売主と買主の間で成立したら、不動産会社の主な仕事はここまでになります。
不動産会社のメイン業務は売主と買主を仲介することであり、決済や移転登記手続きなどは助言をするだけに留まります。
そのため、不動産会社へ支払う仲介手数料は、売買契約成立後に支払うことになります(契約内容によっては売買契約成立時と決済時の2回に分けて支払うこともあります)。
仲介手数料は、
が上限となります。
また、売買契約書に貼る収入印紙代(印紙税)も、売買契約書の作成時に不動産会社が立て替えてくれるケースが多いです。
売買契約書に記載された金額 | 収入印紙代(印紙税) |
---|---|
101万円~500万円 | 1000円 |
501万円~1000万円 | 5000円 |
1001万円~5000万円 | 1万円 |
5001万円~1億円 | 3万円 |
1億1円~5億円 | 6万円 |
印紙税速算表
売買契約成立時は、不動産会社へ支払う仲介手数料と収入印紙代の用意をしておきましょう。
決済と移転登記手続き
売主は買主から代金の支払いを受けたと同時に、所有権を買主に移転させる手続きを行います。
これは司法書士に依頼して、不動産会社立会いの下に行います。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンを組んで購入した家を売る場合、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければ、家を売ることができません。
抵当権とは、万が一家の所有者(債務者)が住宅ローンの返済ができなくなったとき、銀行などの金融機関がその家を競売にかけるなどして、強制的に債権を回収する権利のことです。
抵当権を抹消するためには、住宅ローンをすべて返済し終える必要があり、一般的に、家の売却金額のほとんどが住宅ローンの完済のために充てられることが多いです。
もし、家の売却金額が住宅ローン残債に及ばないときは、差額を手持ち資金で埋める必要があります。
まずは金融機関に連絡を取り、抵当権抹消手続き書類を受け取っておきましょう。
その後残金決済で受け取った売却代金で住宅ローンを完済。完済証明書を司法書士に託します。
司法書士に抵当権抹消のための登記手続きを依頼すると、司法書士に支払う報酬が発生します。
個人でも登記手続きはできるのでもったいなく感じるかもしれませんが、抵当権抹消登記は素人ではとても難しく、書類に不備があったために抵当権が抹消されていなかったなんてこともあります。
抵当権抹消登記は、プロである司法書士にお任せするのが賢明です。
諸費用の清算も忘れずに
決済完了の後、諸費用の清算も行います。
公共料金や、固定資産税(日割り負担)など忘れずに支払っておきましょう。
また、仲介手数料を払いきっていない場合、このタイミングで支払うことになります。
引渡し
残金決済後、買主は住宅ローンの本審査などさらなる手続きがあるので、引渡しまで約2週間ほどの時間があります。
もし修繕箇所があったなら引き渡す前のこの間に修繕しておき、引渡し当日は鍵を渡すだけで終えられるようにしておきましょう。
家を売った後の流れ|確定申告
物件の査定から始まり、買主への引渡しまでの家を売る流れを確認しました。
しかし、家を売った後にも、売主はやらなければいけないことがあります。
それは、確定申告です。
家を売って儲けがあると税金がかかる
家を売った後には、家を売って得た利益に応じて、不動産譲渡所得税(所得税+住民税)を納めなければなりません。
不動産譲渡所得税は、その他の所得とは別に課税される(分離課税)ため、確定申告をして納付する必要があります。
家を売って得た利益を課税譲渡所得と言いますが、家が売れた代金をそのまま利益とするわけではありません。
課税譲渡所得は売却金額(譲渡収入)から取得費と譲渡費用(売却時の仲介手数料など)を差し引いた金額になります。
取得費とは、売却した家の購入価格から、経年による劣化に相当する金額(減価償却相当額)と購入にかかった諸費用(購入時の仲介手数料など)を差し引いた額になります。
耐用年数(事業用) | 減価償却費相当額 | |
---|---|---|
木造 | 33年(22年) | 購入金額×0.9×0.031(償却率)×経過年数 |
軽量鉄骨 | 40年(27年) | 購入金額×0.9×0.025(償却率)×経過年数 |
鉄筋コンクリート | 70年(47年) | 購入金額×0.9×0.015(償却率)×経過年数 |
減価償却相当額は、上記の表のように建物構造の耐用年数によって変化します。
また、居住用として利用していたのか、賃貸アパートなど事業用だったのかによっても変化します。
なお、土地に関しては減価償却がありません。
あくまで建物のみにかかる目減りの額になります。
家を売るときの税金には控除があります
また、売主が住んでいた家を売却した場合には、「居住用財産の売却における3000万円の控除」が適用されます。
よって、住んでいた家を売却したときの課税譲渡所得額は、
と覚えておきましょう。
ただし、控除を受けるためには、必ず確定申告をしなければなりません。
家の所有期間で譲渡所得税率が変わる
ではいくら税金を納めるのかというと、不動産の所有年数によって税率が変わってきます。
購入年月日から不動産を譲渡した年の1月1日が5年と1日以上経過している場合は長期譲渡所得税となり、5年以内の場合は短期譲渡所得税となります。
|
譲渡所得の税率 (所得税+住民税) |
課税譲渡所得 1000万円の場合 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 39%(30%+9%) | 納税額:390万円 |
長期譲渡所得 | 20%(15%+5%) | 納税額:200万円 |
短期譲渡所得税の方が、長期譲渡所得税に対して倍近く高い税率となっています。
なお、不動産を譲渡した日は、売買契約日か引渡し日のどちらかを選ぶことができます。
税額を抑えたいのであれば、物件引渡し日のタイミングが大切です。
2037年までは復興特別所得税が2.1%加算されることも注意しておきましょう。
家を売って損をしていれば税金が戻ってくる
家を売って損があった、つまり課税譲渡所得税額がマイナスになった場合は、条件次第で「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」もしくは「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」適用されます。
基本的には購入時の価格よりも、売却時の価格の方が安くなってしまう人がほとんどだと思うので、この2つの特例は必ず把握しておきましょう。
譲渡損失の特例の適用条件と必要書類をまとめたので参考にしてください。
マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | |
---|---|---|
適用条件 | ・所有期間5年と1日以上の国内にある自宅マンション (もしくは住まなくなってから3年目の12月31日までに売却した国内にあるマンション) ・過去3年間にその他の控除の特例を受けていないこと ・売却した相手が家族や親族、特別な関係の人物ではないこと |
|
・旧居を売却した年の前年1月1日~翌年12月31日 までに床面積50㎡以上の新居を取得すること | ・譲渡したマイホームの売買契約日の前日において そのマイホームに係る返済期間10年以上の 住宅ローンの残高があること | |
・新居を取得した翌年の12月31日までに 新居に住み始めること | ・マイホームの譲渡価格が 上記の住宅ローンを下回っていること | |
・新居を取得した翌年12月31日において 10年以上の住宅ローンが新居に残っていること | ||
確定申告に 必要な書類 |
・マイナンバーカード(カードがない場合は、マイナンバーを確認できる書類と身分証明書) ・申告書B(第一表、第二表) ・申告書第三表 ・登記簿謄本 ・購入、売却時の売買契約書 ・仲介手数料領収書 |
|
確定申告時 損益通算に 必要な書類 |
・「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)」 ・「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5用)」 ・登記事項証明書や売買契約書の写しなどで所有期間が5年を超えることや日本国内にあるものであることを明らかにするもの(現在居住していない場合でも) |
|
・新居の登記事項証明書や売買契約書の写しなどで 購入した年月日、家屋の床面積を明らかにするもの | ・「譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書」 (売買契約日の前日のもの) |
|
・年末における新居の住宅借入金等の残高証明書 | ||
・確定申告書の提出の日までに買い換えた資産に 住んでいない場合には、その旨及び住まいとして使用 を開始する予定年月日その他の事項を記載したもの | ||
確定申告時 繰越控除に 必要な書類 |
・損益通算の適用を受けた年分について、一定の書類の添付がある期限内申告書を提出したこと ・損益通算の適用を受けた年分の翌年分から繰越控除を適用する年分まで連続して 確定申告書(損失申告用)を提出すること |
|
・確定申告書に年末における住宅借入金等の 残高証明書を添付すること。 |
確定申告は、家を売った翌年の2月16日から3月15日の期間に行います。
詳しくはコチラ【これから家を売る人も必見!「やらなきゃ損する確定申告」】をご覧ください。
まとめ:家を売る流れをマスターしてアナタも家を高く売ろう
家を売る流れには9つの手順がありました。
①物件の査定
②不動産会社の選定
③売り出し価格決定
④不動産会社による広告掲載
⑤購入希望者の内覧
⑥買主との価格交渉
⑦売買契約締結
⑧決済と移転登記手続き
⑨買主へ引渡し
これらの流れを把握しておけば、売却までのスケジュールも売却後のスケジュールも余裕を持って組むことができます。
まずは『イエウール』などの不動産一括査定サイトで売り出す物件の査定を依頼し、売却のための準備をスタートさせてください。
そして、忘れてはいけないのが売却後の確定申告です。
不動産の譲渡益があった場合は納税のために、譲渡損失があった場合は損益通算で損失を取り戻すために、必ず確定申告をしておきましょう。