家を売る初歩的なコツは正直な売却理由を前向きに伝えること!?
不動産売買の方法には、仲介と買取(そして個人売買)があります。
このうち、買取に関しては、不動産会社が転売することを目的に直接買い取ってくれるので、あなたが家を売りたい理由が売買そのものに影響することは少ないでしょう。
しかし、一般の方、特に自身が住む家を探している方に売却する場合は、売却理由によって家の売買そのものが左右される可能性があります。
まずは家を売る理由を再確認
売主が、買主に家を売る理由をしっかり伝えてあげることは、初歩的ですが家の売却を成功させるコツだと言えます。
家を売る理由は、売主によって様々ですが、どのような理由であれ、“この家を売る理由はお伝えできません”という家を買ってくれる買主はいないでしょう。
買主にとって、一生に一度の大きな買い物になるかも知れないのが家です。
家の売却理由を伝えることで、高額な買い物で失敗したくない買主の不安を取り除いてあげましょう。
家を売るポジティブな理由
ポジティブな理由としては
・通勤通学の便が悪くなったから
・遠方に転勤するから・新築住宅に住み替えるから
・一戸建てに/マンションに引っ越したいから
・親と同居することになったから
・親の家を相続することになったから
などがあげられます。
転勤が理由で家を売る方はコチラ【急な転勤で家を売るときに知っておきたいこと】
相続が理由で家を売る方はコチラ【相続した家を売るときに知っておきたいこと】
を併せてチェックしておきましょう。
家を売るネガティブな理由
一方でネガティブな理由としては
・離婚をしたから
・近くに工場ができたなど立地が悪いと感じたから
・ご近所トラブルに困り果てているから
・自宅で(あるいはマンションの共有部分で)事故・事件があったから
などがあげられます。
この中でも、住宅ローンや離婚といった自己都合によるものは、必ずしも買い手に伝えなければならないということはありません。
一方で、自己都合ではない理由については、重大な家の欠陥に当たる可能性があり、売主は買主へ売却理由を告知する義務があります。
家を売るネガティブな理由は、正直にポジティブに伝える!
仮に、売主の家の売却理由がネガティブな理由だったとしても、買主にとっては些細な問題かもしれません。
“マイナス面も正直に伝えてくれる誠実な売主だ”と思っていただけることだってあるでしょう。
買主の不安を解消し、信頼を勝ち取る上でも、ネガティブな理由を正直にポジティブに伝えるように心がけましょう。
売却理由が住宅ローンの場合
住宅ローンの返済が困難になってきたことを理由に家を売るという人も多いです。
しかし、住宅ローンを借りて購入した家には、金融機関の抵当権が設定されています。
通常では、売却代金(と手持ち資金)によって住宅ローンを完済することで抵当権を抹消しなければ、家を売却することはできません。
そのため、直接買主に悪影響を及ぼす理由ではありませんが、正直にありのままをお伝えすれば、足元を見られて、多くの値下げを要求される可能性もあります。
売却代金での完済を目指して売却をしなければならないため、多額の値下げは避けたいところでしょう。
売却理由が離婚の場合
現在、3組に1組の夫婦が離婚するとまで言われている日本ですが、離婚による財産分与のために家を売却するという方も増えてきています。
夫婦で暮らしていた家ならば、同じように夫婦が買い手になることも多いでしょう。
その場合、“離婚したので家を売っています”とだけ伝えるのは、買い手を遠ざけるだけになってしまします。
自己都合以外の理由で家を売る場合
自己都合以外の理由とは、つまり先ほど紹介した
・ご近所トラブルに困り果てているから
・自宅で(あるいはマンションの共有部分で)事故、事件があったから
などの理由のことを言います。
上記のような自己都合以外の理由で売りに出されている家の場合、市場価格の相場よりも低い価格で売り出されていることがほとんどです。
そのため、これらの理由を気にしないという方にとっては、条件によっては破格のアタリ物件になる可能性もあります。
瑕疵(かし)担保責任と告知義務について知っておこう
瑕疵とは?
瑕疵とは、“物が通常有すべき品質・性質を欠くこと”とされています。
家(建物)や土地といった不動産の場合には、
・法律的瑕疵
・心理的瑕疵
・環境的瑕疵
の4つの種類の瑕疵があることを覚えておいてください。
物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、土地や建物に文字通り物理的な欠陥がある状態を指します。
土地の場合には、地盤の軟弱化、土砂の崩壊を防止する擁壁(ようへき)の不良、地中深くの埋設物、土壌汚染などが物理的瑕疵にあたります。
建物の場合は、雨漏り、水漏れ、シロアリ被害、建物の片方だけが傾いている状態(不動沈下)などが物理的瑕疵にあたり、マンションの場合は共用部分の状態も関連します。
法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、建築基準法などの法律によって土地や建物の自由な活用が制限される状態を指します。
例えば、新たな建築物の建築用地として土地を購入したにもかかわらず、その土地が現行の建築基準法では建物を建設することができないことが購入後に発覚したとします。
この場合、買主は法律的瑕疵を理由に契約解除を売主に要求することができます。
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、過去に事件事故があった物件であることが発覚し精神的に居住が困難な状態を指します。
例えば、物件を購入後、実は過去に自殺した人がいる事故物件だったことが発覚した場合、買主は売主に対して損害賠償請求、契約解除の要求をすることができます。
心理的瑕疵については判断の基準が瑕疵の受け手(買主)であることから、売主が気にしないようなことでも買主が気にするような内容だった場合、心理的瑕疵が認められてしまいます。
“この事実を知っていれば購入しなかった”と買主が思うような事実は必ず伝えておくように気をつけましょう。
環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、売買した不動産自体には問題がなくても、不動産を取り巻く環境に問題があるような状態を指します。
例えば、騒音被害、公害、日照権の侵害、近くに暴力団関係施設があるなどの問題が、購入した不動産の周辺で発覚した場合、買主は売主に対して損害賠償請求、契約解除の要求をすることができます。
瑕疵担保責任とは?
瑕疵担保責任とは、売却した一戸建て・マンション・土地などに万が一欠陥(瑕疵)が見つかった場合に売り手が負う責任のことです。
買い手は、購入した物件の隠れた瑕疵を発見してから1年以内であれば、売り手に対して損害賠償請求をすることができます。その瑕疵によって居住や物件の活用が困難な場合は、契約解除を要求することもできます。
告知義務とは?
売主は、物件の瑕疵を知っていた場合に必ず購入希望者に伝えておく必要があります。
これを告知義務と言います。
初めから知っていた瑕疵を伝えないのは告知義務違反であり、場合によっては詐欺にあたる可能性もあります。
一方で、発見された瑕疵がそもそもあった瑕疵なのか、経年によって発生した瑕疵なのかは判断が難しく、個人間の売買は2~3ヶ月間を瑕疵担保責任の有効期限として売買契約書に記載しておくことが一般的となっています。
瑕疵担保責任について、詳しくはコチラ【不動産の瑕疵って?家の売却後は「瑕疵担保責任」に要注意!】
家を売る理由を買い手に伝える方法
ここまでで、家の売却理由を伝えなければならないことは理解いただけたと思います。
では、どのように買い手に伝えるのがいいのでしょうか。
家を売る理由を伝える方法①内覧
内覧は、購入希望者のため開催する、お家の見学会です。
家を売る流れの中でも、売り手にとって、家の魅力を余すところなくアピールする場であり、買い手にとっては、直接購入を希望している家を訪れて住んでみたときのイメージを膨らませることができます。
家を売る流れについて詳しくはコチラ【まずは流れをおさえよう!「家を売る9の手順」】
購入希望者が内覧で知りたいのは、実際にその家に住んだときのことです。
家を見ただけではわからない情報は、売主からすべて伝えてあげてください。
例えば、近隣の環境や近所付き合いについて、近くの公共施設や学校など生活の利便性、マンションなら共用設備や修繕金などの管理状況、もちろんですが、物件に瑕疵(かし)がある場合には、伝え忘れのないように気をつけましょう。
内覧について詳しくはコチラ【家を売るなら知っておきたい「家に住みながら内覧をする」9のコツ!】
家を売る理由を伝える方法②告知書、不動産会社の重要事項説明
売主が内覧に立ち会えないなど、家の売却理由を直接伝えられないときには、不動産会社と告知書を作っておき、売却する理由を伝えてもらうこともできます。
告知書は、売却の事前にアンケートを答えて作成するケースも多いようです。
売却理由を直接伝えることができない場合も考えて、告知書作成用のアンケートにはしっかりと回答するようにしましょう。
また、不動産会社は、物件の状態について重要事項説明書を作成し、売買契約の前に買主に伝える重要事項説明を行う義務があります。
自己都合以外のネガティブな売却理由は、重要事項説明のタイミングで確実に伝えられるように、売主自身も事前に不動産会社と情報共有をしておきましょう。
重要事項説明書
不動産売買において、不動産会社が買主に交付する重要事項説明書とは、不動産会社が売買契約の上で必要な重要事項を説明した内容を記載した書面のことです。
この中には、
・不動産に関わる法令上の制限
・不動産の状態やその見込み
・契約の条件
が記されており、重要事項説明書を確認した買主は署名捺印をします。
ホームインスペクション
ホームインスペクションとは建物状況調査とも言われる住宅診断のことです。
「宅地建物取引業法」では、
“媒介契約時に不動産会社は、売主または買主にホームインスペクションを実施する業者をあっせんするかどうかを示して、売主または買主の意向に応じてインスペクション会社を紹介しなければならない”
ことが明記されました。
さらに、不動産会社は、ホームインスペクションの内容を重要事項説明書に記載しなければなりません。
また、不動産会社は、売買契約時にホームインスペクションの結果を売主と買主が双方確認したことを、売買契約書(または、契約者に交付する37条書面)に記載しなければなりません。
家を売る理由をシッカリ伝えて、満足のいく売却を実現する方法
アナタにピッタリの不動産会社を見つけるのに役立つ不動産一括査定サイト
アナタにピッタリの不動産会社を見つけるのに最適なのが、不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社への査定依頼を、パソコンやスマートフォンでいつでもどこからでも無料で申し込むことができます。
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『イエウール』は2014年から運用を開始した、新興の不動産一括査定サイトです。
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提携不動産会社数が圧倒的に多く、アナタにあった不動産会社を早く見つけることができるでしょう。
不動産会社選びのポイントと契約方法
不動産会社を選ぶうえで大切なのは、大手不動産会社だから、地元の不動産屋だからという理由で不動産会社を決めないことです。
不動産会社を選ぶときには、
・売りたい家と同条件、または類似条件の売却実績があるか
・売主と真剣に向き合い、一蓮托生で動いてくれるのか
これら3つのポイントに注目して選ぶようにしましょう。
不動産会社との媒介方法には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約とありますが、おススメは専属専任媒介契約です。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
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契約できる 不動産会社数 |
複数 | 1社 | 1社 |
売主への 報告義務 |
なし | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
レインズへの 登録義務 |
なし | 契約後7日以内 | 契約後5日以内 |
契約期間 | 規定なし | 最大3ヶ月 | 最大3ヶ月 |
個人間売買 | できる | できる | 仲介が必要 |
不動産会社との媒介方法比較
売却代金×3%+6万円+消費税
と決められています。
不動産会社への仲介手数料について詳しくはコチラ【不動産会社に支払う「家を売るときの仲介手数料」って?】
伝えるべき売却理由の客観的なジャッジを不動産会社にたのむ
契約する不動産会社が決まれば、売却理由の伝え方を一緒に考えてみましょう。
多くの実績のある担当者なら、もしネガティブな理由で家を売ることになったとしても、ポジティブな伝え方で買主の不安を解消してくれるかもしれません。