相続した家と土地はセット売り!まずは土地を売る方法を知ろう

2018/05/25 投稿 2019/02/27更新

相続によって田舎の土地を取得し、売却を悩んでいるという人は多いのではないでしょうか。

さらにその土地に親が住んでいた古い家が建っているとなると、そのまま売るのか、家を取り壊してから売るのか、さらなる悩みが出てきます。

古い家を相続すれば古い土地も相続することが多そうだな。家を売るのと土地を売るのとではやり方が違ったりするの?
家島さん、“古い家・古い土地”とおっしゃいましたけど、基本的には“古い土地”という考え方はありませんし、建物は時が経てばその分価値が目減りしていきますが、土地の場合は時が経ったから価値が下がるということはないのです。
言われてみれば確かに…。土地は家が建つより昔からずっとあるもんな。
ですが、土地を売るときは、時が経って資産価値のなくなった古い家だとしても、セットにして売ることが鉄則です。
なんだってー!?
実は、その方が買い手が付きやすく、税金対策にもなるのです。 まずは土地売却の基本から、ご説明していきますね。

土地を売る流れ

家を売るときと同様に、土地を売る流れも大きく分けて

・売却準備
・売却活動
・契約引渡

の3つの段階があり、その中にそれぞれ
売却準備…土地の調査・査定、不動産会社の選定、売り出し価格の決定
売却活動…不動産会社による広告掲載、購入希望者の見学、買主との価格交渉
契約引渡…売買契約締結、決済と移転登記手続き、買主への引渡し

という9つの手順があることを覚えておきましょう。

基本的には家を売るときの流れと一緒だね。
そうですね。土地を売るときも、家を売るときと同様に複数の不動産会社に査定を依頼して、不動産会社を厳選し、選んだ不動産会社に売却の仲介をしてもらいます。もちろん査定の前には、土地情報総合システムなどで土地の公示価格や土地の成約相場価格を調べておきましょう。
あれ、家を売る流れにはなかった「調査」っていう手順があるんだけど?
GOOD!よく気づきましたね!特に相続した古い家が付いた土地の場合には、売り出す前に必ず物件の調査を行うようにしてください。

土地は売る前に必ず調査を!

代々相続してきた土地を売るとなると、売却する土地について事前に調査をしておく必要があります。

土地を売却する前に、

①土地の登記情報
②土地の境界線
③土地の現況

この3点について調べておくようにしましょう。

調査項目①土地の登記情報

代々受け継がれてきた土地や、相続によって取得することになった土地は、売主が思っている現況と登記上の内容が異なる可能性があります。

登記とは不動産のプロフィールです。

土地の登記簿であれば、面積や形状、所在などの情報(表題部)や所有権などの権利関係の情報(権利部)が記載されているのですが、登記に記載されている内容と売却する土地の現況が異なる場合は売却ができないので必ず確認するようにしましょう。

相続によって取得した土地の場合、亡くなった被相続人から売却する相続人へ所有権の移転登記(相続登記)をしておく必要があります。名義人本人でなければ売却することができないからです。
親の物じゃなくて私の物だよってちゃんと登録しとかなきゃいけないってことだな!
そういうことです。相続人が複数いる場合は、遺産をどのように分割するかを協議する必要があります。そのうえで、売却してから分割(換価分割)するのであれば、代表者を選出し相続人全員分の署名捺印のある遺産分割協議書を用意して売却を行いましょう。
土地として共同名義で相続した後に自分の分だけ売ることはできるのか?
いい質問ですね!土地を共同で相続したときは、平等に同じ面積を分け合うことになります。自分の取り分の面積だけを売却するならなんの問題もありませんよ。

住宅ローンを借りて購入した土地の場合は、住宅ローンを完済し抵当権を抹消しなければ売却することはできません。

登記簿には抵当権に関しても記載してあるはずなので、併せて確認するようにしましょう。

調査項目②土地の境界線

登記簿には面積などの情報が記載されているとお伝えしましたが、何処からどこまでが自分の土地なのかを目視で測ることはできません。

売却する土地がどれだけの大きさなのかを知るために、法務局で土地の境界線が引かれた地図・公図を入手しておきましょう。

ただ、法務局から地図・公図をもらっただけでは安心できません、実際に隣設する土地の所有者と土地の境界線について確認し、境界線確認書を作成しておくようにしましょう。
め、めんどくさい…。
何を言っているのですか。売却した後に、買主から文句を言われるより何倍もマシですからね。
それもそうだよなあ…。土地の境界線はちゃんと確認しておくようにするよ。

隣設する土地の所有者と正確な境界線を話し合うためにも、土地家屋調査士に測量を依頼するといいでしょう。

土地家屋調査士は登記簿に面積や形状、所在などの表題部を登記するための調査・測量を行います。

土地家屋測量士が定めた土地の表題部を筆界特定といい、例え裁判で境界を争うことになっても、この筆界特定が優先されることがほとんどです。

費用は掛かりますが、土地の境界がどうしてもあやふやな状況ならば、土地家屋調査士への調査依頼を検討してみましょう。

調査項目③土地の現況

当たり前のことですが、土地の現況については必ず調査しておきましょう。

例えば、農地として使われていた土地は、基本的には農地としてでしか売却ができません。

農地を売るためには許可が必要であり、農地の買主は国が認めた認定農業者に限られます。

農地から宅地に変えて売ろうにも、条件が厳しく、なかなか売却しづらいのが現状です。

農地を相続した人は大変そうだね…。
日本は食料自給率が低いために、農地の売却や、農地の仕様用途を変える農地転用が難しい環境にあります。詳しくは、各市町村に設置されている農業委員会、または農林水産省に問い合わせてみてください。(コチラからどうぞ)

一方、宅地の場合は建物の有無によって売却の方法が変わってきます。

建物の築年数が古い場合には、建物としての資産価値が無くなってしまっている可能性が高く、建物を残して古家付きの土地として売り出すか、建物を解体して更地として売り出すかの選択をしなければなりません。

建物をリフォームしたり、リノベーションしたりして売りに出すのはおススメできないんだっけ?
GOOD!その通りです!リフォームやリノベーションしたところで、それを買主が気に入るかどうかはわからないですし、リフォームやリノベーションにかかった費用分を売却価格に上乗せできるわけでもありませんから。
なら、キレイさっぱり、更地にして売るのがいいのかな。
結論を言うと、古い家が残った土地は更地にせずに古家付き土地として売るべきですね。
なんだってー!?

古い家と土地をセットで売る理由

古い家が建ったままの土地は、家を残して、古家付き土地として売り出す方がメリットは多いです。

古家付き土地を売るメリット

・購入希望者が新たな家を建てて住んだ時のイメージがしやすい
・リフォーム物件として買い手が見つかる可能性がある
・買主が住宅ローンを利用できる
・売却期間中の固定資産税が更地の6分の1
・建物の瑕疵(かし)担保責任が免責に出来る可能性が高い

住んだ時のイメージは、間違いなく家があった方がしやすいだろうね。しかもその家を気に入ったら、そのまま希望通りのリフォームをして住むこともできるし、家をゼロから建てるよりは安くすみそうだな…。
そうですね。さらに、土地だけの購入なら利用できない住宅ローンを利用できるので、買い手の幅は広がると思いますよ。
なるほどね!たしかに、更地で住むところがないのに住宅ローンを借りることはできないもんな!
GOOD!その通りです!
固定資産税も更地の方が高いんだね。
正確には、人が住むための建物が建っている土地の固定資産税が安いのです。200㎡以下の面積は6分の1に、それを超える部分は3分の1になります。
しかも、買主が知らなかった欠陥が見つかっても、売主の瑕疵担保責任も問われないわけだ。
建物の瑕疵担保責任については、解体しても問われることはなくなるのですが、古い建物の場合は初めからリフォーム前提、解体前提で購入する人が多いので、絶対ではありませんが、瑕疵担保責任の免責特約を買主と結んで売買できることも多いはずですよ。
たしかにそうだよな。あ、でもそうなったときの解体費用はどっちが負担するんだ?
またしても良いところに気が付きましたね。解体費用は買主との協議次第ですが、解体費用に相当する額を値引きしてあげるといいでしょう。ですが、相続した土地の場合は、解体して更地にすることで受けられる税金控除があるので、解体は売主が行う方がいいですね。
そうなんだ!売却する土地によって方法は違うけど、基本は売主負担がよさそうだね。
GOOD!ただし、建物の瑕疵担保責任は許されても、土地の瑕疵担保責任はしっかり負うようにしましょう。
土地の瑕疵担保責任?どういうこと?

もちろんですが、土地を売る場合には、売却した土地に対して瑕疵担保責任を負うことになります。

瑕疵担保責任とは、買主が知りえなかった欠陥=瑕疵に気づいたときに、売主が負う責任のことです。

買主は、不動産の瑕疵に気づいて一年以内であれば売主に対して損害賠償請求をすることができ、不動産の利用が困難な場合には契約解除を要求できます。

土地の場合、例えば、地中から岩やがれきなどの埋設物が発見されたときに、売主が除去費用を負担しなければなりません。

更地をせずに、古い家を残して土地を売る場合は、建物の建っている地下に瑕疵が合った場合に発見できないことがデメリットですね。
家だけじゃなく、土地にも瑕疵担保責任があるんだな、気をつけておかないと。
そうですね。瑕疵担保責任は、売買契約においてその期間を定めることができますので、買主と話し合って、納得のいく形で契約をしましょう。

土地を売るときにかかるお金

土地を売るときの費用

家の売却と同様に、土地を売却する場合にもタダというわけにはいきません。

不動産会社に仲介をお願いしたのなら、不動産仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税)を支払います。

住宅ローンが残っているのなら、住宅ローン一括返済のために繰越返済手数料が発生します。

売買契約書に貼る印紙代(印紙税)も忘れてはいけません。

相続登記やローン返済後の抵当権抹消登記を司法書士に依頼すれば、司法書士に払う報酬を払うことになります。

家を売るときとほとんど同じか。素人が思うより多くのお金が必要なんだよな…。
そうですね。土地を売るときだけ特別にかかる費用は土地家屋測量士に支払う測量費くらいです。費用について詳しくはコチラを参考になさってください。
しかも、場合によっては税金も納めないといけないんだよな…。
よくわかっているじゃないですか。実は、税金対策のためにも、古い家と土地はセットで売る方がおススメなのです。

土地を売った後の税金

土地を売った後には、土地を売って得た利益に応じて、不動産譲渡所得税を納めなければなりません。

土地を売って得た利益を課税譲渡所得と言いますが、土地が売れた代金をそのまま利益とするわけではありません。

課税譲渡所得は売却金額(譲渡収入)から取得費譲渡費用(売却時の仲介手数料や測量費など)を差し引いた金額になります。

取得費とは、売却した土地の購入価格から、購入にかかった諸費用(購入時の仲介手数料など)を差し引いた額になります。

ただ、相続した土地の場合、購入価格が不明なことが多く、取得費の判断ができないケースがほとんどです。

また、仮に購入価格が分かっていたとしても、当時の価格で計算するために、多くの譲渡益が発生する可能性があります。

相続した不動産の購入価格って、相続したわけだから0円じゃないんだね。
もし0円だとしたら、売却価格のほとんどが課税対象になってしまいますからね。相続不動産の場合は被相続人の購入価格を引き継いで取得費を計算することになります。
でも、かなり前に購入した家ならいくらで買ったか分からないことが多そうだな。
購入価格が不明のときは、売却価格の5%を概算取得費として課税譲渡所得を計算します。相続の場合、所有期間も一緒に引き継ぐので登記簿から被相続人の取得日を把握しておきましょう。

不動産譲渡所得税は、不動産を取得した日から不動産を譲渡した年の1月1日が5年と1日以上経過している場合は長期譲渡所得税となり、5年以内の場合は短期譲渡所得税となります。

 

譲渡所得の税率
(所得税+住民税)
課税譲渡所得
1000万円の場合
短期譲渡所得 39%(30%+9%) 納税額:390万円
長期譲渡所得 20%(15%+5%) 納税額:200万円

それぞれ税率が異なりますので、上記の表を参考にしてください。

また、相続した不動産でも、居住用不動産譲渡の3000万円の特別控除を受けることができる場合があります。

・一戸建であること
・1981年以前に建てられた、旧耐震住宅であること
・相続直前まで、被相続人が居住していたこと
・2013年1月2日以前に相続が発生していること
・相続後、売却まで誰も住んでいないこと
・解体して更地にするか、建物に耐震リフォームが施されていること

が条件とはなりますが、条件に一致する場合は是非利用したい特例です。

税金の控除を受けるためにも、売却の段階では家を残しておく方がいいね。
そうですね。買主が解体を希望すれば、売主負担で更地にすればいいですし、買主がリフォームを希望するなら耐震リフォームを売主負担で行えば大丈夫です。
なるほどな。古い家と土地はセットで売れってこういうことだったのか!
GOOD!ご理解いただけて良かったです!控除を受けるためのは確定申告が必須ですから忘れないようにしてくださいね。
でも、あとは相続した田舎の土地が売れるかどうかだよな…。
田舎の土地を売るためには、田舎の土地の売却に長けたパートナーを見つけることですね!

土地売却のためには、土地売却に長けたパートナーを見つけよう

相続した土地を売る場合、古い家が建ったままだとすれば、セットにして売るべきだということはお分かりいただけたと思います。

あとは実際に売りに出して売れるかどうかです。

特に田舎の土地の場合には、人口減少に伴い、今後ますます売りにくい状況になっていくかもしれません。

そうそう、どんどん都会に人が集まっているって聞くし、相続した田舎の土地が売れるかどうか不安なんだよな…。
おっしゃることもよくわかります。ですが、その一方で都会から田舎に移り住む人たちも一定数いるのも事実で、国も調査に乗り出しているほどです。そういった層を狙えるような売却プランを考えてくれる頼れるパートナー=不動産会社を見つけることが、田舎の土地を売る第一歩ではないでしょうか。

不動産会社の選び方

相続した田舎の土地を売る場合には、不動産会社選びが非常に重要です。

大事なのは、大手不動産会社だから、地元の不動産屋だからという理由で不動産会社を決めないことです。

大手や地元の業者を選んじゃいけないのか?
そうではありません。不動産会社は、会社で選ぶのではなく担当者で選ぶということです。担当者がどんな売却方法を提案してくれるか、査定価格に根拠を持っているかを厳しくチェックして、頼れるパートナーを見つけましょう。

田舎の土地を売る場合、長丁場になってしまうこともあります。

不動産会社との契約方法には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約とありますが、おススメは専属専任媒介契約です。

  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる
不動産会社数
複数 1社 1社
売主への
報告義務
なし 2週間に1回 1週間に1回
レインズへの
登録義務
なし 契約後7日以内 契約後5日以内
契約期間 規定なし 最大3ヶ月 最大3ヶ月
個人間売買 できる できる 仲介が必要
田舎の土地を売るときは、二人三脚、一蓮托生で動いてくれるパートナーと売却を目指すべきです。専属専任媒介契約は売主への縛りも強いですが、不動産会社に課せられる義務も多く、最も適した媒介契約と言えます。
でも、自分で売り手を見つけられないんでしょ?田舎なら近所の人が買ってくれるなんてことがありそうだけど…。
よく勘違いされているのですが、専属専任媒介契約でも自分で見つけてきた購入希望者と不動産取引をすることはできます。ただし、契約している不動産会社に仲介してもらう形はとらなければいけません。
そういうことだったのか。
そういうことです。ちなみに、よっぽど親しい人との売買ではない限り、個人で土地を売ることは非常に難しく、おススメはしませんよ。
じゃあやっぱり、頼りになる不動産会社を見つけて、一緒に売却を目指すのが最善策ってわけだな!
GOOD!その通りです!

 

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査定価格だけじゃなく、売却プランまでしっかり吟味して、いいパートナーを見つけてみせるよ!

家を高く売るための不動産一括査定サイトの賢い使い方