家を売るときの必要書類とは
家を売るときには多くの手続きを必要とします。
また、手続きのたびに書類の提出を求められるので、必要書類は事前に揃えておく方がおすすめです。
不動産売却の必要書類とは?
必要書類 | 入手方法 | タイミング |
---|---|---|
登記簿謄本 (登記事項証明書) |
法務局の窓口 | 売却前 |
家の図面、仕様書、 購入時のパンフレット |
自宅にない場合は施行会社や不動産会社 | 売却前 |
住宅ローン償還表、 ローン残高証明書 |
金融機関から送られてくる | 売却前 |
購入時の売買契約書、 重要事項説明書 |
自宅にない場合は施行会社や不動産会社 | 売却前 |
土地測量図 | 法務局の窓口 | 売却前 |
境界確認書 | 隣接する土地の所有者と合意して作成 | 売却前 |
地図・公図 | 法務局 | 売却前 |
本人確認書類 | 売主所有の免許証など | 売却前 |
マンションの管理規約、 議事録、 長期修繕計画書 |
マンション管理会社から | 売買契約締結時 |
印鑑証明書 | 最寄りの市役所 | 売買契約締結時 |
住民票 | 最寄りの市役所 | 売買契約締結時 |
登記済権利書、 登記識別情報 (権利書) |
法務局から取得時に交付される | 売買契約締結時 |
建築確認済証、 検査済証 |
購入時に売主(不動産会社)から交付される | 売買契約締結時 |
抵当権抹消申請書 | 金融機関より | 売買決済時 |
登記関連の書類 | 司法書士が作成 | 売買決済時 |
固定資産税評価証明書、 固定資産税納税通知書 |
都税事務所、県税事務所、毎年5月に税務署から郵送される | 売買決済時 |
預貯金口座情報 | 売主所有 | 売買決済時 |
上記の表は、不動産売却の手続きに必要な書類の一覧です。
中には必ず必要とまではいかない書類もありますが、これだけを用意しておけば、売却準備から契約引渡まで、書類に慌てることなく突破できるはずです。
まずは家を売る流れを確認
家を売る流れには、
・売却活動(不動産会社による広告掲載→購入希望者の内覧→買主との価格交渉)
・契約引渡(売買契約締結→決済と移転登記手続き→買主へ引き渡し)
という3段階で9つの手順があります。
それぞれ確認していきましょう。
売却準備
売却準備の流れは、物件の査定→不動産会社選定→売り出し価格決定です。
売却活動
売却活動の流れは、不動産会社による広告掲載→購入希望者の内覧→買主との価格交渉です。
契約引渡
契約引渡の流れは、売買契約締結→決済と移転登記手続き→買主へ引き渡しです。
仲介手数料=売買価格×3%+6万円+消費税
が上限ですね。
売却前に必要な書類
売却前には、不動産会社に査定を依頼するためや不動産会社に売却する物件の資料を作成してもらうため、購入希望者に物件情報を伝えるための書類が必要になります。
登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本は、土地や建物の権利関係が書かれた書類です。
住宅ローンを利用して不動産を購入した場合には、抵当権の設定なども記載されています。
家の図面、仕様書、購入時のパンフレット
家の図面や仕様書は購入時に保管しておくようにしておきましょう。
紛失している場合は、施工会社か不動産会社に問い合わせて、再発行してもらうようにしてください。
このときチェックしておきたいのが、現在の家の仕様や図面と異なっていないかどうかです。
図面が現在の仕様と違う場合は、あらたな図面を書き直してもらう可能性も出てくるので注意です。
住宅ローン償還表、ローン残高証明書
住宅ローン償還表とは、住宅ローンの支払い開始から支払い完了までの返済額や返済残額の推移を示す一覧表のことです。
住宅ローンを借りた金融機関から定期的に送られてくる書類なので、大切に保管しておきましょう。
購入したときの売買契約書・重要事項説明書
購入時の受け取っている売買契約書と重要事項説明書があれば、売却プランの参考になるため、コピーで構わないので媒介契約をした不動産会社に提出しましょう。
また、売買契約書は売却後に支払う可能性のある不動産譲渡所得税の計算にも使うことになります。
重要事項説明書も、内覧のときの購入希望者への説明に役立つので、売主本人も活用していくようにしましょう。
土地測量図
その名の通り、土地の面積が掲載されている書類です。
一戸建てや、土地の売買においては、どこからどこまでが売却対象か、対象となる面積は何㎡かが非常に重要になってきます。
法務局の窓口の他にも、郵送やインターネットを使って入手する方法もあります。
境界確認書
土地測量図を入手したうえでも、隣家との土地の境界を明確にしておかなければ、売却後にトラブルを抱えてしまうことになります。
隣家に住む人との合意の旨を示す境界確定書は必ず作成しておくようにしましょう。
地図・公図
こちらも、土地測量図と境界確認書に合わせて用意しておきたい書類です。
隣地も含めた土地の区画が示されており、法務局で交付を受けることができます。
本人確認書類
売主本人の確認書類は当たり前ですが必須です。
売却する物件が共有名義の場合は、共有者全員分の身分証明書が必要です。
売買契約締結時に必要な書類
売買契約時は、買主との売買契約の手続きのために加えて、不動産会社が作成する重要事項説明書のためにも多くの書類が必要になります。
マンションの管理規約、議事録、長期修繕計画書
中古マンションを売買する場合は、そのマンションがどのように維持管理されているか、使用上のルールがあるのかなどの管理情報は非常に重要視されます。
もちろん、購入希望者にとって、維持費などにかかる日々のコストも重要情報です。
印鑑証明書
売買契約書に捺印する印鑑は全て実印でなくてはなりません。
そして、それを証明する印鑑証明書も提出することが求められます。
住民票
取得した住民表が現住所と同じかどうか必ず確認してください。
特に、転勤を何度も繰り返していて、住所変更の手続きを忘れていたなんてことになると、以前住んでいた地域に転出届を提出し、現住所に転入届を出してから住民票を交付してもらわなければなりません。
もし、転出先が海外だった場合には、在留証明の発行が必要になりますので要注意です。
なお、共同名義の家を売る場合には、人数分の印鑑証明書と住民票が必要になります。
印鑑証明書、住民票ともに有効期限は3ヶ月なので、その点もご注意ください。
登記済権利証・登記識別情報(権利書)
登記済権利証・登記認識情報(権利書)は、土地、建物の所有権を取得した際に発行される書類です。
売主が、物件取得時に交付された権利書を買主に渡して、所有権移転登記手続きを終えると、物件の所有権が売主から買主に移ることになります。
建築確認済証・検査済証
建物を建てる際に、役所へどんな建物を建てるかを記載した建築確認申請書を提出します。
申請どおりに建築されているか、建築基準法を満たしているかどうかを役所に確認・検査してもらい、確認・検査に通れば建築確認済証・検査済証が発行されます。
新耐震基準法が導入される以前(1981年以前)に建築された古い物件の売却のときは、耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書などの提出が求められる場合もあるので、併せて確認しておくようにしましょう。
買主が住宅ローンの融資を受ける場合に銀行から求められる場合が多くいので、もし建築確認済証・検査済証がない場合には買い手がつきにくくなることが予想されます。
売買決済時に必要な書類
売買決済のときには、抵当権の抹消手続きや不動産移転登記手続きがあり、それぞれに手続きのために必要な書類があります。
抵当権抹消申請書
住宅ローンを利用している場合は家が担保となっているため、それを解除しなければなりません。
自分で準備する書類は抵当権抹消登記申請書のみです。
こちらはインターネットからダウンロードするか、法務局の窓口からも手に入れることができます。
抵当権抹消のためのその他の必要書類は、銀行などの借り入れている金融機関から届くので準備しておきましょう
抵当権抹消手続きの流れ
不動産に抵当権がつけられている場合、以下のような手順で抵当権抹消手続きを行います。
②抹消手続き書面に必要事項を記入
③決済時に売却金から残金を振込む
④完済書面を受領する
①金融機関へ連絡
家の売却が決まったら、まずは住宅ローンを借りた金融機関へ連絡を取って、売却金で残りの住宅ローンを完済することを伝えてください。
②抹消手続き書面に必要事項を記入
続いて、本人確認書類と実印、通帳、通帳の届出印を持って金融機関に行き、抹消手続き書面に必要事項を記入していきます。
このとき決算日、つまり残金を完済する日を記入するのですが、金融機関の処理には2週間ほどかかるので、余裕を持って日程を調整する必要があります。
金融機関によっては、書類を郵送してくれる場合もあるので、その点も含めてまずは連絡を取るようにしてください。
③決済時に売却金から残金を振込む
決済日に買主から売却代金が振り込まれたら、そこから住宅ローンの残金を完済します。
④完済書面を受領する
住宅ローンを完済すれば、金融機関から完済書面が貰えます。
それを司法書士に渡して、抵当権の抹消登記をしてもらい、ようやく抵当権が抹消されることになります。
登記関連の書類
決済と同時に行われるのが移転登記手続きです。
移転登記手続きは、司法書士に依頼するため、売主は司法書士への委任状を作成しましょう。
司法書士が委任登記手続きのために作成するのは、
・代理権授与証明書(決済当日に売主が立ち会わない場合)
になります。
固定資産税納税通知書
固定資産税は、所有している土地、建物にかかる税金のことです。
毎年1月1日時点における不動産の所有者には、毎年5月以降のタイミングで、固定資産税の納税通知書と課税明細書が同封されて送られます。
預貯金口座情報
不動産売買では高額な代金を現金でやり取りすることはありません。
よって、決済手続きは銀行の一室にて行われ、売主は振込によって売却代金を手にすることになります。
売却後の手続き|不動産譲渡所得税の確定申告
不動産を売却後も、売主には不動産譲渡所得税の確定申告という手続きが残っています。
不動産譲渡所得税は、家を購入したときよりも高い金額で売却できた場合に徴税されるものなので、売主全員が納めなければならないものではありません。
ただし、購入価格よりも安くで売却した場合であっても、確定申告をすればその他の税金と損益通算することができ、繰越控除が受けられる可能性も。
売却後に税務署から案内が届く
売主には、家を売った後で税務署から「譲渡所得税等の申告の案内」が届きます。
内容をよく確認し、家を売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をしましょう。
詳しくはこちらの記事【家の売却後は確定申告しないと損?確定申告は必要なのか不要なのか徹底解説】をご覧ください。
まとめ:手続きをスムーズにさせるためにも必要書類は知っておくこと
不動産売却の手続きには、必要な書類が多数あることはご理解いただけたかと思います。
一方で、冒頭でもお伝えした通り、売主が自身で作成するというよりは、法務局や市役所、司法書士や金融機関、そして不動産会社が用意する書類がほとんどだということもおわかりいただけたでしょうか。
しかし、売主の方でも何がどのタイミングで必要かを理解しておくことで、不動産売却に関わるやり取りがスムーズになります。
基本的には、媒介契約を結んだ不動産会社が必要な書類の案内をしてくれます。
必要書類について不安があるなら、用意すべき書類を的確に教えてくれる不動産会社を選ぶことをおすすめします。