家を売るときの必要書類とは

2019/03/20 投稿

家を売るときには多くの手続きを必要とします。

また、手続きのたびに書類の提出を求められるので、必要書類は事前に揃えておく方がおすすめです。

仕事でいつも書類を作らされているのに、家を売るときも書類作成か…。
たしかに、用意するべき書類は多いですね。ただ、売主自身が作成する書類はほとんどありませんよ。
ほんと!?安心したよ!
ただ、書類を手に入れるために走り回る必要はあるかも知れないですね。
大丈夫!体力にはまだまだ自信があるぜ!
本当に走って取りに行くつもりですか…。今回は、家を売るための手続きと必要な書類についてお伝えするので、走るのはその後にしてくださいね。

不動産売却の必要書類とは?

必要書類 入手方法 タイミング
登記簿謄本
(登記事項証明書)
法務局の窓口 売却前
家の図面、仕様書、
購入時のパンフレット
自宅にない場合は施行会社や不動産会社 売却前
住宅ローン償還表、
ローン残高証明書
金融機関から送られてくる 売却前
購入時の売買契約書、
重要事項説明書
自宅にない場合は施行会社や不動産会社 売却前
土地測量図 法務局の窓口 売却前
境界確認書 隣接する土地の所有者と合意して作成 売却前
地図・公図 法務局 売却前
本人確認書類 売主所有の免許証など 売却前
マンションの管理規約、
議事録、 長期修繕計画書
マンション管理会社から 売買契約締結時
印鑑証明書 最寄りの市役所 売買契約締結時
住民票 最寄りの市役所 売買契約締結時
登記済権利書、
登記識別情報 (権利書)
法務局から取得時に交付される 売買契約締結時
建築確認済証、
検査済証
購入時に売主(不動産会社)から交付される 売買契約締結時
抵当権抹消申請書 金融機関より 売買決済時
登記関連の書類 司法書士が作成 売買決済時
固定資産税評価証明書、
固定資産税納税通知書
都税事務所、県税事務所、毎年5月に税務署から郵送される 売買決済時
預貯金口座情報 売主所有 売買決済時

上記の表は、不動産売却の手続きに必要な書類の一覧です。

中には必ず必要とまではいかない書類もありますが、これだけを用意しておけば、売却準備から契約引渡まで、書類に慌てることなく突破できるはずです。

こんなにたくさんあるのか!?
書類を用意するのは面倒と思うかも知れませんが、買主とのスムーズな取引のためにはこれら必要書類の準備がかかせません。タイミング別に詳しく見ていきましょう。

まずは家を売る流れを確認

家を売る流れには、

・売却準備(物件の査定→不動産会社選定→売り出し価格の選定)
・売却活動(不動産会社による広告掲載→購入希望者の内覧→買主との価格交渉)
・契約引渡(売買契約締結→決済と移転登記手続き→買主へ引き渡し)

という3段階で9つの手順があります。

それぞれ確認していきましょう。

売却準備

売却準備の流れは、物件の査定→不動産会社選定→売り出し価格決定です。

物件の査定と不動産会社選びには、不動産一括査定サイトが便利です。売り出す自宅の条件に合った不動産会社を複数選んで、無料で査定見積りを依頼できます。
査定価格を比べて、一番高い金額をつけた不動産屋を選べばいいんだね。
えー…その通りです。ただ、明らかに他の査定額よりも高額の場合は注意してください。悪質な不動産会社は、契約が欲しいためにわざとありもしない査定額をだしてくることもあります。
なんだって!?それをどうやって見分けるんだい?
そのためにも、まずは自宅周辺エリアの成約相場価格を調べておきましょう。実際の売買価格である成約相場がわかっていれば、おかしな高額査定に騙されることもなく、売り出し価格を決める上でも参考になります。
なるほどなあ…。
大切なのは、不動産業者は会社で選ぶのではなく担当者で選ぶということです。複数の不動産会社と契約する一般媒介契約という方法もありますが、1社を選んで契約する専任媒介契約・専属専任媒介契約の方が、家を高く売るためにはおススメですね。
じゃあ、売却準備って不動産会社を決めるだけでもけっこうな期間が必要になりそうだね。
GOOD!準備には時間をいくらかけても、やりすぎということはありません。

売却活動

売却活動の流れは、不動産会社による広告掲載→購入希望者の内覧→買主との価格交渉です。

売却活動は、家を売る流れの中で最も時間がかかります。ただし、“超”がつくほど人気物件であれば、あっという間に売れてしまうこともあります。
こればっかりは、縁だもんな。
そうですね。ただ、内覧は特に売主の努力が必要になってきますので、忘れないでくださいね。
内覧?
内覧とはお家の見学会のようなものです。購入希望者に家の魅力を伝える絶好のチャンスですよ。
わかった!どんどん我が家の魅力をアピールするよ!

 

契約引渡

契約引渡の流れは、売買契約締結→決済と移転登記手続き→買主へ引き渡しです。

ここでは買主の住宅ローン審査の結果を待つことになります。それ以外の手続きに関しては、日程の調整がうまくいけばさほど時間はかからないでしょう。売買契約を締結するタイミングで、売主は仲介手数料の支払いがありますから忘れないでくださいね。
仲介手数料って、仲介業社に支払う成功報酬だっけ?
その通りです。売買価格によって異なりますが、
仲介手数料=売買価格×3%+6万円+消費税
が上限ですね。
費用の準備もしておかなきゃな。
GOOD!その通りです!
家を売る流れを確認したけど、契約引渡の前に書類を揃えておけばいいってことだよな?それなら慌てて走り回る心配もなさそうだ。
残念ながら、そうはいきません。家を売る手続きの必要書類は、売却を思い立ったその日から準備していかないと、後々大変な目に遭いますよ。
つまり売却準備の段階で必要書類も用意し始めなきゃいけないのか!?
GOOD!その通りです!
ひえ~

 

売却前に必要な書類

売却前には、不動産会社に査定を依頼するためや不動産会社に売却する物件の資料を作成してもらうため、購入希望者に物件情報を伝えるための書類が必要になります。

登記簿謄本(登記事項証明書)

登記簿謄本は、土地や建物の権利関係が書かれた書類です。

住宅ローンを利用して不動産を購入した場合には、抵当権の設定なども記載されています。

登記簿謄本の住所氏名と売主の住所氏名が異なる場合には要注意です。
そんなことってある?
例えば相続した不動産です。相続登記を行わなかったために、売主が名義人本人ではなく、亡くなった被相続人が名義人のままの場合は、家を売却することができません。
ええ…。そんなときはどうすれば?
相続登記を行うには、戸籍謄本・遺産をもらう権利がある人全員との遺産分割協議書・それぞれの実印が必要です。長い期間を要する可能性もあるので、売却前に必ず確認しておくようにしましょう。

家の図面、仕様書、購入時のパンフレット

家の図面や仕様書は購入時に保管しておくようにしておきましょう。

紛失している場合は、施工会社か不動産会社に問い合わせて、再発行してもらうようにしてください。

このときチェックしておきたいのが、現在の家の仕様や図面と異なっていないかどうかです。

図面が現在の仕様と違う場合は、あらたな図面を書き直してもらう可能性も出てくるので注意です。

購入時のパンフレットがあれば、自身が家を売り出す際の参考になりますよね。
たしかに!家に戻ったらあるかどうか探してみるよ。

 

住宅ローン償還表、ローン残高証明書

住宅ローン償還表とは、住宅ローンの支払い開始から支払い完了までの返済額や返済残額の推移を示す一覧表のことです。

住宅ローンを借りた金融機関から定期的に送られてくる書類なので、大切に保管しておきましょう。

この書類を用意しておくことで、ローンを完済して抵当権を抹消するためには、いくらで家を売らなければいけないのかがわかります。
住宅ローンを借りて購入した家を売るためには、家が担保になっている証拠の抵当権を抹消しなきゃいけないんだったっけ?
GOOD!その通りです!売却した月の返済額や繰り上げ返済手数料も確認しておきましょう。

購入したときの売買契約書・重要事項説明書

購入時の受け取っている売買契約書と重要事項説明書があれば、売却プランの参考になるため、コピーで構わないので媒介契約をした不動産会社に提出しましょう。

また、売買契約書は売却後に支払う可能性のある不動産譲渡所得税の計算にも使うことになります。

重要事項説明書も、内覧のときの購入希望者への説明に役立つので、売主本人も活用していくようにしましょう。

家を売るときって、買うときに貰った書類が必要になることが多いんだな。
そうですね、家を購入したときに不動産会社などの仲介業者からいただいた書類は大切に保管するようにしてくださいね。

土地測量図

その名の通り、土地の面積が掲載されている書類です。

一戸建てや、土地の売買においては、どこからどこまでが売却対象か、対象となる面積は何㎡かが非常に重要になってきます。

法務局の窓口の他にも、郵送やインターネットを使って入手する方法もあります。

境界確認書

土地測量図を入手したうえでも、隣家との土地の境界を明確にしておかなければ、売却後にトラブルを抱えてしまうことになります。

隣家に住む人との合意の旨を示す境界確定書は必ず作成しておくようにしましょう。

もし、売却後になって隣人が買主の下に怒鳴り込んでくるような騒ぎになっては、売主の瑕疵(かし)担保責任を理由に損害賠償請求、あるいは最悪の場合契約解除を要求されてしまうかも知れません。
そうならないためにも、土地測量図と境界確認書はセットで準備しておきたいね。

地図・公図

こちらも、土地測量図と境界確認書に合わせて用意しておきたい書類です。

隣地も含めた土地の区画が示されており、法務局で交付を受けることができます。

本人確認書類

売主本人の確認書類は当たり前ですが必須です。

売却する物件が共有名義の場合は、共有者全員分の身分証明書が必要です。

身分証明書はそりゃあ必要だよね。
もちろんです。ここまで見てきた売却前の書類は、物件の購入時に貰う書類法務局で手に入る書類がほとんどです。最寄りの法務局は、法務局の管轄のご案内のページからお確かめください。

>法務局の管轄のご案内のページ

売買契約締結時に必要な書類

売買契約時は、買主との売買契約の手続きのために加えて、不動産会社が作成する重要事項説明書のためにも多くの書類が必要になります。

マンションの管理規約、議事録、長期修繕計画書

中古マンションを売買する場合は、そのマンションがどのように維持管理されているか、使用上のルールがあるのかなどの管理情報は非常に重要視されます。

もちろん、購入希望者にとって、維持費などにかかる日々のコストも重要情報です。

マンションは管理を買え、なんて言葉もあるくらいですからね。マンションを売却するのであれば、管理状況や修繕計画がわかる書類を準備する必要があります。
維持費にも、組合費だったり町内会費だったり、細かいものも多いからなあ。伝え漏れのないように準備しておかなくちゃ。

印鑑証明書

売買契約書に捺印する印鑑は全て実印でなくてはなりません。

そして、それを証明する印鑑証明書も提出することが求められます。

住民票

取得した住民表が現住所と同じかどうか必ず確認してください。

特に、転勤を何度も繰り返していて、住所変更の手続きを忘れていたなんてことになると、以前住んでいた地域に転出届を提出し、現住所に転入届を出してから住民票を交付してもらわなければなりません。

もし、転出先が海外だった場合には、在留証明の発行が必要になりますので要注意です。

住民票と現住所が異なっていた場合、売却物件の所有権を移転する手続き(移転登記手続き)に多くの時間がかかってしまいます。
スムーズな取引を行うためにも早めに用意しておいた方がよさそうだな…。
GOOD!その通りです!

 

なお、共同名義の家を売る場合には、人数分の印鑑証明書と住民票が必要になります。

印鑑証明書、住民票ともに有効期限は3ヶ月なので、その点もご注意ください。

登記済権利証・登記識別情報(権利書)

登記済権利証・登記認識情報(権利書)は、土地、建物の所有権を取得した際に発行される書類です。

売主が、物件取得時に交付された権利書を買主に渡して、所有権移転登記手続きを終えると、物件の所有権が売主から買主に移ることになります。

万が一、権利書を紛失してしまった場合には、司法書士か弁護士が作成する「本人確認情報」が必要になります。
よく覚えておきます!

 

建築確認済証・検査済証

建物を建てる際に、役所へどんな建物を建てるかを記載した建築確認申請書を提出します。

申請どおりに建築されているか、建築基準法を満たしているかどうかを役所に確認・検査してもらい、確認・検査に通れば建築確認済証・検査済証が発行されます。

新耐震基準法が導入される以前(1981年以前)に建築された古い物件の売却のときは、耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書などの提出が求められる場合もあるので、併せて確認しておくようにしましょう。

買主が住宅ローンの融資を受ける場合に銀行から求められる場合が多くいので、もし建築確認済証・検査済証がない場合には買い手がつきにくくなることが予想されます。

建築設計図書や工事記録書等は、物件の維持管理や将来のリフォームにおいて非常に有益であり、買主からの信頼度アップに効果的ですよ!
買主のためにも、家を高く売るためにも、準備が必須の書類なんだな!
GOOD!その通りです!

 

売買決済時に必要な書類

売買決済のときには、抵当権の抹消手続き不動産移転登記手続きがあり、それぞれに手続きのために必要な書類があります。

抵当権抹消申請書

住宅ローンを利用している場合は家が担保となっているため、それを解除しなければなりません。

自分で準備する書類は抵当権抹消登記申請書のみです。

こちらはインターネットからダウンロードするか、法務局の窓口からも手に入れることができます。

抵当権抹消のためのその他の必要書類は、銀行などの借り入れている金融機関から届くので準備しておきましょう

抵当権って、完済したら銀行が抹消してくれるわけじゃないのかよ…。
実は売主が司法書士に依頼をして(本人でも手続き可)抹消しないとダメなのです。ただ、売主が準備する書類は抵当権抹消申請書のみなので、我慢しましょう。
まあ、お金を借してもらっていたのはこっちなんだし、仕方がないか…。

抵当権抹消手続きの流れ

不動産に抵当権がつけられている場合、以下のような手順で抵当権抹消手続きを行います。

①金融機関へ連絡
②抹消手続き書面に必要事項を記入
③決済時に売却金から残金を振込む
④完済書面を受領する

①金融機関へ連絡

家の売却が決まったら、まずは住宅ローンを借りた金融機関へ連絡を取って、売却金で残りの住宅ローンを完済することを伝えてください。

②抹消手続き書面に必要事項を記入

続いて、本人確認書類実印通帳通帳の届出印を持って金融機関に行き、抹消手続き書面に必要事項を記入していきます。

このとき決算日、つまり残金を完済する日を記入するのですが、金融機関の処理には2週間ほどかかるので、余裕を持って日程を調整する必要があります。

金融機関によっては、書類を郵送してくれる場合もあるので、その点も含めてまずは連絡を取るようにしてください。

③決済時に売却金から残金を振込む

決済日に買主から売却代金が振り込まれたら、そこから住宅ローンの残金を完済します。

④完済書面を受領する

住宅ローンを完済すれば、金融機関から完済書面が貰えます。

それを司法書士に渡して、抵当権の抹消登記をしてもらい、ようやく抵当権が抹消されることになります。

登記関連の書類

決済と同時に行われるのが移転登記手続きです。

移転登記手続きは、司法書士に依頼するため、売主は司法書士への委任状を作成しましょう。

司法書士が委任登記手続きのために作成するのは、

・登記原因証明情報
・代理権授与証明書(決済当日に売主が立ち会わない場合)

になります。

固定資産税納税通知書

固定資産税は、所有している土地、建物にかかる税金のことです。

毎年1月1日時点における不動産の所有者には、毎年5月以降のタイミングで、固定資産税の納税通知書と課税明細書が同封されて送られます。

固定資産税は、1月1日時点の所有者に年間の固定資産税が課税されるため、引渡し日に応じて負担額が調整され、売主に一部払い戻されることになります。
それなら安心だな。
固定資産税評価額は、移転登記に必要な登録免許税の算出のためにも用いられるので、忘れずに準備しておきましょうね。

預貯金口座情報

不動産売買では高額な代金を現金でやり取りすることはありません。

よって、決済手続きは銀行の一室にて行われ、売主は振込によって売却代金を手にすることになります。

なので、自身の口座の情報は、決済時に忘れないようにし…
絶対に忘れない!!何が何でもそれだけは忘れないよ!!
…家島さん。預貯金口座情報だけじゃなくて、ここまでお伝えした17個の必要書類を忘れないようにしてくださいよ!
わかっているよ!預貯金口座だけは絶対に忘れないよ!
…(ダメだわ、この人)

売却後の手続き|不動産譲渡所得税の確定申告

不動産を売却後も、売主には不動産譲渡所得税の確定申告という手続きが残っています。

不動産譲渡所得税は、家を購入したときよりも高い金額で売却できた場合に徴税されるものなので、売主全員が納めなければならないものではありません。

ただし、購入価格よりも安くで売却した場合であっても、確定申告をすればその他の税金と損益通算することができ、繰越控除が受けられる可能性も。

売却後に税務署から案内が届く

売主には、家を売った後で税務署から「譲渡所得税等の申告の案内」が届きます。

内容をよく確認し、家を売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告をしましょう。

詳しくはこちらの記事【家の売却後は確定申告しないと損?確定申告は必要なのか不要なのか徹底解説】をご覧ください。

まとめ:手続きをスムーズにさせるためにも必要書類は知っておくこと

不動産売却の手続きには、必要な書類が多数あることはご理解いただけたかと思います。

一方で、冒頭でもお伝えした通り、売主が自身で作成するというよりは、法務局や市役所、司法書士や金融機関、そして不動産会社が用意する書類がほとんどだということもおわかりいただけたでしょうか。

しかし、売主の方でも何がどのタイミングで必要かを理解しておくことで、不動産売却に関わるやり取りがスムーズになります。

基本的には、媒介契約を結んだ不動産会社が必要な書類の案内をしてくれます。

必要書類について不安があるなら、用意すべき書類を的確に教えてくれる不動産会社を選ぶことをおすすめします。